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障碍の児のこころ
新版
関係性のなかでの育ち
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2021年10月7日
- 書店発売日
- 2021年10月7日
- 登録日
- 2021年7月29日
- 最終更新日
- 2021年9月29日
紹介
知的な障碍のある子のこころは、「どうせわからないだろう」と扱われれば閉じてしまうけれど、わかろうとする人に語りたい、たくさんの気持ち、育てたい夢、豊かな物語がある。発達相談やプレイセラピーを通して、子どもたちの育ちに伴走してきた臨床心理士から、伝えたいこと。2007年初版の名著の復刊。
目次
はじめに
1 知的障碍のある子のこころ
2 自分に[ひけめ」を感じるときーー乳幼児期
3 他者との関係性のなかでー物語を紡ぐこと--児童期
4 思春期の到来
5 自分らしく生きてゆきたい
おわりに
解題・この本がいまも生きているわけ(堀切和雅)
前書きなど
「障碍をもった子どもが成長してゆくとき、おそらくは自分はほかの人と同じではない、ということを含みこんで人間関係をつくってゆくのだろうと思います。彼らはどのような気持ちで成長してゆくのでしょう? 自分がほかの子と違うと気づくとき、思春期を迎えるとき……いったい彼らのこころや気持ちは、どんなふうになっっているのでしょうか。特に、知的な障碍のある子どもたちのこころについて、書かれた本はほとんどないようい思うのです。自分の子どもの気持ちでも、親にはわからないことが多いでしょう。ほかの子どもの例を読みながら、知的障碍のあるわが子のこころについて、親が落ちついて静かに考えることのできるようなエッセイを書いて下さい」私は編集者である堀切和雅さんに、このような依頼をうけました。
(中略)
私自身が何とかことばを用いてまとめることができた一部のケースだけを、ここに収めました。まだ、うまくことばにできないケースも、現在奮闘中のケースもたくさんあります。また、いつもここに描いたようなやりとりをしているわけではありません。何年も同じ内容が語られていた面接のある局面、ある瞬間に異次元の扉が開くように、すごい内容がポーンと飛び出してくることがあります。そういう出会いと関わりの断片の集積が、この本にあつめられているのです。(「はじめに」より)
版元から一言
本書は、2007年9月にユビキタ・スタジオ(編集人・発行人:堀切和雅)より初版が刊行された同タイトルの新装復刊です。
初版の編集者、堀切さんのエッセイを巻末に収めました。
そのエッセイ「この本がいまも生きているわけ」より、以下、抜粋します。
(前略)
「うまく……できない」
「ねえ」
「ねえ、どうしたらいい?」
明るい笑いと興味津々の目。ふしぎな優しさのカーヴを描いた、そのときの口もと。そんな響しか見ていなかった。娘のこころを知ることを、願っていながら。
この言葉を映像で聴いたことが『障碍の児のこころ』を田中先生に書いていただこうと希(ねが)ったことのひとつの伏線になっている。近しい者同士の心の見晴らしも、つなぐ人があって初めてひらける、ということもあるのだ。
二〇二一年三月に刊行された『関係を育てる心理臨床』(日本評論社)のなかで、田中先生は心理療法家としての仕事を「ひと区切り」すると表明している。しかし「この年齢で区切るのですから、戻るという方向は見えにくいように思います」とも。患者との別れはもちろんだが、後進の若い心理療法家たちにも不安は残るだろう。そこで「誰かがタナカ先生に相談したくなった時」「手にとってもらえたら」「ちょっと元気が出てくる」ように私の身代わりの本として残していけたら、とも。
『障碍の児のこころ』の再刊の計画を先生が喜んでくださったのは、ああ、そういうことだったのだ。この本はいま生まれたばかりの、あるいはこれから障碍と共に生まれてくる子どもたちにも、親たちにも社会にも、これからも届く。
上記内容は本書刊行時のものです。