版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
南海トラフ地震はいつ来るのか 神沼 克伊(著/文) - ロギカ書房
..
【利用不可】

書店員向け情報 HELP

南海トラフ地震はいつ来るのか (ナンカイトラフジシンハイツクルノカ)

自然科学
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:ロギカ書房
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ9mm
重さ 200g
156ページ
定価 1,400円+税
ISBN
978-4-911064-19-1   COPY
ISBN 13
9784911064191   COPY
ISBN 10h
4-911064-19-6   COPY
ISBN 10
4911064196   COPY
出版者記号
911064   COPY
Cコード
C0044  
0:一般 0:単行本 44:天文・地学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年1月31日
書店発売日
登録日
2024年12月20日
最終更新日
2025年1月23日
このエントリーをはてなブックマークに追加

書評掲載情報

2025-02-01 毎日新聞  朝刊
MORE
LESS

紹介

2024年8月8日16時42分頃、日向灘でM7.1の地震が発生した。同地域で発生したほぼ半世紀ぶりのM7クラスの大地震ではあったが、過去にも同じような地震は起きており、日向灘での定常的な地震活動と私は考えていた。ところが地震発生から2時間以上が経過した19時ごろ、気象庁から「巨大地震注意」が発表された。「想定震源域内で、南海トラフ沿いの巨大地震が発生する可能性がある」という推定であった。<
日向灘で起きたM7クラスの大地震と南海トラフ沿いで起きる巨大地震の関係を、気象庁の発表通りに理解できた日本国民がどのくらいいたかはわからないが、おそらくはほとんどの人は、急に「巨大地震発生」の可能性を知らされ、困惑したと思う。
発表の記者会見をした気象庁および関係の評価検討会の専門家の説明も、なんとなく歯切れが悪かった。正直過去に発生した日向灘地震と南海トラフ沿いの東海、東南海、南海地震の関連を指摘した研究がどの程度あったかは知らないが、その関係は地震予知・予測の面からはほとんど議論されていなかったと思う。発表されて以来1週間、少なくともNHKテレビの画面には常に「巨大地震注意」の6文字が示され続けた。
正直、私は専門家の多くが「既存のルートに従って「注意」を出したが、実際には巨大地震は発生しないだろう」と考えていたのではないかと、邪推していた。
発表された「注意」がそのような混乱を引き起こした原因は、「注意」の中に「地球の寿命」で起きる現象と、「人間の寿命」で起きる現象とが混在しているからである。いくら「巨大地震が起きる」「巨大地震が発生する」と叫んでも、地球の寿命での現象なら、会見で説明する関係者も「まあ起きないだろう」と思いながら話すので、その説明には迫力に欠ける。
一般にその違いが理解されていないので、「巨大地震注意」は「何か変」という疑問を多くの人が抱いたのであろう。そのパズルを解き、対策を示したのが本書である。

日本が「地震に成熟した社会の形成」がなされている国になる一助に役立てば幸いである。

目次

■第1章 日向灘地震
1 日向灘地震発生
2 過去の日向灘地震
■第2章 南海トラフ地震臨時情報
1 南海トラフ地震の想定震源域の変化
2 評価検討会
3 「巨大地震注意」
4 想定震源域は地球の寿命
■第3章 南海トラフ巨大地震
1 過去の巨大地震
2 南海トラフ沿い巨大地震の予知
3 次の南海トラフ沿いの地震はいつか
■第4章 太平洋側のほかの地域
1 関東地震
2 関東地震と南海トラフ沿いの地震の関係
3 後発地震注意報
■第5章 地球の寿命の問題点
1 地球の寿命の議論の例
2 活断層と原発
3 活断層の調査
4 それでも地球の寿命にこだわりますか
■第6章 結論
1 学者の責任
2 人間の寿命だけの情報にして欲しい
3 最後は抗震力で
4 抗震力
コラム1 1944 年の東南海地震の調査
コラム2 1946 年の南海地震の出張観測
コラム3 1946 年の南海地震は予知されていた?
コラム4 地下核実験を探知
コラム5 稲村の火
コラム6 津波(tsunami)
コラム7 チリ地震津波
コラム8 鯰と地震 ―宏観現象―
コラム9 タテ(P)波とヨコ(S)波(地震に強くなるトレーニング)
コラム10 緊急地震速報
コラム11 長周期地震動
コラム12 防災力

著者プロフィール

神沼 克伊  (カミヌマ カツタダ)  (著/文

国立極地研究所並びに総合研究大学院大学名誉教授
固体地球物理学が専門
1937年6月1日生まれ、神奈川県出身
1966 年 3月 東京大学大学院修了(理学博士)、東京大学地震研究所入所・文部教官助手
地震や火山噴火予知の研究に携わる
1966年12月~1968年3月第8次日本南極地域観測隊越冬隊に参加
1974年5月国立極地研究所・文部教官助教授に配置換え、以後極地研究に携わる。南極へは合計16回公務出張
1982年10月 文部教官教授
1993年4月 総合研究大学院大学教授兼任
【主な著書】 
『巨大地震を生きのびる』(ロギカ書房、2023)、『世界旅行の参考書「あしたの旅」―地球物理学者と巡るワンランク上の旅行案内』(ロギカ書房、2022)、『南極情報101』(岩波ジュニア新書、1983)、『あしたの地震学』(青土社、2020)、『あしたの南極学』(青土社、2020)、『地球が学者と巡るジオパーク日本列島』(丸善、2021)、『あしたの火山学』(青土社、2021)、『地震と火山の観測史』(丸善、2022)他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。