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微分方程式
理工学の原点
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2025年1月14日
- 書店発売日
- 2025年1月14日
- 登録日
- 2024年11月8日
- 最終更新日
- 2025年2月6日
紹介
自然は数学という言葉で書かれている。そして、自然現象は微分方程式で記述される
ミクロ世界を記述する量子力学もシュレーディンガーが導出した微分方程式がすべての原点となっている。
式の導出にいっさい手を抜かないと評判の著者が贈る
理工数学シリーズ第9弾
1階1次の微分方程式からはじめて、基本技法を学びながら、より複雑な微分方程式の解法へといざなう。ベルヌーイ、クレロー、オイラー、エルミート、ルジャンドル、数学史に燦然と輝く先達たちが挑戦した方程式の解法も難なく理解できる。
目次
もくじ
はじめに ·········································································· 3
第1 章 微分方程式の分類 ················································· 11
1. 1. 微分方程式の名称 12
1. 2. 微分方程式と解 14
第2 章 1 階1 次微分方程式 ··············································· 17
2. 1. 1 階1 次微分方程式 17
2. 2. 変数分離形 21
2. 3. 同次形 25
2. 4. 1 階線形微分方程式 31
2. 5. 同次方程式の解法 32
2. 6. 非同次方程式の解法 ― 定数変化法 33
2. 7. 定数変化法の定式化 39
2. 8. 非線形微分方程式 43
2. 8. 1. ベルヌーイの微分方程式 43
2. 8. 2. リッカチの微分方程式 50
補遺2-1 変数分離 57
A2-1. 1. 多変数関数の変数分離 57
A2-1. 2. 1 変数関数の場合 58
A2-1. 3. 導関数 58
A2-1. 4. 変数分離形の積分 59
A2-1. 5. 一般式 60
補遺2-2 同次形と同次微分方程式 61
A2-2. 1. 同次関数の定義 61
A2-2. 2. 同次形の微分方程式 62
A2-2. 3. 多項式以外の同次関数 63
A2-2. 4. 同次微分方程式 66
第3 章 完全微分方程式 ···················································· 68
3. 1. 関数の全微分 68
3. 2. 完全微分方程式 71
3. 3. 完全微分方程式の判定方法 75
3. 4. 完全微分方程式の解法 76
3. 5. 積分因子 81
3. 6. 非同次方程式の解法 91
3. 7. 積分因子が2 変数となる場合 94
3. 7. 1. M (x, y) = x^m y^n となる場合 94
3. 7. 2. 同次関数の場合 96
補遺3-1 完全微分方程式 ― 問題のつくり方 102
第4 章 1 階高次微分方程式 ·············································· 104
4. 1. 因数分解による解法 104
4. 2. y = f (x, p) と変形できる場合 108
4. 3. x = f (y, p) と変形できる場合 111
4. 4. クレローの微分方程式 115
4. 5. 特異解 119
4. 6. ラグランジュの微分方程式 124
第5 章 2 階線形微分方程式 ·············································· 129
5. 1. 2 階線形微分方程式 129
5. 2. 2 階線形同次微分方程式 131
5. 3. 定数係数の2 階線形同次微分方程式 132
5. 3. 1. 特性方程式 132
5. 3. 2. 特性方程式の判別式が正の場合 133
5. 3. 3. 特性方程式の判別式が負の場合 134
5. 3. 4. 特性方程式が重解を持つ場合 138
5. 4. 非同次方程式 140
5. 4. 1. 定数変化法 140
5. 4. 2. 定数変化法の定式化 146
5. 5. 未定係数法 149
5. 5. 1. 多項式 149
5. 5. 2. 三角関数 151
5. 5. 3. 指数関数 152
5. 5. 4. 非同次項が関数の積の場合 154
5. 6. 変数係数2 階線形微分方程式 158
5. 6. 1. オイラーの微分方程式 158
5. 6. 2. 階数低下法 160
5. 7. 変数係数の非同次微分方程式 166
5. 7. 1. 変数係数の場合の階数低下法 166
5. 7. 2. 変数係数の場合の定数変化法 170
補遺5-1 線形微分方程式と線形空間 172
A5-1. 1. n 階線形微分方程式 172
A5-1. 2. 線形同次微分方程式の解 172
A5-1. 3. ロンスキー行列式 174
A5-1. 4. 解の線形空間 177
A5-1. 5. 線形空間とベクトル 178
A5-1. 6. 非同次線形微分方程式 180
補遺5-2 級数展開 182
A5-2. 1. 級数展開 182
A5-2. 2. 指数関数 183
A5-2. 3. 三角関数 184
A5-2. 4 テイラー展開 184
補遺5-3 オイラーの公式 186
第6 章 級数解法 ···························································· 189
6. 1. 級数解法 189
6. 2. 変数係数微分方程式 193
6. 3. フロベニウスの方法 194
6. 4. 解の存在 203
6. 5. 級数解法の理工分野への応用 206
6. 6. ベッセルの微分方程式 206
6. 6. 1. ゼロ次のベッセル関数 207
6. 6. 2. m≠0 のベッセル微分方程式の解 209
6. 6. 3. 一般のベッセル関数 211
6. 7. ルジャンドル微分方程式 214
6. 7. 1. ルジャンドル方程式の解 215
6. 7. 2. ルジャンドル多項式 216
6. 8. エルミートの微分方程式 218
6. 8. 1. 級数解法 218
6. 8. 2. エルミート多項式 220
6. 9. ラゲールの微分方程式 221
第7 章 解法可能な高階微分方程式 ···································· 226
7. 1. 定数係数高階線形微分方程式 227
7. 2. 完全微分方程式 230
7. 3. オイラーの微分方程式 239
7. 4. 解法可能な高階微分方程式 244
7. 4. 1. 従属変数 y を含まない高階微分方程式 244
7. 4. 2. 独立変数x を含まない高階微分方程式 246
補遺7-1 特性方程式に重解がある場合の基本解 250
第8 章 演算子法 ···························································· 254
8. 1. 演算子 254
8. 1. 1. 線形演算子 255
8. 1. 2. 演算子の積 256
8. 1. 3. 逆演算子 256
8. 2. 微分と演算子 257
8. 2. 1. 微分演算子 257
8. 2. 2. 積分 258
8. 3. 演算子と微分方程式 259
8. 3. 1. 非同次項が e^kx の場合 260
8. 3. 2. 非同次項が三角関数の場合 264
8. 4. 逆演算子の一般化 267
8. 4. 1. 演算子1/(D-a) の作用 268
8. 4. 2. 非同次項がx の多項式の場合 270
8. 4. 3. 逆演算子の級数展開 271
8. 4. 4. 因数分解できる場合 275
8. 5. 非同次項が種々の関数を含む場合 277
第9 章 連立微分方程式 ··················································· 284
9. 1. 線形代数の手法を利用した解法 287
9. 1. 1. 同次方程式 287
9. 1. 2. 行列の対角化 288
9. 1. 3. 固有値と固有ベクトル 289
9. 1. 4. 固有方程式 291
9. 2. 連立微分方程式の解法 291
9. 3. 非同次方程式 297
おわりに································································· 306
前書きなど
はじめに
自然現象を科学的に解析する際には、対象とする問題を微分方程式
(differential equation) で表現することが基本となる。物体の運動や電気回路など
が代表例である。したがって、微分方程式は、理工学の基本となる。さらに、経
済学、データサイエンス、経営学でも必須の道具となっている。
しかし、微分方程式は「全体像がつかみにくい学問」とも言われている。その
扱う内容が広範囲にわたっており、さらに、多種多様の微分方程式の解法が羅列
的に紹介される場合が多いからである。
しかも、その解法には、いろいろな数学的手法が駆使されている。これには、
解法の難しい微分方程式に挑戦することが数学者たちの歴史となってきたとい
う背景がある。そのため、微分方程式の解法に成功した数学者の名前を冠した式
が、数多く登場することになる。
微分方程式には1変数関数を対象とした常微分方程式 (ordinary differential
equation) と、2変数以上の関数を対象とした偏微分方程式 (partial differential
equation) がある。ただし、基本は、あくまでも1変数を対象とした常微分方程
式である。よって、本書は常微分方程式を対象とする。
さらに、膨大な数と種類からなる微分方程式の構造がわかりやすいように、ま
ずは、基本の1階1次の導関数dy/dx からなる微分方程式の解法に重点を置いて
いる。そこに、微分方程式のエッセンスが詰まっているからだ。
そのうえで、理工系で重要となる2階1次微分方程式、つまりd 2y/dx2 が含ま
れる微分方程式の解法を紹介している。理工分野で重用される微分方程式は、2
階1次までで、ほぼ網羅される。
実は、1階でも2次以上ならびに1次であっても3階以上の微分方程式は、ほ
とんど解法することができないのである。また、これら微分方程式は、理工系分
野の応用で登場することは多くはない。ただし、高階、高次であっても、いくつ
かの微分方程式の解法が可能なことが知られているので、それらも紹介している。
かつての微分方程式の教科書では、解の存在定理 (existence theorem of
solutions) の証明が重要な位置を占めていたが、本書では取り扱っていない。も
ちろん、重要な定理ではあるが、初学者に混乱を与えるうえ、理工系への応用に
おいては、それほど重要ではないからである。あくまでも重要なのは、微分方程
式の解を得ることであり、解の存在の証明ではないからである。興味のある方は、
他書を参照いただきたい。
本書を通して、微分方程式の意義と意味、そして全体像をおおまかでもつかん
でいただければ幸甚である。
村上雅人、安富律征、小林忍
版元から一言
式の導出にいっさい手を抜かないと評判の著者が贈る
理工数学シリーズ第9弾
自然は数学という言葉で書かれ、自然現象は微分方程式で記述される。
ミクロ世界を記述する量子力学もシュレーディンガーが導出した微分方程式が
すべての原点となっている。
数学者たちは、見事な技法を駆使して
解法が難しい微分方程式に挑み、解法に成功している。
それが、現代科学の礎(いしずえ) となっている。
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。