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これからの地方創生・関係人口
関係人口から持続可能な地域の創り手へ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年3月1日
- 書店発売日
- 2024年2月28日
- 登録日
- 2023年12月17日
- 最終更新日
- 2024年2月26日
書評掲載情報
2025-03-23 | 全私学新聞 2025年3月23日付 |
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紹介
本書は,人と人とのつながりに着目し,地方創生における関係人口の意義や関係案内人の役割に焦点を絞り,その具体的な取り組みを考え,シティプロモーション実践や地域においてシビックプライドをどのように獲得しているのか,持続可能な観光や交流人口・関係人口の創出とまちづくりの関係性について,大学研究者・企業人・活動実践家・自治体関係者など多彩な執筆陣により、その理論【考えるヒント】と具体的な取り組み【つながるヒント】について考える示唆を提示しています。
目次
序 章 地方創生と関係人口
【考えるヒント】
第1章 誰一人取り残さない持続可能な地域を拓く「対話」
第2章 食と地域づくり
第3章 里山と地域づくり―神奈川県秦野市を事例にして―
第4章 グローバリゼーションと地域づくり
第5章 教育が生み出す関係人口と地域づくり
第6章 移住者と地域づくり
【つながるヒント】
第7章 環境保全でつながる
第8章 繊維産業でつながる
第9章 い草でつながる
第10章 ヨガでつながる
第11章 関係人口創出事業からSDGs 未来都市へ
終 章 これからの地方創生・地域づくりの関係人口
前書きなど
はじめに
「都市の一極集中」「地方の過疎化」が言われて久しい。これらは,ずいぶん前から問題視されていたものの,どれだけの人が「自分事」として課題を共有していただろうか。さらに,これまでの問題が放置されてきた結果として,大・人口減少期に直面し,現実には,一部で「都市の局地集中」「地方の荒廃化」が顕在化するようになってきた。これは,都市部/都市部近郊にあってもモザイク的に,かつての「ニュータウン」といわれる団地,交通アクセスが他より不便な(バス移動を強いられる/バス本数が少ない)中山間地域で過疎化が進む一方,ブランド化された特定地域にタワーマンションなどが立ち並ぶ新しい開発都市に人が集中する,といういびつな都市構造を生み出している。すなわち,無秩序/無計画な都市計画の結果であり,都市であっても過疎化している地域が存在し,高齢化が進行してまちの新陳代謝が失われつつある地域がある。いっぽうで,子育て政策の充実や新しい産業振興,移住・定住政策により,地方で活力が生み出される地域も出てきている。
一極集中/過疎化は,表裏一体であり,都市と地方という関係でまちづくりを考えるのはナンセンスである。また,まちづくりを支えるのは,結局のところ,「人」である。本書では,とくに人と人とのつながりに着目し,地方創生における関係人口の意義や関係案内人の役割に焦点化,その具体的取り組みを考え,シティプロモーション実践や地域においてシビックプライドをどのように獲得しているのか,持続可能な観光や交流人口・関係人口の創出とまちづくりの関係性について,理論と具体的な取り組みについて考える示唆を示す。とりわけ,「誰一人取り残さない」地域に向けて,市民が幸せを感じることができる地域とは? 人が集まるまち,魅力ある地域はどんな取り組みをしているのか? 地場産業の持続可能性と環境・経済・社会のつながりはどうあるべきか?,という問いに挑む。また,読者にとって本書での知見を応用・活用し,実際の持続可能な地域づくりについての企画構想・発送力獲得となることをめざす。
さらに今後に向けて,持続可能な観光と伝統産業,環境保全,人権(デューデリジェンス)・雇用創出の持続可能性,倫理(ethics)に配慮した地場産品の創出へのアイデアを考える。なお,これらは今後,新しい横断的学術分野の開拓を目指すとともに,地域づくりに意欲あるすべての人に読んで議論していただけるような学術・一般書である,という特徴をもつ。さらに,地域政策立案者であれば,政策立案時に押さえておくべきポイントがわかるガイドブックとしても有効であるうえに,地方創生に多様な論点も提示することを意図している。「誰一人取り残さない」地方創生は,地域で人がつながる,輪が広がり,誰にとっても幸せを享受することができる,という問題提起を社会に訴えたい。
すくなくとも,人と人の「持続可能なつながり」には,どのようなことでつながるのか,つながり続けたいと感じる地域での幸せとはどうあるべきか,創生の本質があると考える。うちの地域はいいところですよ,といいことばかりPRして,実際に移住したら,移住者と地域住民の人との軋轢,排他性,新規性や創造性をぶち壊す,そのようなコミュニティに幻滅し,地域の評判を落とし,いつまでたっても過疎化から抜け出せない,そんな事例もすでに報告されている。すなわち,地方創生における楽しい・幸せなまちづくりがめざすべきビジョンである。本書では,さまざまな方面でのユニークな研究者・実践者からの考え方を紹介している。本書を通して,どこで,だれと,何でつながり,どのような楽しさ,幸せをつかむか,自分の生き方を考える一助になれればうれしい限りである。そうした人が集まるコミュニティが,結果として地方創生につながるのである。 編者:岩本 泰
※本書は,日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業 基盤研究(C)(20K12412)の研究成果を公表するものである。
版元から一言
本書は、持続可能な地域社会の創生を目指して活動する人々のつながりを、「地方創生」「関係人口」をキーワードとして、その理論を【考えるヒント】、具体化する実践を【つながるヒント】として2部構成で展開しています。「地方創生」にかかわりそれぞれ異なる多様な立場にある「関係案内人」の活動や連携を支え協働する研究者・民間企業・活動実践家・自治体関係者などがそれぞれの知見や経験知から論考を深めて、持続可能な地域の創り手を育成するための提言をしています。
地方創生を志し、持続可能な社会を希求する読者の皆さんにとって、自分の立ち位置を捉え直して新たな関係性を築き行動を起こすために役立つ必携書です‼
上記内容は本書刊行時のものです。