紹介
韓国小説のつむぎ手たちによる
濃密な文学談義と彼らの素朴な日常の話。
作家が作家に聞く、ロングインタビュー集第2弾。
作家本人の声を通して知るもっと深い韓国文学の魅力――。
「(セウォル号事故の起きた)2014年になると、部屋を出てもう一度社会的責任というものについて考えをめぐらさざるを得なくなりました。
もうこれまでどおり斜に構えてはいられなくなった」(キム・グミ)
「私の小説の目的が見えるはずだ。ほかでもない、人間だ。それも、運命の暴力性に踊らされる人間」(チョン・ユジョン)
「時に真実は我々の心に突き刺さり、正直に伝えることが相手に痛みを与えるため、隠しておいた方がいい、と思えたりもする。でも、やはりそうじゃない。それでも真実だけが心の痛みを和らげてくれるんです」(コン・ジヨン)
「フェミニズムも同じで、私が20年前に書いた小説の中の問題意識をいまも人々は同じように感じている。だからこそ胸が痛みました」(ウン・ヒギョン)
「文学は宗教ではない。崇高な信念ではなく、技術を必要とする仕事だ」(チョン・ミョングァン)
インタビュー掲載作家
キム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』
チョン・ユジョン『七年の夜』『種の起源』
コン・ジヨン『トガニ』『私たちの幸せな時間』『サイの角のようにひとりで行け』
ウン・ヒギョン『美しさが僕をさげすむ』『鳥のおくりもの』
チョン・ミョングァン『鯨』
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「クオン インタビューシリーズ」は、さまざまな芸術の表現者とその作品について、広く深く聞き出した密度の高い対話録です。
目次
あまりにも小説の未来、キム・グミの心
キム・グミ/ペク・カフム/すんみ訳
ストーリーテラーの起源
チョン・ユジョン/チョン・ヨンジュン/カン・バンファ訳
それでも真実だけが心の痛みを和らげてくれる
コン・ジヨン/ペク・カフム/蓮池薫訳
それでも書き続ける
ウン・ヒギョン/チョン・ヨンジュン/呉永雅訳
肉体小説家の9 ラウンド
チョン・ミョングァン/チョン・ヨンジュン/斎藤真理子訳
著者プロフィール
キム・グミ
(キム グミ) (著/文)
1979年、釜山生まれ。2009年韓国日報の新春文芸に「あなたのドキュメント」が当選してデビュー。
短編集に『センチメンタルも毎日だと』、『あまりにも真昼の恋愛』(すんみ訳、晶文社)、『たった一人のもの』、長編小説に『敬愛の心』、『愛しのメギ』、『ポクチャへ』、掌編小説集に『私はそれについてとても長いあいだ考えている』、エッセイに『愛以外のすべての言葉』などがある。申東曄文学賞、若い作家賞、現代文学賞を受賞。
すんみ
(スンミ) (翻訳)
翻訳家、ライター。早稲田大学大学院文学研究科修了。訳書にキム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』(晶文社)、チョン・セラン『屋上で会いましょう』(亜紀書房)、共訳にイ・ミンギョン『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』、リュ・ジョンフンほか『北朝鮮 おどろきの大転換』(河出書房新社)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』(筑摩書房)がある。
チョン・ユジョン
(チョンユジョン) (著/文)
長編小説『私の人生のスプリングキャンプ』で第一回世界青少年文学賞、『私の心臓を撃て』で第五回世界文学賞を受賞して文壇デビュー。
長編小説に『七年の夜』(カン・バンファ訳、書肆侃侃房)、『28』、『種の起源』(カン・バンファ訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ)『ジニ、ジニ』、エッセーに『チョン・ユジョンのヒマラヤ幻想彷徨』などがある。
カン・バンファ
(カンバンファ) (翻訳)
翻訳家、翻訳講師。訳書にチョン・ユジョン『七年の夜』、ピョン・ヘヨン『ホール』、ペク・スリン『惨憺たる光』(書肆侃侃房)、李箱ほか『韓国文学の源流 短編選3 失花』、キム・ヘジン『オビー』(同、共訳)、チョン・ユジョン『種の起源』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)、キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』(早川書房、共訳)など。
コン・ジヨン
(コンジヨン) (著/文)
1988年、文芸誌『創作と批評』秋号に短編小説「日の昇る夜明け」を発表して創作活動を開始した。
著書に、長編小説『高くて青いはしご』、『トガニ 幼き瞳の告発』(蓮池薫訳、新潮社)、『楽しい私の家』(蓮池薫訳、新潮社)、『愛のあとにくるもの』(きむ ふな訳、幻冬舎)、『私たちの幸せな時間』(蓮池薫訳、新潮社)、『ポンスニ姉さん』、『これ以上美しい彷徨はない』、『優しい女』、『サバ』、『サイの角のようにひとりで行け』(石坂浩一訳、新幹社)、『そして彼らの美しい始まり』などがあり、短編集『人間に対する礼儀』、『存在は涙を流す』、『星たちの野原』、『おばあさんは死なない』、エッセイ集『娘に捧げるレシピ』、『孔枝泳の修道院紀行1、2』、『孔枝泳の智異山幸福学校』、『とても軽い羽一枚』、『お前がどんな人生を歩もうと私はお前を応援する』、『雨粒のように私はひとりだった』、『傷のない霊魂』、『詩人の食卓』、『にもかかわらず』、ルポルタージュ『椅子取りゲーム』(加納健次・金松伊訳、新幹社)などがある。
李箱文学賞、21 世紀文学賞、韓国小説文学賞、呉永寿文学賞、アムネスティ言論賞特別賞、韓国カトリック文学賞などを受賞。
蓮池薫
(ハスイケカオル) (翻訳)
翻訳家。新潟産業大学経済学部准教授。
訳書に、孔枝泳『私たちの幸せな時間』、『楽しい私の家』、『トガニ 幼き瞳の告発』、
金薫『孤将』(いずれも新潮社)、クォン・デウォン『ハル 哲学する犬』、『ハル2 哲学する犬からの伝言』(ポプラ社)など多数。著書に『半島へ、ふたたび』(第8 回新潮ドキュメント賞受賞)、『拉致と決断』(いずれも新潮社)、『夢うばわれても 拉致と人生』(PHP 研究所)などがある。
ウン・ヒギョン
(ウンヒギョン) (著/文)
1995年、東亜日報の新春文芸に中編小説『二重奏』が当選して執筆活動を始める。著書に、短編集『他人への話しかけ』(韓国現代文学選集、安宇植訳、トランスビュー)、『幸せな人は時計を見ない』、『美しさが僕をさげすむ』(呉永雅訳、クオン)、『ほかのすべての雪のかけらととてもよく似たたった一つの雪のかけら』、『中国式ルーレット』、長編小説『鳥のおくりもの』(橋本智保訳、段々社)、『最後のダンスは私と』、『あれは夢だったのだろうか』、『マイナーリーグ』、『秘密と噓』、『少年を慰めて』、『泰然とした人生』、『光の過去』がある。文学トンネ小説賞、東西文学賞、李箱文学賞、韓国小説文学賞、韓国日報文学賞、怡山文学賞、東仁文学賞、黄順元文学賞などを受賞。
呉永雅
(オヨンア) (翻訳)
翻訳家。梨花女子大学通訳翻訳大学院講師、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー教授。在日コリアン三世。慶應義塾大学卒業。梨花女子大学通訳翻訳大学院修士・博士課程修了。2007年、第7回韓国文学翻訳新人賞受賞。
訳書にウン・ヒギョン『美しさが僕をさげすむ』、キム・ヨンス『世界の果て、彼女』、チョ・ギョンナン『風船を買った』(いずれもクオン)、イ・ラン『悲しくてかっこいい人』(リトルモア)、ハ・テワン『すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間』(マガジンハウス)、パク・サンヨン『大都会の愛し方』(亜紀書房)がある。
チョン・ミョングァン
(チョンミョングァン) (著/文)
1964年、京畿道龍仁生まれ。2003年、文学トンネ新人賞に「フランクと私」が当選して作家活動を開始。文学トンネ小説賞、具常文学賞、若い作家賞を受賞。
長編小説に『鯨』(斎藤真理子訳、晶文社)『高齢化家族』『僕のおじさんブルース・リー』(1・2)、『これが男の世界だ』、短編集に『愉快な下女マリサ』『七面鳥と走る肉体労働者』がある。
斎藤真理子
(サイトウマリコ) (翻訳)
翻訳者。訳書に、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社)、チョン・ミョングァン『鯨』(晶文社)、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』(亜紀書房)、などがある。パク・ミンギュ『カステラ』(ヒョン・ジェフンとの共訳、クレイン)で第1回日本翻訳大賞を受賞。