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教師のひと言の重さ
―死刑囚の魂の回心
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年10月20日
- 書店発売日
- 2023年10月16日
- 登録日
- 2023年9月4日
- 最終更新日
- 2023年10月18日
書評掲載情報
2024-02-12 |
日本教育新聞
2024年2月12日付 評者: 浅田和伸(長崎県立大学学長) |
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紹介
本書は、第二次世界大戦後の日本における教育を筆者自らが学び・教え・育て・創ってきた体験と知見の根幹を集成した珠玉の書である。1996年から2012年の論考をもとに改稿し編み直された7つの章を今あらためて読むことで、今日の教育界が遭遇している子どもと教師にかかわる課題が、社会的背景こそ移ろってもその要諦と真因は通底していることをひも解いていく。時代は変わっても子どもと教師の関係性は不易なものであること、教師の仕事における使命と魅力は変わらないこと、を慈愛に満ちた誠実な言葉で語りかける。
目次
第1章 教師のひと言の重さ ~死刑囚・島 秋人の魂の回心~
第2章 いま、なぜペスタロッチーか ~教育的格差・貧困・偏見に挑む~
第3章 車椅子のひとりの生徒が学校を変えた ~大野真吾君の生き方から学ぶもの~
第4章 転換期における青年の未来選択と教師教育 ~戦後50年の教師教育と全私教協15年の歩みを視座に据えて~
第5章 開放制教師教育制度の成果と課題 ~21世紀を拓き担う創造的教師を育むために~
第6章 若き教師へ ~未来を拓く希望としての教育を求めて~
第7章 閉塞的時代をリードした教育者 ~山本良吉の『若き教師へ』~
前書きなど
教師の使命は、一人ひとりの子どもの命によりそい
子どもたちと共に平和な未来社会を創造する仕事です。
[まえがき]
この本は、教師として教育実践者・研究者としてお話ししてきたもののなかから、とくに教師の仕事について述べたものや講演録などに加筆したものです。
第1章の「教師のひと言の重さ ~死刑囚の魂の回心~」は、私が若い日に知り、その後の私の教育実践のなかで常に大切にしてきたものです。この内容は、2012年第59
回埼玉県更生保護大会でお話ししたものです。
第2章「いま、なぜペスタロッチーか ~教育的格差・貧困・偏見に挑む~」は、2008年武蔵大学最終講義で述べたもので、そのもとは鎌倉円覚寺第61回夏期講座に加筆したものです。
第3章「車椅子のひとりの生徒が学校を変えた ~大野真吾君の生き方から学ぶもの~」は、私が講演で出会った筋ジストロフィーの小学生の成長のプロセスを通して彼の生き方が仲間を変え、学校を変え、地域の人々を変えた姿を述べたものです。
第4章は「転換期における青年の未来選択と教師教育 ~戦後50年の教師教育と全私教協15年の歩みを視座に据えて~』は、1996年度の全私教協(全国私立大学教職課程研究連絡協議会)の第15回大会での基調提案に加筆したものです。この提案からおよそ30
年後の現在の教師教育へつながっている課題として、次の3点をあげたい。
① 教育制度改革の失敗は、大量退職による年齢層の偏りが学校教育の現場に混乱を引き起こしている。
② 教師の働き方やICT化など新たな教師教育の課題のために、青年の教職への希望が喪失している。
③ 時代思潮が変わっても、教育は国家100年の大計であり、教師教育は不易であり、永遠の課題である。
第5章「開放制教師教育制度の成果と課題 ~21世紀を拓き担う創造的教師を育むために~」は、2006年度の全私教協第26回研究大会「シンポジウム・中教審中間報告を問う』での提案に加筆したものです。
第6章「若き教師へ ~未来を拓く希望としての教育を求めて~」は、2008年9月武蔵大学白雉教育会の研究会での講演に加筆したものです。白雉教育会とは、全国各地で教師として活躍している武蔵大学卒業生がつくる研究会で、会員は現在300名ほどです。
第7章「閉塞的時代をリードした教育者 ~山本良吉の『若き教師へ』~」は、2008年6月武蔵大学人文学会研究会で報告したものに加筆したものです。
大村はまさんも「教師の仕事の成果は、ほんとうに、人を育てたものは、なかなか見えにくいものです。自分で見ることのできることは、ほとんどないでしょうし、本人の気がつくことは、いっそうないでしょう。ほんものであればあるほど、ほんとうにその人のものになっていて、気づかれないでしょう。教師の仕事はそういうものでしょう。」(『日本の教師に伝えたいこと』筑摩書房、2008年、212頁)と述べているように、教師の営みは無償の行為です。
2023年8月 猛暑の日々のなかで 黒澤 英典
版元から一言
学校教師がブラック企業で働くビジネスマンに譬えられ教職志願者が減少する昨今の風潮を深く憂う筆者が、教師を目指す若き人たちに向けて上梓する魂の書です。
戦後の教師教育の変遷と改革を目の当たりにしてきた筆者だからこそ、子どもたちの内面に秘められた無限の可能性を信じて真っすぐに向き合うことが、時代を超えた不易流行の「教師の使命」であると語りかけています。
上記内容は本書刊行時のものです。