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産消提携運動の社会学
農業を「食べて支える」人びと
- 初版年月日
- 2025年12月30日
- 発売予定日
- 2026年1月30日
- 登録日
- 2025年12月23日
- 最終更新日
- 2026年1月9日
紹介
すべての人にとって不可欠な「食べること」が、地球規模で脅かされている。
食と農を持続可能なものにするための、解決の鍵は日本にあった!
安全な農産物の生産・流通をめざす産消提携運動がそれである。1970年代以降、生産者と消費者が手を取り合いつつ重ねた半世紀以上にわたる産消提携の実践は、世界で盛り上がるCSA(地域が支える農業)の「元祖」ともいわれる。
自身でも有機農業を営んだ経験のある著者が、「食べること」を支えてきた人々の活動を社会学的に考察し、未来への手がかりを探る。
目次
序章 どのように人は持続可能な食の食べ手となるのか
第1節 持続可能な農業と食のシステムへの転換に向けて
第2節 産消提携研究のこれまで
第3節 研究対象と研究方法
第4節 本書の構成
第1章 産消提携における「食べること」のオルタナティブ性
第1節 オルタナティブフードネットワーク(AFNs)を見渡す――何が、何から、どのように「オルタナティブ」なのか
第2節 「オルタナティブ性」の影で不可視化されたもの
第3節 多層的かつ多元的にAFNsを理解する
第4節 AFNとしての産消提携
第5節 オルタナティブな「食べること」を焦点化する
補論 有吉佐和子と産消提携――産消提携の黎明期を振り返る
第2章使い捨て時代を考える会と安全農産供給センター――半世紀続く産消提携組織のオルタナティブ性
第1節 使い捨て時代を考える会・安全農産供給センターの現状
第2節 歴史的経緯を振り返る
第3節 「ポスト工業化時代」の産消提携を思考するために
第3章 消費者が「選べない食実践」の再評価
第1節 「選べない食実践」はどのように成立するのか
第2節 実践が生まれ、続くしくみ――実践理論のアプローチから
第3節 「選べない食実践」としての野菜セット
第4節 食実践の3要素と相互作用
第5節 「選べない食実践」にリクルートされる実践者たち
第6節 食実践の継続に向けて
第4章 「考える素材」から考察する食の社会的埋め込みとその変容
第1節 「考える素材」という鍵概念
第2節 食を社会的諸関係に埋め戻す
第3節 産消提携における食の社会的埋め込み
第4節 変遷する「関係性に埋め戻される食」
第5章 産消提携と食の正義――「有機野菜を食べることは個人の選択」なのだろうか
第1節 健康で持続可能な食の「自己責任化」
第2節 リフレクシブな食の正義という視座
第3節 提携会員の抱える葛藤
第4節 正しい食を「覚悟して受け入れる」
第5節 不完全さを受容しながら「食の正義」を模索する
終章 提携型食行動の食べ手形成と持続可能な食への展望
前書きなど
本書では、長期にわたり実践を積み重ねてきた産消提携のひとつの事例に焦点を当てる。具体的には、京都において半世紀以上にわたり提携活動を継続してきた「使い捨て時代を考える会」と「安全農産供給センター」の会員たち、主として「食べ手」たちによる実践に着目し、フィールドワークおよび会員による手記を手がかりに、オルタナティブフードネットワークを分析枠組みに社会学的な検討を行うものである。
「食べること」は、すべての人が生きるために不可欠の営みである。今日、フードセキュリティの実現に加え、より公正で持続可能なフードシステムへの転換という地球的課題に応答するためにも、「食べること」のあり方を問い直すことが求められている。本書で紹介する人びとの経験が、私たちが今後どのような「食べること」を積み重ねていきたいのか、また、それによってどのような〈世界〉を構築し、未来世代に手渡したいのかを考えるための、一つの参照軸となれば幸いである。
上記内容は本書刊行時のものです。
