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生理を、仕事にする。
台湾の生理を変えた女性起業家たち
原書: 從零開始打造月經平權:從使用者到創業家,台灣第一本生理用品發展紀錄
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年7月5日
- 書店発売日
- 2024年7月1日
- 登録日
- 2022年9月7日
- 最終更新日
- 2024年6月28日
紹介
いま、台湾は生理用品先進国!
タンポンはもちろん、月経カップや最新の月経ディスク、ナプキンいらずの吸水ショーツ「ムーンパンツ」など、あらゆるアイテムが台湾で開発・販売され、台湾のみならず日本でも多くのユーザーを獲得しています。
そんな台湾も、少し前までは使い捨てナプキンほぼ一択状態。生理の話もタブー視されていました。
短期間で大進化を遂げたのは生理用品だけでなく、文化そのものだったのです。
台湾の生理、台湾の文化を変えたのは他でもない、生理用品開発に情熱を燃やした女性起業家たち!
本書は彼女たちの奮闘記です。
目次
日本の読者のみなさんへ
編者のことば 間近で見てきた台湾の生理革命
はじめに 台湾の生理文化を振り返る
Chapter 1.「生理」と私たちの歴史
そもそも月経って? ─女性がいない医学
少女の視点が欠けている月経教育
なぜ憂鬱なのか─隠された身体感覚
布ナプキンブランド「CherryP」の物語
タンポン暗黒時代
タンポン推進大使
Chapter 2.台湾製タンポンブランドの誕生
ヴァネッサの船出
「医療機器」のハードル
理想か、現実か─ヴァネッサの決断
Chapter 3.台湾の女性たちに月経カップを
月経カップがほしい!
クラウドファンディングがスタート
生理に一輪の花を
小さなカップとシスターフッド
Chapter 4.生理を短くするムーンパンツ
掲示板のガールズトーク
「GoMoond」を立ち上げる
消費者のための月経教育
隠れ生理期間
青い液体とイライラの正体
生理マニアの祭典
オフラインのイベント「月月会」
私たちの生理革命
おわりに 生理を豊かな経験に変えることは、もはや夢ではない
推薦のことば 女性にやさしい世界をつくろう─成令方
推薦のことば 切っても切れない生理用品と女性の歴史─楊佳羚
訳者あとがき―小島あつ子
解説 日本で、生理を仕事にする。―北原みのり
年表
前書きなど
日本の読者のみなさんへ
ほんの十数年前まで、台湾は女性蔑視の言葉が溢れる国でした。テレビのバラエティ番組で、ある男性司会者が「(女性がタンポンを使うのは)血を吸って膨らむと気持よくなるからだ」と笑いながら発言していたほどで、そんな光景は日常にありふれていました。保守的な環境で成長した私たちは、自然と挿入型の生理用品に対して否定的な固定観念を持ち、経血は不潔なものとさえ考えていたのです。
しかし大人になり、海外のタンポンをオンラインで購入し使うようになると、生理に対するイメージは激変しました。生理中でも泳げるし、スポーツもできる。ムレや不快感、かぶれなどを我慢する必要もなくなりました。快適に過ごすために生理用品を選んで使うことは、女性の権利であると気付かされたのです。
私たちは独自に女性たちのニーズを調べました。すでに欧米で普及していた月経カップや月経ディスク、吸水ショーツなどの生理用品の分析・研究からスタートし、少しずつ業界に参入していきました。本書でも紹介している CherryP のオーガニックコットン製布ナプキンや私たちが研究開発したムーンパンツ、そして月経カップを開発した凱娜KiraKiraが昨年発売を開始したばかりの月経ディスクと、さまざまな商品が市場に送り出されました。収益の点では、使い捨てナプキンが市場シェア率九五%と圧倒的です。しかし私たちの目的は単なる市場の開拓ではなく、ユーザーのニーズを考慮し、女性が選択する権利を追究していくことなのです。
快適さを求めることは人間本来の権利であり、社会が発展していくための原動力でもあります。私たちが目指すのは、女性が自由に生理用品を選べる社会です。そして使い捨てナプキンや布ナプキン、タンポン、月経カップ、吸水ショーツなどさまざまな組み合わせを身体の状態や好みに合わせて選ぶことができれば、生理期間をもっと自由に過ごせるようになります。それもまた女性の権利のひとつだと考えています。
台湾には布ナプキンのメーカーが数えきれないほどありますが、タンポンや吸水ショーツ、月経カップのメーカーも今では複数できています。またオンライン上のフォーラムやソーシャルグループ、個人のフェイスブックでもさまざまなブランドの製品を使ってみた経験談がシェアされるようになりました。十数年前と比べて、社会の空気は変わってきています。
女性が十分な教育を受け、経済的に自立し、産み育てる権利を獲得することは、一朝一夕に実現しえない大きな課題です。政府や社会運動団体がそのために活動していますが、私たちはそこに足りないものを補おうとしています。
それは何か?ずばり、生活必需品です。忘れられがちな生活必需品もまた技術の結晶であり、社会の発展とともに進化すべきものなのです。
本書に記されているのは台湾における生理用品の発展史だけではありません。個人的なニーズから出発した女性起業家たちが、社会全体で女性の権利意識を覚醒させるために動いてきた記録でもあります。
台湾と近しい日本で本書が出版されることをとてもうれしく思います。台湾の女性たちにインスピレーションを与えたこの本が日本のみなさんにも届くことで、私たちがともに女性の権利拡大のため貢献していけることを願っています。
GoMoond
版元から一言
台湾は、いわゆる「ジェンダーギャップ比較」の国際順位にこそ登場していませんが、実はアジアで最も男女平等が進んでいると言われています。特に「フェムテック」という分野では、明かにアジア圏でダントツに先をいっている。月経カップや月経ディスクをアジアで最初につくったのは台湾。アジア初の吸水ショーツをつくり、日本にブームを巻き起こしたのも、台湾の女性たちです。その中心にいるのが、30代、40代の女性たち。小さな会社で独立の資本で頑張っている女性たちです。
本書は、台湾で初めて自分たちの手でタンポンをつくり、アジア初の月経カップをつくり、アジア初の月経ディスクを開発してきた台湾生理革命の母と呼ばれているヴァネッサと、アジア初の生理用吸水ショーツをつくり、日本と台湾で10万枚発売し、日本の吸水ショーツブームをまきおこしたムーンパンツの創業者のユアンイーとフィオナ三人の物語を中心に、台湾の生理革命を記録しています。
台湾のフェムテック業界を牽引する重要な3人が「生理を仕事にする。」とはどういうことか。男性主体のビジネス界、生理用品をつくるのは男、広告を考えるのも男、買うのだけ女、、、という世界で、どのようにビジネス界を変え、そして人々の意識を変え、社会を変えていったのか・・・。その物語はきっと、日本に暮らす私たちにも大きなヒントを与えてくれるものになったと思います。女性のためになるような仕事をしたいそんな女性たちに読んでいただきたい本になりました。
上記内容は本書刊行時のものです。