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メルヴィルと両義性の詩学 西谷 拓哉(著) - 北烏山編集室
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メルヴィルと両義性の詩学 (メルヴィルトリョウギセイノシガク) 後期小説への測鉛 (コウキショウセツヘノソクエン)

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A5判
364ページ
上製
価格 4,000 円+税   4,400 円(税込)
ISBN
978-4-911068-04-5   COPY
ISBN 13
9784911068045   COPY
ISBN 10h
4-911068-04-3   COPY
ISBN 10
4911068043   COPY
出版者記号
911068   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年3月31日
書店発売日
登録日
2026年1月20日
最終更新日
2026年4月1日
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紹介

アメリカ文学最大の作家ハーマン・メルヴィル(1819–1891)。『白鯨』(1851年)以降の後期小説を精読し、黒でもなく白でもなく、あるいは白でもあり黒でもある両義性・曖昧性に満ちたテクストの「深み」へ測鉛を下ろす。作品の「わけのわからなさ」にもかかわらず、いや、それゆえにこそ多くの読者を強力に魅惑するメルヴィルの小説の現代性を「複雑さは複雑さのままに」読み解く。主に取り上げた作品――『白鯨』『ピエール』『イズリアル・ポッター』『信用詐欺師』『ビリー・バッド』「バートルビー」「ベニート・セレーノ」「コケコッコー」「エンカンタダス」「私と私の煙突」「林檎材のテーブル」。

目次

序章 メルヴィルの小説とそのフォルム――伝統と革新のあいだで

I 両義性のフォルム
第1章 『信用詐欺師』の曖昧さと構造
第2章 「バートルビー」と同語反復
第3章 交信不能の物語――「ベニート・セレーノ」における視線の輻輳
第4章 肖像画の謎――メルヴィルと『ピエール』の二重性

II 『白鯨』の描写
第5章 『白鯨』の風景
第6章 メルヴィルの複雑で奇妙な機械
第7章 エイハブの「弱さ」――感情の基底に横たわるもの

Ⅲ ジャンルとの親和と軋轢
第8章 メルヴィルの小説における死と感傷――1850年代の短篇に見る反センチメンタル・レトリック
第9章 「煙突」の構造――メルヴィルに見る家計と創作のディレンマ
第10章 喜劇のペシミズム――「林檎材のテーブル」における家庭小説の実験

Ⅳ 歴史と文化の深層へ
第11章 メルヴィルとトランスナショナルな身体――『白鯨』、『イズリアル・ポッター』を中心として
第12章 ブラック・ノイズとしての「ベニート・セレーノ」――メルヴィルとアフリカ的想像力
第13章 『ビリー・バッド』と嫉妬
第14章 D・H・ロレンスとメルヴィル――1920年代のメルヴィル・リバイバル再考

終章 元水夫の物語――メルヴィルの海洋文学における抒情性とノスタルジア


 あとがき
 引用・参考文献
 参照したメルヴィル作品の翻訳一覧
 初出一覧
 索引

前書きなど

 本書は、ハーマン・メルヴィのル後期小説に即して、その両義性のありよ
うを探ろうとするものである(後期小説とはここでは『白鯨』(1851 年)以
降の長篇及び短篇を指す)。あらためて言うまでもないが、〈両義性〉とは、
ある一つの事象や陳述に複数の意味が存在し、それらが最終的に一つに収斂
せず、解釈が並立する状態のことである。英語では “ambiguity” であり、日
本語では「曖昧さ」とも表記される。メルヴィルは『ピエール』(1852 年)
の副題を「種々の曖昧さ(Ambiguities)」としていることからもわかるよう
に、あらゆる事象に両義性を見いだし、作品の中に形象化していった作家で
あった。形象化とは、小説のプロット、登場人物の言動はもとより、作品の
構造、文体に至るまで、さまざまなレベルで両義性が見て取れるということ
である。その特徴はむろん『白鯨』以前の小説にも現れてはいるが、後期小
説においてより顕著であろう。ウィリアム・エンプソンがその古典的な『曖
昧の七つの型』(初版 1930 年)を著してからおよそ一世紀になる。今さら
両義性かと訝しく思われる向きもあろうが、私にとっては、メルヴィルの文
学を一言で表せと言われれば、この言葉以外にはなく、その小説を読んでい
て最も面白く感じられる主題なのである。――序章より。

著者プロフィール

西谷 拓哉  (ニシタニ タクヤ)  (

1961年生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科英語学英米文学専攻修了(文学修士)。現在、神戸大学大学院国際文化学研究科教授。著書に『アメリカン・ポエジーの水脈』(共著、小鳥遊書房、2024年)、『19世紀アメリカ作家たちとエコノミー――国家・家庭・親密な圏域』(共著、彩流社、2023年)、『アメリカン・ルネサンス――批評の新生』(共編著、開文社出版、2013年)、映画関係に『高田宏治――東映のアルチザン』(共著、カタログハウス、1996年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。