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寄り添うことのむずかしさ
こころの援助と「共感」の壁
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年10月30日
- 書店発売日
- 2023年11月10日
- 登録日
- 2023年10月1日
- 最終更新日
- 2024年2月11日
紹介
人に接する際のデフォルトとして《共感》がありますが、私たちはおのずと共感的になれるのでしょうか? それとも共感的な気持に誘導するのでしょうか?――“寄り添い”も、いつの頃からか、よく聞かれるようになりました。私たちには、こうした言葉に弱い面があります。「自分は寄り添えていないのでは?」と、負い目に感じてしまうのです。――この本では、そんな援助場面の「あたり前」を括弧に入れて、日々の「共感しようもない」シーンを、真っさらな目で見つめ直します。心理相談のみならず医療・教育・福祉・産業領域の“リアル”から汲み上げるボトムアップ《共感》解体新書!
目次
◇実践編
学校臨床の一事例 筒井亮太
学生相談での体験 川合耕一郎
精神科児童思春期病棟 福嶋 梓
精神科病棟での経験 住 貴浩
開業心理相談室 堀川聡司
リエゾン領域の場合でも 近藤麻衣
産業領域における実践 若松亜矢
発達障害者への寄り添い 浜内彩乃
在留邦人支援の実際 前川由未子
◆論考編
前提であり、達成不可能なもの 池田暁史
共感の在処 岡田暁宜
S共感とG共感 岡野憲一郎
なにもできないこと、なにかできること 木部則雄
前書きなど
● 心理臨床家がクライアントのこころに共感することは不可能なのですが、クライアントが心理臨床家に「共感された」と体験することは可能です。それはクライアントの誤解ではありません。いえ、誤解であったとしても、そこには心的な現実があります。その「共感体験」が、心理療法プロセスにポジティブな影響を与えるのです。(まえがきより)
● 人は、他者のこころを体験することも、理解することもできません。しかし、「共感した」あるいは「共感された」という幻想を共有することはできます。こころのなかの出来事に客観的な事実は存在しない以上、「共感という虚構」を共有することに真実性がない、とすることはできません。そこには心的現実が存在しています。(終章より)
版元から一言
特別寄稿: 成田善弘氏からのメッセージ
○ ふたりのいる場にもうひとり
“ひとりぼっち”という「雰囲気さん」が現れて
その“ひとりぼっち”さんが、ふたりに重なって…
――こういうことを《共感》といってよいのでしょう
○「雰囲気さん」の感じていること
その深いところをキャッチしようと…
――それを《共感》と呼ぶのかもしれません
☆ 自分も相手も同じような気持になる(と私が思う)ことがあり、それが治療の転機になる……両方がその場の雰囲気を感じる時です。――自分の「こころの井戸」を深みまでおりてゆくと、相手の「こころの井戸」の深みと通底していると感じたのです。
上記内容は本書刊行時のものです。