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微生物学者、発酵食品のマタギになる 星野 保(著) - ナイデル
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鍬谷     ト・日・他     書店
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微生物学者、発酵食品のマタギになる (ビセイブツガクシャ ハッコウショクヒンノマタギニナル) 自然が醸す菌を求めて (シゼンガカモスキンヲモトメテ)

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発行:ナイデル
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ19mm
252ページ
並製
価格 2,500 円+税   2,750 円(税込)
ISBN
978-4-910985-03-9   COPY
ISBN 13
9784910985039   COPY
ISBN 10h
4-910985-03-4   COPY
ISBN 10
4910985034   COPY
出版者記号
910985   COPY
Cコード
C0045  
0:一般 0:単行本 45:生物学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2026年6月5日
発売予定日
登録日
2026年3月16日
最終更新日
2026年5月13日
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紹介

ごど、すしこ、ヤマガゼ、けいとまま、なめぜえ、ひしお、みずきじる……。
ある事情から発酵食品に取り憑かれた微生物学者。雪積もる冬には村の味噌玉づくりに参加し、口八丁手八丁、村人や菌類と友達になる。春になればミズキの切株についた、ジュクジュクの樹液酵母を見つけ興奮する。別の日には、味噌玉の起源を調べ、文献と郷土史の迷宮を彷徨いはじめる。さらには発酵が進んでドロドロになった食べ物に、微生物の多さを夢想し歓喜する。
そんな微生物学者とそれを静かに眺める同僚、二人の共著による本書には、発酵食品の生物学的・民俗学的知見が、ドロドロジュクジュク詰まっている!

目次

はじめに 微生物学者、味噌玉に出会う 
 
第1章  今も残る東北の味噌玉              
  味噌玉を探す   
  味噌玉と会う  
  岩手県の味噌玉たち   
  味噌玉を自作する   
  玉味噌の味   

第2章  ごど豆からヤマガゼまで            
  「あめる」と「ごど」  
  SNSから久慈市山根地区のごど豆を推定する   
  田野畑村に残っていたごど豆   
  ヤマガゼ なぜこれも大豆つながりなのか   
 
第3章  青森の発酵食を求めて                  
  会社員時代の私と乳酸菌  
  十和田 “ごど” との遭遇    
  “ごど” のバリエーションが豊かすぎる 
  津軽の “すしこ”                
  すしこの謎① なぜすしこは弘前にないのか?
  すしこの謎② なぜすしこはもち米で作るのか?  
  
第4章  味噌の歴史をさかのぼる   
  味噌の起源   
  青森・岩手両県における味噌製造の歴史   
  味噌玉の記録と形態  
   
第5章  味噌玉はどこから来たのか 
  味噌玉が連なる東北の “干す” 文化    
  アメルとゴド、再び   
  「ゴド」・「ゴト」の呼称とその分布    
  既存の文献による「ゴド」・「ゴト」の語源解釈     
  食品の腐敗を意味する方言「アメル」の分布    
  食品の腐敗を意味する方言「アメル」の記録    
  既存の文献によるアメルの語源解釈    
  私見① 東北地方で「アメ」ではなく「ゴ」を受容した理由     
  私見② 北方ルートもあるのか?    
  私見③ あるいは仏教伝来と共に?  

おわりに 微生物学者、味噌玉を通じて人々を知る

参考文献                                      
索引

前書きなど

はじめに(冒頭部分)
寒さと⽣きる菌類を無⽤に愛する星野保の場合

 2013年に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、和食への関心が世界的に高まっている。発酵食品である味噌・醬油は、出汁と並んで和食の味の根幹をなす調味料であることに、異論がある方はいないだろう。それほど、私たちの生活に味噌・醬油は、染みついている。
 本書は、そんな私たちの日常を支える発酵食品と、その歴史をひもとくことを目指している。

 さて、著者の一人、星野が発酵食品である味噌を研究対象としたのは、それほど前のことではなく、6年ほど前(2020年)からだ。それまでは、積もった雪の下で越冬している植物を枯らす病原菌である雪腐病菌、この中でも特にガマノホタケと呼ばれる極小のキノコ(写真1)の生きざまを調べていた。しかし50歳を迎える頃から管理職的仕事が増え、雪腐病菌や寒さを好む菌類の研究ができず、これに未練のあった私は、新たな研究環境を求めて青森県八戸市にある大学に単身転職したはずだったのだが……。 
 ここで新たな試練に直面する! 私の知的好奇心を極限まで刺激し、血沸き肉躍る調査の果て(詳細は拙著『菌世界紀行――誰も知らないきのこを追って』(岩波書店)を参照)に採集した雪腐病菌の生き方が、学生たちに全然響かず、卒業研究のテーマにも選ばれないのだ‼
 悩んだ末に家族に相談すると、こんな答えが返ってきた。
 「そりゃそうでしょ。普通に生きていたら、雪腐病菌なんて、そんなのちっとも知らないよ」と。そして、心の中で舌打ちする私を尻目に、「おまけに滅茶ちいちゃくて、色も地味だし、だから関心を持たないんだろ」と、漠然と感じていた不安を言語化し、私の心を深くえぐった上、そこに塩をすりこんでくる。
 「じゃあ、どうすりゃいいのよ?」と半ばキレ気味に聞き返すと、「食べ物で釣るのはどうよ? 食は多くの人が関心あるでしょ。発酵食品とかいいんじゃね」との対案が出てきた。「まあ、確かに……ねぇ」。少し考えると確かにそう思える。
 東北の春先に仕込む発酵食品ならば、私が求めている寒さを好む菌類もいるかも知れない。そうしてこの条件に合う発酵食品を探している中で、味噌玉に出会ったのだ(写真2)。つまり本書のテーマである低温で発酵する菌類に関する研究は、純粋な私の知的好奇心の発露ではなく、研究者としての生き残りのためでもあったのだ。とはいえ、研究を始めるとこれがなかなか面白く、ずぶずぶと発酵食品の沼にはまってしまった。

版元から一言

天然の麴菌でつくる味噌玉をはじめとする、青森・岩手・東北地方の発酵食品を、二人の微生物学者が追いかけたサイエンス・エッセイです。味噌玉、ごど豆、ヤマガゼ(ミズキの樹液酵母)、すしこ、ごど……など、ユニークな食品がたくさん。そして、それらの食品がどのような経緯で、東北地方で食べつがれているのかを、独特の視点と筆致で紹介します。

著者プロフィール

星野 保  (ホシノ タモツ)  (

星野保(ほしの・たもつ)
1964年東京都生まれ。名古屋大学大学院農学研究科博士後期課程退学。博士(農学)。専門は菌類の低温適応。工学系研究所に25年間勤務し、その間「極地から砂漠まで雪の下で生活する菌類を付け回し、その観察から日本の鉱工業に寄与する」とうそぶいていたが、2019年八戸工業大学教授への転職を機に「北東北の菌類の生理生態とその伝統的利用の再評価」をテーマにする。著書に『菌は語る ミクロの開拓者たちの⽣きざまと知性』(春秋社)、『すごいぜ! 菌類』(ちくまプリマー新書)、『菌世界紀行 誰も知らないきのこを追って』(岩波現代⽂庫)などがある。

本田 洋之  (ホンダ ヒロユキ)  (

本田洋之(ほんだ・ひろゆき)
1982年宮城県仙台市⽣まれ。東北⼤学⼤学院農学研究科博⼠前期課程修了。博⼠(農学)。⾷品会社で11年勤務。その間、研究所、本社、⼯場での業務を経験。現在、八戸工業大学工学部工学科准教授。専⾨は乳酸菌と⾷品科学。発酵食品をこよなく愛し、最近は醬油の味くらべに凝り、冷蔵庫には常時10種類以上の醬油が並ぶ。

上記内容は本書刊行時のものです。