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中世「歌学知」の史的展開 舘野 文昭(著) - 花鳥社
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9784909832337

中世「歌学知」の史的展開

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発行:花鳥社
A5判
608ページ
上製
定価 13,000円+税
ISBN
978-4-909832-33-7   COPY
ISBN 13
9784909832337   COPY
ISBN 10h
4-909832-33-5   COPY
ISBN 10
4909832335   COPY
出版者記号
909832   COPY
Cコード
C3092
専門 単行本 日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年2月28日
書店発売日
登録日
2021年2月10日
最終更新日
2021年2月25日
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紹介

和歌をめぐる学的営為の実態

歌学とは和歌という文芸を対象とする学問である。
本書では、歌学において創出された知識全般を「歌学知」と呼ぶ。
聖典とする『古今集』に関する注説はじめ、難義語の注釈、歌会作法、和歌の詠み方、勅撰集の撰集故実、和歌史の知識、歌人に纏わる説話、審美的歌論など、様々な内容の知が「歌学知」として捉えられる。
その具体相を探るため、種々の歌学書を調査・読解し、さらには説話文学・仏教文学・思想史学・書誌学といった周辺諸学にも目を配る。
どの時代にどのような「歌学知」が、如何なる意識のもとに生み出されたのか、またどのような意識で利用され、変容していったのか――
動態を明らかにする。

目次

 凡例

序章

第Ⅰ部 初期御子左家の歌学

第一章 藤原定家における三代集注釈の位相―『僻案抄』を中心に―
 一 藤原定家の古典研究と三代集注釈
 二 定家の証本書写
 三 定家本三代集と『僻案抄』
 四 和歌書式から
 五 六条藤家歌学と定家の三代集注釈
 六 『僻案抄』の位置

第二章 藤原俊成・定家の『奥義抄』認識
 一 御子左家歌学と六条藤家歌学の関係をめぐって
 二 『六百番歌合』俊成判と顕昭『六百番陳状』
 三 『三代集之間事』『僻案抄』の『後撰集』九一六番歌注の清輔・『奥義抄』認識
 四 『僻案抄』の『古今集』六六九番歌注をめぐって
 五 定家歌学における六条藤家説の取り扱い

第Ⅱ部 鎌倉後期成立の歌学秘伝書

第三章 歌学秘伝書諸本研究の課題―『悦目抄』広本と略本の関係を例として―
 はじめに―歌学秘伝書研究の課題
 一 歌学秘伝書の諸本のあり方
 二 『悦目抄』の広本と略本に関する先行研究
 三 『悦目抄』広本と略本の先後関係の検討①―『和歌三重大事』との関係
 四 『悦目抄』広本と略本の先後関係の検討②―跋文の異同から
 おわりに―今後の歌学秘伝書諸本研究のために

第四章 『和歌無底抄』諸本の考察
 はじめに―『和歌無底抄』という歌学書
 一 序文について
 二 『和歌無底抄』諸本に関する先行研究と問題点
 三 『和歌無底抄』諸伝本について
 四 『和歌無底抄』諸本の内容・奥書比較
 五 未改編奥書本と改編奥書本
 六 改編奥書本と挿入された『悦目抄』
 七 冷泉流の書として
 八 『和歌無底抄』③「古今和歌序」本文から考える
 おわりに―諸本の図式的整理と今後の課題

第五章 秘伝的歌学知と歌学書の創出・伝授―『和歌古今灌頂巻』『悦目抄』を中心に―
 はじめに
 一 歌学秘伝と仏教・密教
 二 為顕流『和歌古今灌頂巻』
 三 為世流『悦目抄』
 四 生活と文化の歴史としての歌学秘伝―本章の結びとして

第Ⅲ部 南北朝期歌学書『或秘書之抄出』考―秘伝的歌学知の展開一斑―

第六章 南北朝期武家歌人京極高秀とその歌学
 はじめに
 一 京極高秀と南北朝後期の歌壇
 二 「散位高秀」は京極高秀か
 三 『或秘書之抄出』
 四 『古今漢字抄』
 五 南北朝期武家歌人の位置―まとめにかえて
 附 高秀の和歌

第七章 『或秘書之抄出』伝本考
 はじめに―『或秘書之抄出』伝本概要
 一 甲類の伝本
 二 乙類の伝本
 三 丙類の伝本
 四 各類の本文異同と考察
 おわりに
 附 資料翻刻(広島大学図書館蔵『或秘書之抄出』)

第八章 歌学知の再生産―『或秘書之抄出』の生成と享受―
 はじめに
 一 成立事情
 二 構成
 三 先行歌学書との関係
 四 『或秘書之抄出』の享受の一面
 五 抄出の様相
 おわりに

第Ⅳ部 室町期冷泉流の『古今集』注釈

第九章 『古今持為注』の資料的性格―真偽の問題を中心に―
 一 汎冷泉流『古今集』注釈の中の『古今持為注』
 二 奥書と注釈者の立場
 三 真偽をめぐる研究史
 四 真作とみる根拠とその検討
 五 仮託とみる根拠とその検討
 六 再び奥書の問題点
 七 古典注釈における持為説
 八 資料としてどのように利用すべきか

第十章 三康文化研究所附属三康図書館蔵『為和秘抄』所収古今注をめぐって
 一 三康図書館蔵『為和秘抄』について
 二 注の基本的方針
 三 どのような立場で書かれているか
 四 注釈者は為和か
 五 室町期における冷泉家流古今注説の展開―四三一番歌注を例に
 六 九六一番歌「ひな」の注をめぐって
 附 資料翻刻(三康図書館蔵『為和秘抄』)

第十一章 上冷泉為広の『古今集』研究に関する一資料―広島大学蔵伝上冷泉為和筆〔江戸前期〕写『古今聞書』所収「後来迎院御注分」―
 一 広島大学蔵伝冷泉為和筆『古今聞書』について
 二 「後来迎院殿御注分」の本文
 三 内容の検討―特に清輔本古今集との関係
 四 清輔本享受の意義

第十二章 『古今和歌集聞書〔冷泉流〕』という注釈書について
 はじめに―冷泉流の『古今集』注釈書
 一 伝本と被注歌
 二 奥書
 三 冷泉流としての性格
 四 成立圏をめぐって―『詞林采葉抄』『六花集注』との関連から
 五 室町後期冷泉家当主による享受―広島大学蔵伝為和筆『古今聞書』行間書入との関係
 おわりに
 附 資料翻刻(京都大学文学研究科蔵『古今和歌集聞書』)

第Ⅴ部 説話と歌学知

第十三章 歌学知としての説話―行基婆羅門和歌贈答説話の変容―
 一 行基婆羅門和歌贈答説話と和歌系テクスト
 二 『輔親集』序における受容
 三 藤原後生「奉賀村上天皇四十御算和歌序」における受容
 四 真名で書かれた仏教的和歌序における受容
 五 定家監督書写本『俊頼髄脳』における行基婆羅門和歌贈答説話の問題点
 六 本章の総括

第十四章 金源三和歌説話と歌学知―「わがひのもと」という詞をめぐって―
 一 歌学研究と説話資料
 二 金源三の和歌説話―『壒嚢鈔』と『雲玉和歌抄』
 附 金源三とは何者か
 三 和歌表現としての「わがひのもと」と「このひのもと」
 四 和歌表現としての「わがくに」と「このくに」
 五 総括と今後の課題

附章 身分と表現の問題をめぐる中世歌学史―歌学書・歌合判詞の言説から―
 一 和歌における身分による表現規制の存在
 二 院政期歌学書・歌合判詞の記述から
 三 鎌倉期歌学書記述から
 四 室町期における展開
 五 何故「室町期」なのか
 六 謙退の精神へ―結びにかえて

終章

 あとがき
 索引(書名・事項名/人名/研究者名(近代以降))

前書きなど

「前近代日本文学の主柱でありつづけた和歌も、その位相は必ずしも一定では無い。「各時代、各歌人において、和歌というものがどのように認識されていたのか」、即ち「日本文学史において和歌はどのように位置づけられるのか」といった問題は文学史における重要なテーマであるけれども、それに答えるためには、和歌実作の表現分析だけでなく、歌学という側面の検討も必要不可欠である。歌学について考えるということは、歌人たちが如何に和歌という文芸に対峙したのかを考えるということになるからである。本書は特に中世における歌学の諸相を論じることによって、些かなりともその一端を明らかにしようとするものである。」……「序章」より

著者プロフィール

舘野 文昭  (タテノ フミアキ)  (

2016年、慶應義塾大学大学院文学研究科(国文学専攻)後期博士課程単位取得退学。
2017年、博士(文学)(慶應義塾大学)。
現在、国文学研究資料館特定研究員。

論文に「『愚秘抄』諸本研究の諸問題―現状と課題をめぐって―」(『国文学研究資料館紀要』46、文学研究編、2020)、「「誤読」された逸話―『古今著聞集』巻第十六・興言利口第廿五「蔵人判官範貞内覧の大臣頼長を見知らざる事」の考察」(『三田国文』56、2012)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。