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博物館のアルケオロジー
落伍・追放・従属・未発・植民地
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年12月30日
- 書店発売日
- 2024年12月30日
- 登録日
- 2024年12月3日
- 最終更新日
- 2025年2月16日
紹介
これからの博物館は、どのような轍を踏まずに変わるべきなのか──
明治期わが国に博物館が誕生してからこんにちに至るまで、日本の博物館学が見落としてきた様々な問題に関する論考群を、落伍、追放・従属、未発、植民地というカテゴリーで編む。国内中央のみならず地域、さらにアメリカの日系人収容所、植民地であった満洲国と、時代、場所、学問の領野を縦横断して、博物館体験を考古学する。
目次
〈学芸員〉は〈キュレーター〉ではなかった!!
Ⅰ 落伍
反商品の教育主義――博物館の自意識に関する考察
商品陳列所改造論
博物館外部システム論
博物館史から見る橋下府政の博物館論
Ⅱ 追放・従属
一九四〇年代前半東京科学博物館の団体研究と「開放された大学」
木場一夫『新しい博物館――その機能と教育活動――』の研究
井尻正二の「大学的研究と博物館的研究」をめぐる博物館研究の史的検討
収容所の博物館、占領期の博物館(博物館と主権に関するノート)
Ⅲ 未発
『興業意見』の陳列所・博物館論
未発の資料館――名古屋市守山区吉根の区画整理と博物館体験――
吉田富夫の遺跡公園論と博物館論
Ⅳ 植民地
新京動植物園考
ゴジラ起源考
略奪文物返還問題備忘録
補遺 博物館法二〇二二年改定の意味
あとがき
前書きなど
本書は、筆者の博物館史研究に関する三冊目の著作集である。二〇〇九年以降に書いたものを基本にして、収録した。以下は、若干の次第である。
タイトルの「博物館のアルケオロジー」は、武藤直路氏(元ラジオたんぱエグゼグティブ・プロデューサー)と内田洋隆氏(考古学研究者)のレベレーションに拠っている。筆者の、考古学以外の作品について武藤氏はいつも、「考古学ですね」と言った。真意はもうわからないが、氏の『スタイリストになるには』(株式会社ぺりかん社、二〇〇〇年)などの主張が脳裏を過る。内田氏の意見は、「カテゴリーの再構成」であった。
筆者は考古学を専攻したが、就職先の考古学は発掘調査をしなかった。掘らない考古学を告げて書いたのが、『戸山屋敷銅鐸考』(尾張地域の考古資料に関する文献資料調査⑴、名古屋市博物館、一九九一年)である。本書でも掘っていないが、考古学の拠って立つ層位学と形態学がそれぞれ意味するところの〈時間〉と〈構造〉を念頭に置き、博物館の現象を考えたというほどのアルケオロジーであればと念う。
(本書「あとがき」より)
上記内容は本書刊行時のものです。