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Arts and Media volume 15 大阪大学大学院人文学研究科芸術学専攻アート・メディア論研究室(編) - 松本工房
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Arts and Media volume 15 (アーツ・アンド・メディア ヴォリュームジュウゴ)

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発行:松本工房
A5判
336ページ
並製
価格 1,800 円+税   1,980 円(税込)
ISBN
978-4-910067-28-5   COPY
ISBN 13
9784910067285   COPY
ISBN 10h
4-910067-28-0   COPY
ISBN 10
4910067280   COPY
出版者記号
910067   COPY
Cコード
C3070  
3:専門 0:単行本 70:芸術総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2025年7月31日
書店発売日
登録日
2025年8月5日
最終更新日
2025年8月5日
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紹介

大阪大学文学研究科アート・メディア論研究室が発行する本誌『Arts and Media』は、アートとメディアの原初の関係に改めて注目し、芸術をもう一度、情報伝達の手段として見てみたい、そんな熱望から生まれた雑誌である。あるいは逆に、現在、情報伝達のツールとして生まれ、活用されている様々な手段が、今まさにアートへと変貌しつつあるその瞬間を切り取ってみたい。
収録される論考は、映画や写真、絵画、建築、文学、マンガ、新聞・ラジオ、演劇、博物館学などなど、実に多彩だ。この「祝祭的な混沌」が生み出すジャンル不明性こそは、ただ本研究室にのみ醸成可能な知的テンションであると自負するものである。
遺伝子の多様性が生命の安全装置として機能するように、我々は文化の多様性を保つことこそが、現代社会に対するある種のセーフティネットになるものと心から信じている。 文だの理だのといった狭隘な専門跼蹐の殻を打ち破り、百学連環の知の饗宴をとくと愉しんでいただきたい。
編集長 桑木野幸司

目次

[巻頭言]
桑木野幸司

[巻頭特集]メディア考古学 in Japan
福島可奈子|はじめに
佐藤 洋|モノを信じすぎてはいけない、声を信じすぎてもいけない──アマチュア映画の研究について
山端健志|新発見の紙フィルム映画「月星フィルム」の印刷と録音について
かねひさ和哉|フライシャーと私
福島可奈子|忘れられた小箱のなかの私的イメージ──キノーラとタキシフォート
松本夏樹|印刷メディアと象形文字の大いなる業

[論文]
鈴木聖子|音楽芸能の記録における音と映像の関係──日本ビクターの音響映像メディアのアンソロジー(後編)
小池陽香|欧州評議会美術展──共通アイデンティティ創出のための展覧会
金 蘊灵|宝塚『虹のオルゴール工場』のマンガ化における物語の変容──一九七〇年代宝塚の性格変化に照らして
城 直子|都市空間におけるあいまいさ──交易路にサードプレイスは存在するのか
李 依茗|是枝裕和の映画作品における身振りの意味作用──『万引き家族』を中心に
北島 拓|近代化産業遺産におけるローカルな音楽実践とノスタルジア──名村造船所跡地を活用した市民向けイベントを事例に
片岡浪秀|放送界と石井光次郎(占領期~戦後篇)──NHK会長人事への介入と朝日新聞の目論見

[研究ノート]
秋田奈美|メディアミックス作品の概念モデル作成の手法検討──『ヒプノシスマイク Division Rap Battle』を例に
大槻陽香|表現ジャンルとしての絵本の特質研究──ミロコマチコはなぜ絵本作家になりたかったのか

[インタビュー]
中村莉菜|映画と戯れ、映画を広げる人:井戸沼紀美インタビュー
奥野晶子|コンクリート・ポエトリーの系譜:砂田千磨氏インタビュー

[エッセイ]
城 直子|みえない暴力と連鎖──映画『ガス燈』とガスライティング

[教員研究動向]
東 志保|シネマ・ヴェリテの源流としてのケベックのドキュメンタリー映画

前書きなど

二〇二五年四月で、アート・メディア論コースが発足してから一八年目。コース紀要『Arts and Media』誌も一五号の発刊を迎えることになりました。

この長くも短い時間は、アートの制作や鑑賞の仕方が大きく変化する年月でもありました。特に新型コロナ・ウイルスの影響は甚大で、それ以前と以後を比較し、今後の芸術のあり方を検討する様々な試みが、現在も多様な機会に行われています。けれども、そうした議論を聞いていてふと思うのは、パンデミックの影にかくれて、社会の混乱とは無関係のところで、実は少し前から、わたしたちとアートとの関わり方は、大きな変貌を遂げつつあるのではないか、ということ。

編集工学を提唱した故・松岡正剛氏は、読書は身体でするもの、と言っていました。その日の体のコンディションや気分、本を読む姿勢や空間、もっというならその人の生い立ちや、その瞬間に至るまでの全てが、大きく影響するのだと。本棚の前に立つところから読書ははじまっている。毎日服を着替えるように、本を身体に合わせて着替える(ブック・ウェア)感覚を磨くことが重要ではないかと。

これはそのままアートとメディアにも当てはまるでしょう。直近の生成AIの技術的深化はもちろん、ここ数年のメディア・テクノロジーやデヴァイスの高度な発展は、われわれの日常を大きく変え、もはや明日のことさえも確実に予測ができない、そんな状況を生み出しています。そうした波乱ぶくみの日常にさらされた私たちの大切な心身を、守ってくれると同時に、それを通じて自己を主張することができる、そんな媒体としてのアート・ウェアやメディア・ウェアを、ブック・ウェアとともに纏ってゆきたいと思う日々です。その第一歩として、この『Arts and Media』誌を皆様にお届けします。

今号も百学連環、ジャンル混淆、意味不明の知的テンションに満ちた原稿が集まりました。ささやかな知の饗宴をどうぞお楽しみください。(桑木野幸司)

上記内容は本書刊行時のものです。