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地域の再生と多元的経済
イギリスのサードセクターと社会的企業に学ぶ
- 初版年月日
- 2021年1月29日
- 書店発売日
- 2021年1月29日
- 登録日
- 2021年1月20日
- 最終更新日
- 2021年1月20日
紹介
政府からの補助金頼りの「地域再生」には未来がない。
現在の先進諸国の経済システム──「政府」「市場」「社会」という三つのセクターが織りなす「多元的経済」──が深化していけば、地方においては「政府」や「市場」は〝後景〟へと引いていく傾向があるからだ。そうした中で、「社会(サードセクター)」が「地域再生」のプレイヤーとして注目を集めつつある。
とりわけ日本に先行する形で地方都市の疲弊が顕著となっていたイギリスにおいては近年、社会的企業や地方支援組織といったサードセクターが牽引する「地域再生」が目覚ましい成果を上げている。
本書は、多元的経済の時代における地域再生の手がかりを求めて、日本の研究者がイギリス各地のサードセクターを訪ね歩いたフィールドワークの記録である。そこには、あくまで地域住民を主役に立てながら、持続可能なビジネスとしての「地域再生」のモデルを探るべく奮闘するサードセクターのスタッフたちの姿があった。
「地域再生の本場」イギリスの経験から得られる知見は、人口の減少と都市圏への偏在が加速化する現代日本の地域開発を考える上でも大きなヒントになるはずだ。
目次
まえがき
序 章 多元的経済の時代に
第一章 サードセクターの捉え方とイギリスの社会的企業
1 サードセクターをどう捉えるか
2 社会的企業がイニシアチブをとる地域の再生
3 イギリスの社会的企業の諸特徴
第二章 グラウンドワークの形成と展開――グラウンドワーク・セントヘレンズ・ノーズリー・セフトン&リバプール、グラウンドワーク・マーサー&ロンダ・カノン・タフ
1 パートナーシップの時代
2 グラウンドワークの誕生
3 グラウンドワーク・セントへレンズ・ノーズリー・セフトン&リバプール――初期グラウンドワークの活動実践事例①1
4 グラウンドワーク・マーサー&ロンダ・カノン・タフ――初期グラウンドワークの活動実践事例②
5 グラウンドワークの実践的特徴と可能性
第三章 緊縮財政下のグラウンドワーク――グラウンドワーク・ノース イースト&カンブリア
1 社会、経済の変化とブレグジット
2 農村社会の変化
3 グラウンドワークの変容
4 グラウンドワーク・ノース イースト&カンブリア
5 グラウンドワークの現段階と今後への期待
補論Ⅰ イギリスの多元主義と市民社会1
第四章 市民環境団体の多元的展開――ヨークシャーデールズ・ミレニアムトラスト
1 環境団体から地域支援組織への展開
2 ヨークシャーデールズ・ミレニアムトラストの組織機構
3 ヨークシャーデールズ・ミレニアムトラストの事業内容
4 ヨークシャーデールズ・ミレニアムトラストの財務上の特徴
5 地域支援組織の実態からみた日本への示唆
第五章 環境保全活動を通じた地域づくり――ノース・デボン生物圏保存地域
1 生物圏保存地域の制度とデボン州北部の概要
2 ノース・デボン生物圏保存地域の運営組織
3 バイオスフィア・チームによる環境保全の取り組み
4 環境保全活動とコミュニティとの関わり方
第六章 コミュニティを支援する専門家組織――アクション・ウィズ・コミュニティーズ・イン・カンブリア
1 組織運営と活動理念――コミュニティ・ディベロップメント
2 コミュニティによる地域計画策定とACTの支援事業
3 専門家としてコミュニティや地域住民にどう関わるか
第七章 シティファームによるインナーシティの再生――ウィンドミル ヒル・シティファーム
1 「ソーシャル・エンタープライズ・シティ」ブリストル
2 ウィンドミル ヒル・シティファームのコミュニティづくり
補論Ⅱ イギリス南部の環境都市ブリストル調査から考えた
循環と交響の地域づくりの課題
第八章 旧鉱山地の再活性化を担う社会的企業群――オールストン ムーア
1 「ソーシャル・エンタープライズ・タウン」オールストン ムーア
2 社会的企業群の誕生、発展、定着
3 サイバームーア・グループの事業展開
補論Ⅲ イギリスのパートナーシップ型地域再生を日本のまちづくりに生かす
終 章 「奥行きの深い国民経済」をつくるサードセクターと社会的企業の地平
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。