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ぼくは話があるんだ、きみたち、子どもたちだけが信じる話が
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月1日
- 書店発売日
- 2022年10月4日
- 登録日
- 2022年7月26日
- 最終更新日
- 2023年3月27日
紹介
イランを代表する映画監督アッバス・キアロスタミと現代詩人アフマド=レザー・アフマディーが、ともに30歳のときに共作した幻の絵本、本邦初訳です!
「ぼく」は、兄へ宛てた手紙を書く。季節は夏から秋へと変わり、テラスに置いたままの手紙も色が変わってしまった。「ぼく」は季節のうつろいに驚き、その季節のひとつひとつを部屋へ取り込もう窓を作るが、灰色に塗った窓を春は素通りしていった。夢と現実、永遠と瞬間、色とりどりの風景と喪失の暗い影、さまざまに交錯する「ぼく」の記憶は、やがて迎えた朝に―。
詩的な言葉で少年の心理を幻想的に描写したアフマディーの物語に、作画を担当したキアロスタミは写真のコラージュに彩色を施して、そのイメージを見事に定着させました。ドキュメンタリーのような手法を駆使して、「ここにしかない今」を追求したキアロスタミの「一瞬」への執着を垣間見ることができる貴重な絵本でもあります。
版元から一言
1970年、ともに30歳の映画監督アッバス・キアロスタミと現代詩人アフマド=レザー・アフマディーが共作した幻の絵本の本邦初訳です。詩集『スケッチ』で鮮烈なデビューを飾り、詩壇の新たな潮流をけん引していたアフマディーが物語を書きおろし、同年に初監督作品「パンと裏通り」を発表したキアロスタミが作画を担当しました。イランを代表するふたりの芸術家が、はじめて子どもたちのために製作した絵本デビュー作、それが本書です。
本書刊行後、キアロスタミは、どうしてもサッカーの試合を観たい少年があらゆる手段でお金を集めてスタジアムへ向かう顛末を描いた「トラベラー」(1974年)や、虫歯とその治療の実情をアニメーションも交えてユーモアたっぷりに伝える「歯科衛生学」(1980年)など、子どもを主人公に据えた映画を次々と撮りました。さらに、「友だちのうちはどこ?」(1987年)、「ホームワーク」(1989年)、「そして人生はつづく」(1992年)など、子どもたちをとりまく世界をあたたかくも冷静に描いた名作を生み出していきました。
アフマディーは、第2作『1週間の7日間』(絵:Mohammad Reza Dadgar、1985年)を皮切りに、冬至の夜に見た夢の中で自分に名前がないことに気づいた主人公がそれを探す旅に出る『シャベ・ヤルダー』(絵:Farah Ossouli、1997年)、互いに会うことができないお嫁さんとお婿さんの姿を詩的な情景の中で追っていく『花壇の中にお嫁さんとお婿さんが生えていた』(絵:Marjan Vafaeian、2003年)、旅に出た父さんが置いていった色鉛筆で絵を描き、それが現実を動かしていく様子を描いた『雨と書いたら、雨が降った』(絵:Ali Mafakheri、2005年)など、これまでに60冊の児童書を上梓しました。イランの児童文学界において独自の地位を築き、82歳の現在も物語を書き続けています。
関連リンク
https://kaiin.hanmoto.com/bd/isbn/9784910029023
上記内容は本書刊行時のものです。