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中国残留日本人「三世・四世」という経験
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年7月3日
- 書店発売日
- 2026年7月14日
- 登録日
- 2026年4月7日
- 最終更新日
- 2026年8月13日
紹介
日中国交正常化から54年――
半世紀を超えた時間の経過のなかで、中国からの帰国者たちは、日本社会でどのように生きてきたのか。第二世代である三世・四世たちは、現代社会の中でどのような経験をしてきたのか。社会的な沈黙を破る当事者たちの語りから、「過ぎ去らない過去」を捉え直す。
目次
はじめに 蘭信三
序 章 中国残留日本人「三世・四世」研究の射程 蘭信三
第1部 日本生まれの中国残留日本人三世・四世の〈沈黙と語り〉
第1章 「過ぎ去らない過去」を手繰り寄せる
――中国残留婦人三世という「自己」を生き直す 山崎哲
第2章 同居する〈わたし〉
――「日中ハーフ」、「神戸華僑」、「中国残留婦人」四世 森川麗華
第3章 家族で再経験するルーツへの問い 田中はるか
第4章 なぜかれらは「中国残留日本人三世・四世」と名乗るのか 伊吹唯
column ある中国残留婦人の生きられた歴史 蘭信三
第2部 帰還移民一世/移民第二世代の経験
第5章 日本に暮らす中国残留日本人の変化
――同化実践という生活戦術からの検討 伊吹唯
第6章 日本における中国残留孤児二世の生活過程
――移住タイミングに着目して 張龍龍
第7章 中国帰国者三世女性の教育達成 277
――階層とジェンダーが交わるエスニック文化に着目して 劉麗鳳
第8章 子育てする中国帰国者三世女性のアイデンティティ形成 坪田光平
第9章 中国にルーツをもつ移民第二世代の教育達成 高橋朋子
第10章 自問・内省する「三世・四世」――「二世」の立場から 大久保明男
第3部 中国残留から日本帰国へ
第11章 帰国援護政策の連続性と断絶
――戦後引揚者と中国帰国者の比較から 劉罡
第12章 中国残留孤児国家賠償訴訟の意味するもの
――新聞記事と雑誌記事に注目して 張唯
第13章 「中国残留婦人」の構造的差別と主体的な「生」
――曾祖母のライフヒストリーと四世の立場から 森川麗華
第14章 多様化する中国帰国者
――ポストコロニアリズムとグローバリズムの交錯点 蘭信三
column 中国長期留用者の帰国 飯塚靖
第4部 中国帰国者の比較社会学
第15章 エスニック帰還移民としての中国帰国者
――アウスジードラーの事例を参照して 伊吹唯
第16章 ニューカマー中国人の第二世代と中国帰国者第三世代
――比較研究に向けた試論 坪谷美欧子
第17章 ポストコロニアルな経験と主体
――在日朝鮮人と中国帰国者の研究が共有する課題として 孫片田晶
第18章 親の国(故郷)を知ろうとする在日「華僑」二世たちの巡り会い
――二〇一〇年代以降に華僑研究を始めた台湾出身ニューカマー二世の
立場から 岡野翔太(葉翔太)
結びにかえて 山崎哲
あとがき 蘭信三
前書きなど
日中国交正常から五四年、訪日調査から四五年という長い歳月が経過した。およそ半世紀にも及ぶ時間の経過のなかで、中国帰国者をめぐる状況は大きく変化していっている。かれらの日本社会での定住化は深まり、今や「日本生まれ日本育ち」の「三世・四世」といういわゆる「移民第二世代」へと世代交代が進んでいるのだ。中国生まれ中国育ちで中国語を母語とし、日本語は学習言語で自由でないために日本社会でその存在が目立っていた移民第一世代と違い、日本語を母語とし日本文化に馴染んで育った世代が中心となることで、かれらは社会で見えづらい存在になっている。しかも、日本社会には技能研修生や特殊技能人材などの主にアジアからの新タイプのニューカマーが急増したことで、「異なる文化」という文脈や「外国ルーツ」の人々への注目は、二〇〇〇年代に急増しているアジアからのニューカマーのほうに向けられていっている。その結果、中国残留日本人/中国帰国者への注目も、その歴史的背景も、かれらを取り巻く「異なる文化」の人たちの受け入れという要素は後景化し、その歴史と存在自体も社会のなかで忘れられていっている。(中略)
このような状況を反映し、本書は、中国残留日本人の三世・四世は、残留孤児や残留婦人に連なる歴史的な系譜性よりも、移民第二世代に共通する現在性によってより強く規定されているという仮説にもとづいている。中国残留日本人(中国帰国者)という経験を唯一無二の存在として「あの戦争の犠牲者」である「日本人の物語」に回収されるのではなく、移民研究として比較可能な概念である本国に帰ってきた「帰還移民」や、外国ルーツだが日本で生まれ育った移民第二世代という側面を重視するという立場である。すなわち、三世・四世の中国帰国者としての経験の独自性だけでなく、帰還移民や移民第二世代としての普遍性を他の移民集団やマイノリティ集団との比較のなかで、その存在の特徴をより明らかとすることを目指している。
(本書「はじめに」より)
上記内容は本書刊行時のものです。
