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13歳からの世界征服
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2019年10月22日
- 書店発売日
- 2019年10月16日
- 登録日
- 2019年9月2日
- 最終更新日
- 2024年8月21日
書評掲載情報
2019-12-06 |
NHKラジオ第一「すっぴん!」
評者: 高橋源一郎 |
2019-12-01 |
北海道新聞
朝刊 評者: 瀧波ユカリ |
2019-11-18 |
週刊現代
11月23日・30日号 評者: 末井昭 |
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重版情報
2刷 | 出来予定日: 2019-12-26 |
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紹介
「中田先生、なぜ人を殺してはいけないのですか?」
「人を殺していけない根拠などありません」
子どもたちの抱える普遍的な悩みにイスラーム学者が答えたらこうなった。
壊れた社会を生きていく上で、私たちが本当に知っておくべきこと。
●本書に寄せられた悩み(抜粋)
「なぜ人を殺してはいけないのですか?」
「大人がみんなクソに見えます」
「お金より大事なものなんてあるのでしょうか?」
「人間は本当に平等なんでしょうか?」
「選挙には行った方がいいですか?」
「友だちがなかなかできません」
「自分の家が貧乏だと感じることが多いです」
「勉強して将来役に立つことって何でしょうか」
「大学に行く意味がわかりません」
「運動が得意ではありません」
「容姿にコンプレックスがあります」
「セックスは何歳になったらすればいいのでしょうか?」
「人は死んだ後どうなるのですか?」
この本はただの人生相談の本ではありません。なにしろ、あの中田考先生が、相談に答えるのです。~本書「はじめに」より~
目次
1 なぜ人を殺してはいけないのですか--人生の悩み
なぜ人を殺してはいけないのですか?
普通の人間は、人を殺したりものを盗んだりしたいと思いません。それはなぜですか?
なぜ自殺をしてはいけないのですか?
大人がみんなクソに見えます。
勉強と部活ができなければ、自分の存在価値がないように思えてつらい。
得意なものが何もありません。
生きていく上で一番大切なものは何でしょう?
家も学校もイヤだし、新興宗教に入ろうかと考えることがあります。
自分に価値を感じられません。
気がつくといつもスマホをいじっています。
お金より大事なものなんてあるのでしょうか?
人間は本当に平等なんでしょうか?
選挙には行った方がいいですか?
2 いじめられていますーー人間関係の悩み
いじめる相手を殺したいほど憎い。
いじめられていますが、自分は非力なので抵抗できません。
学校に行けばいじめられるし、家にいると親にいろいろ言われます。
友だちがなかなかできません。
友だちや親とのコミュニケーションがうまくとれません。
先輩や後輩と接するとき、気をつかいます。
クラスの中に、見えないヒエラルキーがあります。
いじめがきっかけで学校に行けなくなりました。
親が口うるさくてうんざりしています。
自分の家が貧乏だと感じることが多いです。
本当の友だちが欲しいです。
3 なせ勉強しなくてはいけないのですかーー勉強の悩み
勉強に集中できず、将来が不安です。
受験を控えているのに勉強についていけません。
なんで勉強しているのか、いくら考えてもわかりません。
勉強して将来役に立つことって何でしょうか?
大学に行く意味がわかりません。それでも大学へは行った方がいいのでしょうか?
志望校に落ちてしまったらどうすればいいのでしょう。
他人にできて自分にはできないことがたくさんあります。
夢を追いかけるべきか、収入のいい仕事に就くべきか迷っています。
運動が得意ではありません。
4 夢が持てませんーー世界征服のススメ
夢も目標もどうやって持てばいいのかわかりません。
世界征服、具体的にどういう世界を目指せばいいんでしょう?
家出したいと考えています。
「世界平和」じゃなくて、どうして「世界征服」なんですか?
世界征服を目指さない生き方はないのでしょうか?
国際連合(国連)という組織を、中田先生はどう思いますか?
5 好きな人に告白できませんーー恋愛の悩み
モテたいのですが、どうすればいいのでしょう。
容姿にコンプレックスがあります。
好きな人がいるのですが告白できません。
親友と同じ人を好きになってしまいました。
セックスは何歳になったらすればいいのでしょうか?
いいなと思う人はいるのですが、どうやって親しくなればいいのでしょう。
6 人は死んだ後どうなるのですかーーその他の悩み
やりたいことが見つかりません。
なんのために働くのかわかりません。
暗い性格を直したいのですが、どうすればよいのでしょう。
学生ローンで借金をしてしまいました。
人は死んだ後どうなるのですか?
勉強がまったく手につかなくて困っています。
これからの進路が決められません。
学校行事に出るのが面倒くさいです。
留学したいのですが、お金のことを考えると親に言い出せません。
自分と合わない人とどう接したらいいかわかりません。
両親の仲が悪くて、いつも喧嘩しています。
勉強と恋愛とどっちが大事なのでしょうか。
もっとキレイになりたいです。カッコよくなりたいです。
朝なかなか起きられません。
もっとアルバイトをしたいのですが、親が許してくれません。
自由に使えるお金が少なくて困っています。
前書きなど
はじめに 田中真知(作家)
この本はただの人生相談の本ではありません。
なにしろ、あの中田考先生が、相談に答えるのです。
ありふれた人生相談になるはずがありません。
中田先生の本職はイスラーム学者です。
イスラームとはキリスト教についで世界で2番目に多い信者をもつ宗教です。中田先生は日本でも数少ないイスラーム法の専門家です。
でも、この本を手にとった読者の中には、Twitterを通して中田先生を知った方も多いかもしれません。
Twitter上の中田先生は猫耳のアイコンで知られ、ツイートの内容は最近のニュースからマンガ、アニメ、ラノベ、食べたものまで、さまざまです。
ただし、「自由」とか「民主主義」とか「平等」とか「教育」といったものを、当たり前のように持ち上げる発言には容赦なく鉄槌を下し、見当ちがいなレスポンスをする相手は即座に「バカブロック」します。
こう書くと「なんて非常識な」と思われるかもしれません。そのとおりです。中田先生は非常識です。常識的に価値があると思われているものの多くが、実は根拠のない思い込みに基づいていることを指摘し続けているという点で、中田先生ほど非常識な人はめったにいません。その意味で、この本も非常識きわまりない人生相談の本です。
人生相談とは、たとえて言うならば、山で道に迷った人を、小高い丘のような、自分と自分の周りがよく見える場所に導くことです。けれども、中田先生は小高い丘ではなく、相談者を一気に成層圏に連れていったり、ときには奈落の底へと叩き落したりもします。そこから見える風景は常識の狭い範囲をはるかに超えて、生や死にまつわる厳然とした事実に人を直面させます。
たとえば「恋人ができなくてつらい」という悩みに対して「身だしなみに気をつかおう」とか「サークルに参加しよう」というのは小高い丘からの視点です。でも、中田先生は「婚姻届を用意しなさい」と回答します。なぜそうなるのかは本文を読んでください。
この本では中田先生の専門であるイスラームには深入りしていません。しかし、その回答の文脈にはイスラーム的な考え方が常に流れています。
イスラームという宗教は一神教です。一神教では、唯一の絶対の神がいて、善悪を判断できるのはその神だけだと考えます。その神の教えに従うことは信者の義務ですが、人間が作りだした倫理や道徳や常識にはなんら根拠がないし、従う義務もありません。
過激に聞こえますが、要するに私たちが無意識に前提にしているもの、たとえば「国家」とか「学校」とか「教育」とか「民主主義」といったものにはすべて根拠がないということです。「小高い丘」はまだ常識や思い込みの前提に縛られています。そういう前提を徹底的に外した成層圏のような場所から、ものを見たり考えたりしてみようということです。
この本のタイトルは『13歳からの世界征服』です。
世界征服というと悪い人たちがするもの、というイメージがありますが、それもまた「当たり前」にとらわれた考え方です。世界征服がなぜいけないと言われるのか。それは国家を侵害するからです。
しかし、中田先生はその国家こそが、現代の私たちの中にもっとも深く入り込んでいる無意識の枷だと言います。
国家は私たちに安全や安心をもたらしてくれることもあります。しかし、国家の取り決めに反したことをするのは許されていません。国家の許可なしに、国境を超えたり、他の国に移り住むことはできません。そんな「国家があるのは当たり前である」という考え方を疑ってみようというのが、世界征服という発想につながります。
中田先生の言う世界征服もまた、イスラーム的なルーツを持っています。それはこの本の中で幾度も出てくる「カリフ制再興」という言葉です。
カリフ制とは、イスラーム教徒にとって目指すべき世界のあり方です。ごく簡単に言えば、カリフという代理人のもとで、国境をなくして、すべての人や物が自由に行き来できるような世界を作るというイメージです。
もちろん、そんな世界をいきなり作ることは困難です。でも、当たり前とされている身の周りの小さな枠や線をちょっとずつ消していくことなら小学生でも出来ます。それもささやかながら世界征服への第一歩です。
ここで取り上げた質問は直接中田先生に寄せられたものではありません。百万年書房の北尾修一さんが中学生や高校生の悩みを収集し、そこに私が小学生や大学生の悩みとしてアンケートなどで上位に挙げられていたものを加えたものです。それをもとに中田先生にインタビューを行って構成したのが本書です。質問者に直接答えるというより、質問を題材として語っているというトーンなのは、そのためです。
身もふたもない回答もあれば、そのまま実行したらとんでもないことになりそうな回答もあります。でも、そのくらい枠を踏み越えて自由に考えていいということです。こうしなければならないというわけではありません。決めるのはあくまでも自分です。
日本という国は表向きは自由に見えますが、実際には「空気」という見えないルールが、学校にも社会にも、その他いたるところに無数に張り巡らされています。その「空気」を気にしすぎて、生きづらくなっている若い人もたくさんいます。この本が、そんな若い人たちの勇気づけの書になることを願ってやみません。
版元から一言
●ガチガチの固定観念をゆるめるために、マジメな大人こそ読むべき本
「私は13歳の頃が人生でいちばん辛かったので、そのときにこの本を読んでいたら全部どーでもよくなって、イスラム教に入信していたかもしれん。そういう、たいへん危険な本であるため、学校の図書館には必ず置いたほうがいいと思います!」大原扁理(作家/隠居)
「刺激的だが露悪的ではなく、無遠慮だが無責任ではない。その絶妙なバランスで価値観を揺さぶられる心地よさを、クソとバカ…もとい大人にも子どもにも味わってもらいたいと思う。そして自分にとっての「世界征服」とは何だろう? と考えることで、人生というものを捉え直してみてほしい」瀧波ユカリ(漫画家)
おかげさまで、2019年10月の発売以来、ずっとロングセラーです。
イスラーム法学者・中田考さんが、イスラームの教えをもとに、日本の子どもたちのお悩みにズバリ回答していきます。難しい専門用語は出てこないけれど、読み進むうちに自然とイスラームの考え方が身につきますし、中田考さんの回答がいちいち斜め上なのでおもしろい。大人から子供まで、幅広い年齢層の方から「何やねんそれってゲラゲラ笑いながら読めるんだけど、最後にはなるほど、と思わされてしまう」という声をいただいております。
発行人である自分も、いまだに固定観念や常識に縛られそうになると読み返します。
「いじめられない方法のひとつに「誰かの子分になる」という手があります」(本書74p)
今日もページをぱらぱらめくっていたら、このフレーズが目に飛び込んできて笑いが止まらなくなりました。
本シリーズ続編『70歳からの世界征服』も、好評発売中です。
13歳以上70歳未満の方は、ぜひあわせてお読みください。
きっとこれからの人生、肩の力を抜いて、ゆるやかな気分で過ごせるはずです。
北尾修一(百万年書房)
上記内容は本書刊行時のものです。