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DEATHか裸(ら)
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年3月6日
- 書店発売日
- 2022年3月6日
- 登録日
- 2022年1月4日
- 最終更新日
- 2022年2月28日
紹介
保坂和志さん(小説家)推薦!
「私は福田さんの詩の響き・音調が好きだ」
「内面の奥の、深い、静かなところに騒音が満ちている。この騒音的な音調が私をワクワクさせる」
「この人は、波が砕ける岩場に立って海に向かって大声で叫んでいるのだ」
(本書「解説(保坂和志)」より一部抜粋)
第56回歴程賞(島崎藤村を記念して創設された文学賞)を受賞した才気あふれる詩人が、日本語の「可能性」と「自由」を新しい段階へと引き上げる、最新詩集。
目次
Ⅰ
ハウスダスト
無音の声
乳白色の渦
美しい子供たち
尻ません!
光る夜
鏡山まで
死の声
死出の山
垂直の聖地
さまよう墓標
空の浜辺
震え
日に輝く雨
Ⅱ
多島形
橋杭岩まで
夜の記憶
空の青に
波死(はし)る子え
DEATHか裸(ら)
真鶴まで
死者たちの浜辺
橋杭岩にて
血のついた顔
失われた声
Ⅲ
明るい風景
永遠の海岸
草、草、草!
鏡山
新潟まで
世界は眠るきみの
乱反射する風景
解説 保坂和志
前書きなど
本書収録「解説 保坂和志」2125文字中冒頭606文字
私はこの本を読み出して、困った、私にいったい何が言えるんだと思った。だいたい私はこの詩群を最後まで通して読んでいけるのか、何も手がかりがないじゃないか……と困りつつ行に沿って目を動かしていると、二〇一八年の『惑星のハウスダスト』のときもそうだった、いつのまにか私はいろんなことを考えている、というかいろんなことが私の頭なのか体なのか、とにかく私が私と思っているものに去来していることに気がついた。
私は詩に関してはまったくの門外漢だが福田さんの詩を読んでいる私は小説家でさえもない。私は文学にたずさわる仕事をしているとかそういうことと関係ないところで詩の行に目を走らせている。私はいつも考えている人間のこと、世界のこと、言葉のことを読みながら考えているというかそれへの刺激を浴びている。人間の解体、主体の解体、それと同じことだという予感とともに考えている人間の不死性、存在の不滅について、ここには理屈も言い訳も持たない言葉の連なりがある。
私は福田さんの詩の響き・音調が好きだ。福田さんの詩はまったく内省的でない、これらの詩には詩と思って教えられてきた情緒・情感がない、内省的なことや情緒的なことは私が大嫌いなものだ。福田さんの詩が内省的でないのは福田さんは内に向かうと破裂して空へ宇宙へと肉が星になって砕け散ってしまうからだ、内面の奥の、深い、静かなところに騒音が満ちている。この騒音的な音調が私をワクワクさせる。(……)
上記内容は本書刊行時のものです。