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- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 書店発売日
- 2019年11月30日
- 登録日
- 2019年10月12日
- 最終更新日
- 2024年8月21日
書評掲載情報
2020-05-11 |
oz magazine
2020年6月号 評者: 竹田信哉(双子のライオン堂) |
2020-03-06 | 福井新聞 朝刊 3月7日 |
2020-03-06 | 岐阜新聞 朝刊 3月6日 |
2020-03-04 | 徳島新聞 朝刊 3月4日 |
2020-03-02 | 山形新聞 朝刊 3月2日 |
2020-02-21 | 四国新聞 朝刊 2月21日 |
2020-02-16 | 熊本日日新聞 朝刊 2月16日 |
2020-02-14 | 日本海新聞 朝刊 2月14日 |
2020-02-14 | 週刊読書人 2月14日 |
2020-02-13 | 長崎新聞 朝刊 2月13日 |
2020-02-12 | 中国新聞 朝刊 2月12日 |
2020-02-12 | 愛媛新聞 朝刊 2月12日 |
2020-02-07 | 信濃毎日新聞 朝刊 2月7日 |
2020-02-07 | 伊勢新聞 朝刊 2月7日 |
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紹介
「自分の姿を知られるのは恥ずかしいと思った。それでも私は書くことに決めた。」
突然、恋人が脳梗塞で倒れて何が何だかさっぱりわからなくなってしまってからの日々を、一般女性が写真と文章で淡々と綴った記録。これは、何百万PVの人気ブロガーの日記でもないし、バズったツイートをまとめたわけでもありません。とある普通の人生における、普通じゃない日々の記録。
【本文より】
会社の飲み会で「そういえば、星野さんって彼氏いるんだっけ?」と聞かれた。何の悪意もない言葉なのに心が痛み、怯んでしまう。有佳子がちらりとこっちを見たような気がした。「あ……います」と言うと、先輩は目を輝かせながら「何をしてる人?」と聞く。何をしている人。それが彼の年齢や性格、どんな仕事をしているのかを尋ねた質問であることはわかっていた。でも、私は答えることが出来ず黙ってしまった。ユウキさんが今どういう状態なのかわからない。どこにいるのか。意識はあるのか。私のことを覚えているのだろうか。私は何も知らなかった。先輩の質問に答えなきゃ、と慌てて作り笑いを浮かべる。これ以上この会話が続かないように祈りながら、当たり障りのない返答をした。飲み会が終わった帰り道、これからは「彼氏はいない」と言おうと決めた。渋谷の歩道橋でたくさんのカップルとすれ違った。なんだか本当にひとりぼっちなったような気持ちになった。
版元から一言
【絶賛コメント続々到着!!】
読み始めは、女の子の心を覗き見するようなやましい気持ちで読んでいたけど、読み終わると優しい気持ちになっていました。本当の自分をここまでさらけ出されると、優しくなるしかないでしょう。
末井昭(エッセイスト)
ある日とつぜん脳梗塞になった恋人とどう向き合うか。寄り添い生きる選択が「強さ」なら、自分だけ人生を楽しんでいいのだろうかと罪悪感を抱きながら別の道を行くのもまた「強さ」ではないか 。
自分の弱さやズルさを隠さずに書ける人を私は尊敬する。名前も顔も一糸纏わぬ姿さえも隠さない星野さんを尊敬する。
こだま(『夫のちんぽが入らない』著者)
星野さんに起こったことは誰もが経験するようなことではないから、そのあらすじがまず興味をひくかもしれない。けれど、読みながらひしひしと伝わってきたのは、「自分が生きている世界に取り残されないように、必死に記録をしている」切実さのほうだった。自分のことを自分のために記録することは、なんとかけがえなく、取り返しのつかないことだろうか。
内沼晋太郎(ブック・コーディネーター/日記屋 月日)
他人の人生から唐突に抜き出されたある時期の日常を盗み、窃視する背徳に心がチリチリする。
中毒性のある快楽。
時間を忘れ貪り読み、圧倒的に他人事として追体験した。
そのはずなのに、彼女が必死で生きた日々が自分の体内で重みを増す予感がして、恐怖する。 どうにもならないことをどうにかしようとするがどうにもならない。そういうリアリティが消化不良となっているようだ。
迂闊に他人の証明を丸呑みする罰か。
花本武(ブックスルーエ)
脳梗塞で倒れた恋人。
その後の日々の想いを、忘れてしまわないようにと綴られた切実な言葉たち。
多くの人にとって、辛い出来事は、いつか忘れてしまいたいことなのに、彼女は丹念に書き続けた。生きることを諦めたくないかのように。
読み進めることは常に痛みを伴うが、ページをめくる手が止まらなかった。止めてはいけない気がした。私はある作品を読んだだけでなく、星野文月を生きてしまった。今はまだ、ユウキさんの「は?」の残響に包まれて途方に暮れているけれど、以前より優しくなれる気がしている。
藤代冥砂(写真家)
言葉にならなかった感情は目に見えない形で漂い、誰にも知られず忘れてしまえば無かったことと同じだ。
この本は私にとって、当時の文月ちゃんを内側から答え合わせするような一冊だった。本来なら知らないまま消えてしまうはずの微かな心の動きを彼女の言葉が証明している。
同時に、無かったことにされた記憶の多さと、その行き場を想わずにはいられなかった。恐らくこの世では数えきれないほどの出来事が残る術を持たないまま透明になる。
水元さきの(イラストレーター)
上記内容は本書刊行時のものです。