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AI vs 銀行員 金融ビジネスのトランスフォーメーション
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2024年3月26日
- 登録日
- 2024年2月13日
- 最終更新日
- 2024年5月20日
紹介
生成型AIが普及した今だからこそ求められる待望の新刊が登場!
前著『AI化する銀行』より6年……
ますます加速した「銀行員 vs AI」の構図。
”人手不足”から”人余り”時代の到来へ。
銀行業務がAIに置き換えられる危機に警鐘を鳴らす!
生成型AIに銀行員は仕事を奪われてしまうのか?
銀行ビジネスにおけるAI活用と、
これからの銀行ビジネスのあり方を提唱した精度の高い予言の書。
目次
第1章 消える支店と銀行員たち
第2章 生成型AIで「この仕事」が奪われる
第3章 銀行ビジネスのAI活用における基本プロセス
第4章 銀行ビジネスはこう変わる― リテール編
第5章 銀行ビジネスはこう変わる― ホールセール編
第6章 高度化・複雑化する金融犯罪をAIで防ぐ
第7章 銀行が「システム会社」にトランスフォームする未来
前書きなど
2030年頃には、銀行の支店の数はますます減少し、支店の人員も最終的には支店長と、ロボットを管理するマネージャーの2人体制になるかもしれない。
支店はカフェのような場所になるか、コンビニエンスストアのワンコーナーになっている可能性すらある。
一方、銀行本部では経営企画、システム、人事・総務など最小限の機能だけが残る。AIを開発・保守・管理するITエンジニアが増加し、彼らITエンジニアとサーバーが本部のリソースの中心になり、本部はデータセンターの機能に特化していくだろう――。
今から5、6年前、書籍やセミナー、取材などで、私は銀行業務の中でAIの活用が進むことによる、このような「未来の銀行」を展望していました。
それから数年が経過した今、その未来は私の予想よりもはるかに早く、現実のものになろうとしています。
その決定打ともいえるのが、「ChatGPT」に代表される「生成系AI」の登場です。言語の複雑なアルゴリズムを理解し、人間とほぼ変わらないレベルで自動的に会話や文章を生成する技術が、とりわけ2020年以降に飛躍的な進化を遂げました。そのことで、銀行業務がAIに置き換えられるスピードが速まり、かつ、その領域が大きく拡大しました。
『AI 銀行員』の対立構造でいうなら、今日では銀行業務のほとんどがAIの圧 勝といえる状況です。窓口での融資や口座開設の書類審査や、コールセンター業務な どは言うに及びません。高度な経験とスキルが要求されるトレーディングなどの市場 業務も、数年前までではまだ経験豊富な人間のトレーダーのほうが良好な運用成績を出していましたが、今では完全にAIに軍配が上がっています。
数年前に抱いていた危機感が、当初の予想より速いスピードで迫ってきている――
それは、私自身が銀行業界に長く身を置き、AI開発に携わっている立場からも強く断言できます。
私は富士通でITエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、みずほフィナンシャルグループへ移籍。金融業務とITの融合が進んでいたトレーディング業務やリスク管理業務に携わりました。
その後、金融ITベンチャー「Sound‐F( Sound–FinTech )」で金融工学部門のマネージャーを経験した後、2015年に「株式会社オメガ・パートナーズ」を起業。トレーディングやリスク管理をはじめ、AIを活用した高度な金融業務システムの開発や、開発プロジェクトのマネジメントに携わっています。
このようなキャリアを通じて、私自身、「テクノロジーによる銀行業務の自動化・効率化」というテーマに一貫して関わってきました。だからこそ、生成系AIの登場が銀行業務を、ひいては銀行業界そのものを大きく変革させるほどのインパクトをもたらしうることを、誰よりも実感し、脅威を感じているのです。
数年前までは、書籍などにおいて私は「銀行業務がAIに切り替わる時代でも、人間はもう不要になるなどと悲観する必要はまったくない」と述べていました。というのは、その当時は銀行業界全体が深刻な人手不足に直面しており、AIを導入するよりも人に処理させたほうが、コストパフォーマンスが高い領域が多かったからです。
ところが、生成系AIの登場によって、銀行員よりAIのほうが処理速度、量、正確性ともに上回る領域が拡大したことで、人手不足はもはや問題にならなくなりました。それどころか、これからは銀行業界において本格的な「人余り」時代が到来することが目に見えています。
その「人余り」時代を控え、銀行は、そして銀行員はどう生き残るべきでしょうか? その方向性を再び指し示したいとの思いから、私は本書を書きました。
本書は、私の思い描いた「未来の銀行像」のアップデートになりますが、たった数 年の間にAIの技術は予想を超えて進化し、それに伴い銀行がAIを導入すべき意義 も変化しました。本書では、その前提となる背景や最新技術に関する知識をアップデートしながら、あらためて「なぜ、銀行にとってAIを導入しなければならないのか」を問い直すことをテーマとしています。
同時に、リテール部門、ホールセール部門、さらにはアンチマネーロンダリング対策など、複雑化する銀行業務においてどのようにAI技術を導入すべきなのか、その具体的な道筋もお示ししています。
これから銀行業務がAIにどんどん置き換えられる時代には、銀行員がこれまで培ってきた業務知識や経験が相対的に陳腐化していきます。言いにくいのですが、このまま過去の経験だけに頼っているようでは、組織の中で次第に価値を失っていく、ということです。
これから「支店の人員は支店長とマネージャーの2人体制になる」中で、銀行員として生き残っていくには、銀行業務の意思決定者にならなければなりません。言い換えると、ITリテラシーを身につけ、AIを〝部下〞として使いこなす人材になるしかありません。
高度なプログラミングや統計などの知識を身につけろ、とまで言うつもりはありません。ただ、生成系AIの言語モデルについて一定の知識があり、その言語モデルがどのように作られたのかを理解できるだけのリテラシーは必須です。そのうえで、銀行業務に対する経験と知識を活かし、外部人材を活用しながらAI導入のプロジェクトをリードしていく人材だけが、意思決定者として銀行組織の中で生き残っていけるでしょう。
本書では、銀行業務の多くがAIに置き換えられる、かなりシビアな現状や未来を綴っています。正直、辛辣な表現も所々あるかもしれません。しかし、多くの銀行員の皆さまが、これらの現状を直視し、今の組織を、そして銀行業界を変革していくリーダーとなる、そのきっかけとして本書を参考にしていただきたい。私自身、長く銀行業界に身を置く一人として、そのことを切に願っています。
上記内容は本書刊行時のものです。

