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中国D級グルメの旅
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年8月23日
- 書店発売日
- 2019年9月10日
- 登録日
- 2019年8月22日
- 最終更新日
- 2019年9月10日
紹介
考古学者が“発掘”したD級(デラックス)グルメ。食の異文化体験記。
市場、露天屋台、町の食堂、家庭の食卓などで出会った、安くて美味しくて満腹になる庶民の味。
米、麺、あらゆる動物、山海の珍味、昆虫……どんな食材でも、驚きの調理法で美味しく味付けをされ卓に並ぶ、奥深く多様な中国食文化への招待。
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湖南省博物館と馬王堆漢墓を見学した日の夜、湖南省の考古学研究の指導者と会食した。
しばらくすると、宴席にそぐわない肥溜のような臭いのする真っ黒いものが運ばれてきた。湖南出身の毛沢東の好物の臭豆腐だった。
醗酵液に漬け込んだ豆腐を揚げる臭豆腐、ことに湖南の臭豆腐の臭さは抜群で、この味に慣れれば同じ醗酵食品の中でも臭さの代表的な伊豆諸島特産のムロアジを醗酵させたくさやなど問題なく食べることができる。韓国全羅南道の木浦市にエイ(ホンオ)の面白い食べ方がある。エイを甕に詰めて醗酵させるが、ものすごいアンモニア臭がする。刺身で食べたが、ホンオも新島のくさやも琵琶湖の鮒鮨も、その臭さは湖南の臭豆腐にかなわない。一度味わってみては如何だろうか。 (本文「Ⅳ 龍も虎も食べました」「湖南の臭豆腐」より抜粋)
目次
はじめに
中国D級グルメの旅地図
Ⅰ パサパサの御飯
1朝食の光景/2煮込み御飯と炊き込み御飯/3米を加工した美味しい食べ物/4おにぎりが御飯を変える
Ⅱ 麺へのあこがれ
1博多ラーメンの故郷を探す/2麺の作り方/3麺への憧れ/4好まれる焼餅
Ⅲ 羊頭と狗肉
1沙虫と狗(犬)/2羊肉と羊頭
Ⅳ 龍も虎も食べました
1蛇から猫まで/2雲南の珍味/3貴州の珍味/4海の幸を味わう/5松茸三昧
Ⅴ デラックスなD級グルメを体験
あとがき/料理名索引
前書きなど
各地を旅した中国には多くの思い出があります。
ことに西南学院大学に在職していた二三年間には足繁く旅しました。その数四五回。同僚だった王孝廉教授とご一緒したことも多く、旅がいっそう有益なものになりました。
中国に行くときだけ、たとえば吉林省集安市に好太王碑を訪ねたときに「8:56 好太王碑に到着。自由に写真を撮れないもどかしさはあったものの、一日待たされただけに、感激も一入」といった具合に、野帳に分刻みの綿密なメモを作りました。
旅の途中、多くの写真を撮りました。市場や食卓など目的・本筋を離れた写真もあります。メモと写真を合わせると、その場に戻ったように記憶がよみがえります。改めて写真を見直すと、グルメ本や料理本に載らない、得がたい貴重な食の体験をしていることに気づきました。
そこで、中国で無駄飯を食べたのではない証に、食の体験を記録にまとめてみました。C級グルメの旅ですが、珍しい食の体験もあり、見方を変えればデラックスでもあります。A級グルメでもB級でもなくC級でもないD級、勝手な思い込みかもしれませんがデラックスな食の体験をしていますから、デラックス(Deluxe)の頭文字をとってD級グルメとしてみました。
広大な中国では、何度行っても、行くたびに新鮮な体験ができます。他と違い食は毎日体験しますから昨日と今日、北京と上海というように、いかようにもくらべることができます。そういう体験を本書にまとめてみました。
ご一読いただき、何かの参考にしていただければ、幸いです。 (「はじめに」より)
上記内容は本書刊行時のものです。