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ことばが出ない? 遅い? 通じない?を解決する!インリアル・アプローチ事典 日本INREAL研究会 河内清美 石井喜代香 大垣徳子 永安香 松尾育子(著) - 薫化舎出版会
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ことばが出ない? 遅い? 通じない?を解決する!インリアル・アプローチ事典 (コトバガデナイオソイツウジナイヲカイケツスル インリアルアプローチジテン) 0歳から使える最強のコミュニケーション指導法 (ゼロサイカラツカエルサイキョウノコミュニケーションシドウホウ)

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A5変形判
縦210mm 横150mm 厚さ15mm
248ページ
並製
価格 2,300 円+税   2,530 円(税込)
ISBN
978-4-911030-01-1   COPY
ISBN 13
9784911030011   COPY
ISBN 10h
4-911030-01-1   COPY
ISBN 10
4911030011   COPY
出版者記号
911030   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年7月30日
書店発売日
登録日
2025年5月30日
最終更新日
2025年6月4日
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紹介

インリアル・アプローチとは、ことばの遅れや自閉スペクトラム症、中・重度の知的能力障害のある子どもから高次脳機能障害のある成人まで、ことばが出ない・遅い・通じない人の学習とコミュニケーション能力を促進させる指導法です。
かかわる側が対応を変え、楽しいコミュニケーション経験を積んでもらうことを通して意欲を持って“対人関係能力”“判断・行動できる力”を涵養することを重視します。
入門編と理論・実践編に分かれているため保護者・保育士・幼稚園教諭から言語聴覚士など療育の専門家までOK。

豊富なイラストと多くの事例で抜群のわかりやすさ!

目次
 はじめに
 この本の使い方
 インリアル・アプローチ実践チャート
 インリアル・アプローチ用語集

 入門編 インリアル・アプローチを始めよう
  第1章 私にもできる! 事例から学ぼう
  第2章 インリアルの基礎知識を知ろう
 
 理論・実践編 インリアル・アプローチを極める
  第1章 ことばの発達
  第2章 コミュニケーションの発達段階と遊びのレベル
  第3章 インリアルの理論的背景
  第4章 大人のかかわり
  第5章 トランスクリプト作成
  第6章 評価と分析―評価からアプローチを考えるー
  第7章 実践事例

 コラム
  ・ブルーナーの「足場かけ」理論
  ・やりとりの共有を図る「フォーマット」の仕組みと大人の役割
  ・グライスの「会話の公理」
  ・心の理論の弱さ~自閉スペクトラム症児の特性と会話の問題~
  ・言語獲得を促す「共同注意」
  ・2つの伝達機能の違い~自閉スペクトラム症児に乏しい原叙述~
  ・遊びや会話、語りの土台となるスクリプトとは
  ・言語学「語用論」について
  ・言語の伝達機能
  ・「マザリーズ(育児語)」の効果
  ・「行く」?「来る」?幼児や自閉スペクトラム症児には難しいことば

 日本におけるインリアル・アプローチの歴史と今後
 参考文献
 付録

目次

目次
 はじめに
 この本の使い方
 インリアル・アプローチ実践チャート
 インリアル・アプローチ用語集

 入門編 インリアル・アプローチを始めよう
  第1章 私にもできる! 事例から学ぼう
  第2章 インリアルの基礎知識を知ろう
 
 理論・実践編 インリアル・アプローチを極める
  第1章 ことばの発達
  第2章 コミュニケーションの発達段階と遊びのレベル
  第3章 インリアルの理論的背景
  第4章 大人のかかわり
  第5章 トランスクリプト作成
  第6章 評価と分析―評価からアプローチを考えるー
  第7章 実践事例

 コラム
  ・ブルーナーの「足場かけ」理論
  ・やりとりの共有を図る「フォーマット」の仕組みと大人の役割
  ・グライスの「会話の公理」
  ・心の理論の弱さ~自閉スペクトラム症児の特性と会話の問題~
  ・言語獲得を促す「共同注意」
  ・2つの伝達機能の違い~自閉スペクトラム症児に乏しい原叙述~
  ・遊びや会話、語りの土台となるスクリプトとは
  ・言語学「語用論」について
  ・言語の伝達機能
  ・「マザリーズ(育児語)」の効果
  ・「行く」?「来る」?幼児や自閉スペクトラム症児には難しいことば

 日本におけるインリアル・アプローチの歴史と今後
 参考文献
 付録

前書きなど

はじめに

かつて、大阪教育大学の竹田研究室に母親と小さな男の子が訪ねて来られました。

「息子はもうすぐ3歳になるのに、いつもあちこちウロウロするばかり。一生懸命話しかけても、こちらを見てくれないし聞いてもくれません。ことばらしいことも言っているようですがよくわからなくて……。いったいどうやってこの子と遊べばいいのか……」
母親は苦しそうな表情を浮かべて、そう訴えました。 

当時、竹田研ではインリアルをアメリカで学んできた先生たちを中心に、小学校教員や大学の研究生、OBらが集まって、日本でもインリアルを実践しようと勉強会を続けていました。その実践の場として、ことばに遅れのある子どもたちの相談を行っていたのです。

研究室内をうろうろ動き回っていたサトシ君は、プレイルームが見えた途端、一目散に駆け込んで行きました。そこで、まずはこの日初めて勉強会に参加したAさんが、続いてインリアルを勉強して何度も専門家からの直接指導を受けてきたBさんがサトシ君と遊ぶことになりました。

サトシ君はAさんに関心を示すことはなく、しばらく部屋の中を動き回った後、クレヨンを見つけてクッションに落書きをし始めました。Aさんは「これに書いて」と紙をクッションの上に置きましたが、サトシ君は奇声をあげて紙を払いのけます。Aさんは慌てて紙を裏返し、そこに書かれた車を指さして「これ何? 何かな?」と話しかけます。でも、サトシ君は答えません。そこでAさんが「クルマ描いて、クルマ」と畳みかけると、突然、サトシ君は何かを描きながら「シカカク」と言いました。ところが、Aさんは「シカカク」には答えず、サトシ君の目の前にボールを差し出し「ボールしようか、ボール」と誘います。サトシ君はボールを見ずに再度「シカカク」と言って描き続けます。その様子をしばらく見ていたAさんは「シカカク? シカカクって何?」と尋ねますが、答えは返ってきません。そこでAさんは「高い高いしようか」とサトシ君を抱き上げました。サトシ君も奇声などあげることなく抱かれています。「たかいたか~い」と高く抱き上げられると、サトシ君は少し笑いました。何度か繰り返した後、Aさんがサトシ君を床に降ろそうとすると、サトシ君は足を曲げました。しかし、Aさんはそのままサトシ君を降ろしました。降ろされたサトシ君はAさんから走って離れていきました。

次にBさんがプレイルームに入りました。サトシ君は三輪車にまたがってペダルを漕ごうとしていました。Bさんはすかさず「行くぞー、ブブブブ」とサドルを後ろから押しました。大きなセラピーボールにぶつかりそうになり、サトシ君は小さく「アッ」と言いました。それに気付いたBさんは三輪車をバックさせて「もう一回行くぞ」と言いながらゆっくり押しました。サトシ君は手でセラピーボールを押しのけて、そのまま進むことができました。三輪車を降りると、次にサトシ君はおもちゃのダンプカーの荷台に危なげな様子で乗りました。Bさんは近寄り、「よし、次はダンプ、行くぞ」と言ってゆっくりダンプカーを引っ張ります。サトシ君も笑顔を浮かべながら落ちないようにBさんの腕をしっかり掴んで進んでいきます。三輪車を止めた場所まで来ると、サトシ君はまたダンプカーから降りました。走って離れていくサトシ君に、Bさんは「よし、次はー」と声をかけました。サトシ君は「コーキ」と言っておもちゃのバスにまたがりました。そうやってBさんの「次は?」の声かけに応じるように、何台ものおもちゃに乗っては引っ張ってもらうことを繰り返した後、サトシ君は再び三輪車にまたがりました。Bさんが後ろから押すのですが、ハンドルがうまく回せないサトシ君は壁にぶつかり前に進むことができません。するとサトシ君は三輪車から降り、Bさんのほうに三輪車を押しやりました。Bさんが「よし、乗ろう」と言って三輪車にまたがると、サトシ君は「エヘッ」と笑ってうしろの荷物かごに座りました。「よーし、行くぞー」とBさんが三輪車を漕ぎ始めると、サトシ君は自分からBさんの背中をギュッとつかんで笑顔で進んでいきました。

隣の部屋のモニターで観察していた勉強会のメンバーたちは、2人の先生と遊ぶときに見せるサトシ君の様子の違いに驚きました。

Bさんと遊んでいるときのサトシ君には笑顔があり、Bさんと遊ぶことを楽しんでいるのが表情や姿勢、声ンなどから伝わってきました。
サトシ君は、自分のやりたいことをことばでうまく伝えることができません。ですが、おもちゃのダンプカーの荷台に乗ったときに、「危ないからおりて」ではなく「よし、次はダンプ、行くぞ」と言って引っ張ってもらった瞬間、満面の笑みがこぼれました。その表情から、サトシ君は「やりたいことが通じた、わかってもらえた!」という手ごたえを感じることができたのではないか、と推察できました。

勉強会に参加していた全員が、“言いたいことが伝わると、子どもはこんなにも楽しそうに遊べるのか”と実感したと同時に、子どもの伝えようとしている事柄を正確にキャッチできる大人であることの重要性を痛感した瞬間でもありました。

Bさんはインリアルの理念とそれに基づいた指導法インリアル・アプローチを念頭に、「子どもに合わせて楽しく遊ぶ」ということを考えながら遊んだそうです。

Bさんには「子どもの気持ちをキャッチできるセンス」があったのでしょうか?
それとも「子どもと楽しく遊ぶためのセンス」があったのでしょうか?
では、どのようにすれば、誰もがセンスを磨き、子どもと楽しく遊べるようになれるのでしょう? 

その答えが、インリアルの理念であり、具体的な指導法であるインリアル・アプローチなのです。

コミュニケーションの観点からみるとかかわる大人と子どもの立場は対等です。
インリアルでは、大人のかかわり方に沿わないから“一緒に遊べない子ども”ととらえるのではなく、Bさんのように“大人が子どもに合わせて遊んでみよう”と考えます。

その時の楽しさを通して、子どもはコミュニケーションをする相手として大人を信頼し、遊びを楽しみ、笑顔を見せ、自分から一生懸命伝えようとするのです。それが「ことば」になる子どももいれば、大人の目をのぞき込むというような仕草だけの子どももいます。
しかし、そこにはとても大きな意味があると私たちは考えています。

著者プロフィール

日本INREAL研究会 河内清美 石井喜代香 大垣徳子 永安香 松尾育子  (ニホンインリアルケンキュウカイ カワチキヨミ イシイキヨカ オオガキノリコ ナガヤスカオリ マツオイクコ)  (

河内清美(かわち きよみ)
日本INREAL研究会会長・編集スタッフ
言語聴覚士 日本LD学会特別支援教育士 インリアル・スペシャリスト  
1958年 岡山県生まれ 大阪大学大学院人間科学研究科人間科学専攻修士課程修了。
聴覚支援学校に43年間勤めた後、非常勤講師として勤務継続中。大学で非常勤講師として特別支援教育(聴覚障害)について講義すると共に特別支援教育の巡回指導を行っている。
1981年米国コロラド大学でのインリアル・セミナーに参加し、1985年の日本INREAL研究会創立時からスタッフとして実践と研究活動をし、スーパーバイザーになる。2017年から日本INREAL研究会会長として実践研究と普及活動を行っている。著書に『インリアル・アプローチ』(分担執筆 日本文化科学社)『実践インリアル・アプローチ・事例集』(共著 日本文化科学社)。

石井 喜代香(いしい きよか)
日本インリアル研究会スタッフ・編集委員
言語聴覚士 特別支援教育士スーパーバイザー 公認心理師
1959年 福岡県生まれ 兵庫教育大学大学院障害児教育専攻修士課程修了。
発達相談、言語指導の臨床を経て、言語聴覚士の養成に携わる。現在は、姫路獨協大学医療保健学部言語聴覚療法学科教授。専門は言語発達学、言語発達障害学。大学院時代に米国コロラド大学にてインリアルのビデオ分析を受ける。以降、コミュニケーションの成立に関心を持ち、自閉スペクトラム症の会話、学童期のナラティブ研究を重ねる。著書に『インリアル・アプローチ』(分担執筆 日本文化科学社)、『実践インリアル・アプローチ・事例集』(共著 日本文化科学社)、『発達障害事典』(分担執筆 丸善出版)等。

大垣 徳子(おおがき のりこ) 
日本INREAL研究会スタッフ・編集委員 言語聴覚士 特別支援教育士 
1966年 大阪府生まれ 大阪教育大学大学院修士課程卒。
大学時代から、竹田契一教授(現大阪教育大学名誉教授、大阪医科薬科大学LDセンター顧問)の研究室でインリアルを学ぶ。その後、滋賀県、千葉市の児童相談所勤務を経て、現在は、東京都内の複数の区で言語聴覚士、巡回支援相談員として従事。著書に『インリアル・アプローチ』(分担執筆 日本文化科学社)。

永安 香(ながやす かおり)
日本INREAL研究会スタッフ・編集委員 
言語聴覚士 
1958年 大阪府生まれ 大阪女子大学学芸学部(現大阪公立大学)卒。大阪教育大学教育学部障害児教育学科竹田契一研究室研究生修了。
大阪市立小児保健センタ―、大阪市立総合医療センター小児言語科を経て、現在は奈良県総合医療センター新生児集中治療部・小児科発達支援ルーム(非常勤)勤務。言語発達障害、構音障害、読み書き障害、後天性脳損傷後の高次脳機能障害などの評価・指導に従事。著者に『医療スタッフのためのLD診療・支援入門』(分担執筆 診断と治療社)。

松尾育子(まつお いくこ)
日本INREAL研究会スタッフ・編集委員 
言語聴覚士
1961年 大阪府生まれ 関西学院大学文学部日本語学科卒業。大阪教育大学教育学部障害児教育学科竹田契一研究室研究生修了。
大阪市立小児保健センター言語科勤務(現・大阪医療センター)などを経て、現在は城陽市立児童発達支援事業所ふたば園で言語聴覚士として勤務。発達に課題のある就学前の幼児の発達支援に従事。著書に『医療スタッフのためのLD診療・支援入門』(分担執筆 診断と治療社)。

竹田契一  (タケダケイイチ)  (監修

1937年、兵庫県神戸市生まれ。1961年米国アズベリー大学卒業。1962年米国ピッツバーグ大学大学院言語病理学科修了。1965年米国ミシガン大学大学院言語病理学科中途帰国。1975年慶應義塾大学医学部大学院医学研究科修了、医学博士。1975年大阪教育大学聴覚言語障害児教育教員養成課程助教授。1983年大阪教育大学障害児教育講座教授。2002年同大学定年退官。大阪教育大学名誉教授、大阪医科大学客員教授。2007年より大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)LDセンター顧問。一般社団法人日本LD学会元副理事長、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会元理事長。主な編著に『SLTA(標準失語症検査)手引き』(鳳鳴堂書店 1975)、『失語症の基礎と臨床』(金剛出版 1980)、『障害児理解の方法』(学苑社 1985)、『インリアル・アプローチ』(日本文化科学社 1994)、『LD児の言語コミュニケーション障害の理解と指導』(日本文化科学社1997)、『LD児サポートプログラム』(日本文化科学社 2000)、『実践インリアル・アプローチ事例集』」(日本文化科学社 2006)、『ADHD・高機能広汎性発達障害の教育と医療』(日本文化科学社 2006)、『図説LD児の言語コミュニケーション障害の理解と指導(第2版)』(日本文化科学社 2007)、『特別支援教育の理論と実践I,II,III』(金剛出版 2007)、『高機能広汎性発達障害の教育的支援~特別支援教育のプロを目指す教師のために~』(明治図書 2008)、他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。