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平和の世は来るか 松尾 葦江(編) - 花鳥社
.
軍記物語講座 3

平和の世は来るか 太平記

発行:花鳥社
A5判
292ページ
上製
価格 7,000円+税
ISBN
978-4-909832-23-8
Cコード
C1095
教養 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年10月30日
書店発売日
登録日
2019年10月9日
最終更新日
2019年11月1日
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紹介

執着と虚無の張りつめた軍記物語の世界へ。

文学のみならず、歴史・芸術・言語等の周辺分野からのアプローチも交じえた、最新の研究成果を提示。この20年のうちに大きく変化してきた軍記物語研究の現在と、今後を見据えた文学本来の課題を照らしだす。

目次

 まえがき●小秋元段

忠義の行方―楠木の「刀」―●井上泰至
 「復古」国民国家のイデオロギーの象徴/なぜ『太平記』は江戸時代の〈歴史〉の典範なのか?/転生する「存念」―塩谷判官・楠木正成・赤穂義士―/「忠臣」から「尽忠報国の士」へ―幕末期の転移―

『太平記』諸本研究の軌跡と課題―一九九〇年代以降を中心に―●長坂成行
 はじめに/鈴木登美惠・長谷川端両氏の諸本研究/伝本の紹介、および公刊/神田本・永和本の再検討/乙類本研究の進展/天正本の増補記事をめぐって/その他の研究―結びにかえて―

『太平記』と武家―天正本と佐々木京極氏の関係を中心に―●和田琢磨
 はじめに/『太平記』の生成と武家権力/天正本と佐々木京極氏の関係/鈴木登美惠氏の説を見直す/守護大名からの圧力・要求はあったのか/おわりに

『太平記』における禅的要素、序説●小秋元段
 はじめに/研究史を振り返る/禅に由来する句の引用/『太平記』作者と禅宗との距離/むすび

『太平記』の禅学、宋学―遺偈と『孟子』と殷周説話と―●森田貴之
 長崎氏の禅学と宋学/『太平記』第一部と遺偈/『太平記』の殷周説話と宋学

『太平記』の表現―方法としての和漢混淆文―●北村昌幸
 はじめに/使い分けられる文体/《和》対《漢》の構図/《和》と《漢》の融合/おわりに

南朝歌壇と『太平記』―『新葉和歌集』を中心に―●君嶋亜紀
 『太平記』と『新葉集』/元弘の乱/宗良親王の視点/吉野炎上/おわりに

『太平記』の周辺―連歌表現の広がりと『太平記』―●伊藤伸江
 はじめに/義詮の近江敗走/土岐頼康の『菟玖波集』入集句/尊氏の勢多渡河/救済と佐々木氏頼による『菟玖波集』の付合/『菟玖波集』の羇旅連歌/おわりに

言語資料としての『太平記』―神田本の語法―●吉田永弘
 はじめに/神田本の補入箇所と天正本/太平記の中世語/神田本の語法/おわりに

類書・注釈書と『太平記』の関係―『壒囊鈔』の『太平記』利用―●小助川元太
 はじめに/『壒嚢鈔』と『太平記』/言葉の注釈と書名の明記/説話が用いられる文脈/おわりに

『太平記』と兵法書─「七書」の受容をめぐって─●山田尚子
 はじめに/『施氏七書講義』について/『太平記』における「七書」/『六韜』の利用/『六韜講義』(施氏注)の利用/『六韜講義』と『三略講義』/おわりに

『理尽鈔』『難太平記』から見た「青野原合戦」
―『太平記』注釈書としての『理尽鈔』の可能性―●今井正之助
 はじめに/土岐頼遠はどこで合流したのか/青野原での戦闘はどのようにして可能となったのか/五手(五番)に分ける目的は何だったのか/今川範国はどこで戦ったのか/おわりに

近世演劇と『太平記』―『仮名手本忠臣蔵』成立まで―●黒石陽子
 はじめに/近松以前の人形浄瑠璃と『太平記』/近松作品と『太平記』/並木宗輔の登場と『太平記』/「塩冶判官讒死事」の取り上げ方と『仮名手本忠臣蔵』

南北朝内乱と『太平記』史観―王権論の視点から―●呉座勇一
 はじめに/王権の物語としての『平家』・『太平記』/鹿ヶ谷の陰謀と正中の変/正中の変の実像/以仁王と護良親王/おわりに

『太平記』西源院本・天正本・流布本記事対照表●李章姫

 あとがき●松尾葦江
 執筆者紹介

前書きなど

 本書の書名は、『太平記』末尾の「中夏無為の代」を翻案した。『太平記』は、平和の世が来てめでたしめでたし、と結ばれているが、果たして作者は本気でそう言ったのか。そのこと自体が、この作品が読者に仕掛けた、壮大な問いである。(「あとがき」より)

著者プロフィール

松尾 葦江  (マツオ アシエ)  (

1943(昭和18)年神奈川県生まれ。博士(文学)。
専門は日本中世文学、特に軍記物語。
主な著書:『平家物語論究』(明治書院、1985年)、『軍記物語論究』(若草書房、1996年)、『軍記物語原論』(笠間書院、2008年)、『太平記 下』(日本の文学古典編、ほるぷ出版、1986年)など。

井上 泰至  (イノウエ ヤスシ)  (

防衛大学校教授
著書・論文:『秀吉の虚像と実像』(共編著、笠間書院、2016年)、『武家義理物語』(共著、三弥井書店、2018年)、『関ケ原合戦を読む:慶長軍記翻刻・解説』(共編著、勉誠出版、2018年)など。

長坂 成行  (ナガサカ シゲユキ)  (

奈良大学名誉教授
著書・論文:『伝存太平記写本総覧』(和泉書院、2008年)、『穂久邇文庫蔵 太平記〔竹中本〕と研究(下)』(未刊国文資料刊行会、2010年)、『篠屋宗礀とその周縁 近世初頭・京洛の儒生』(汲古書院、2017年)など。

和田 琢磨  (ワダ タクマ)  (

早稲田大学教授
著書・論文:『太平記 生成と表現世界』(新典社、2015年)、「乱世を彩る独断 『太平記』の天皇たち」(『東洋通信』53巻6号、2017年2月)、「『大館持房行状』に見る五山僧の『太平記』受容 『太平記』を利用した家伝の作成」(『季刊 悠久』151号、2017年11月)など。

小秋元 段  (コアキモト ダン)  (

法政大学教授
著書・論文:「『源平盛衰記』と『太平記』 説話引用のあり方をめぐって」(松尾葦江編『文化現象としての源平盛衰記』笠間書院、2015年)、「神田本『太平記』の表記に関する覚書 片仮名・平仮名混用と濁点使用を中心に」(『太平記』国際研究集会編『『太平記』をとらえる』第三巻、笠間書院、2016年)、『増補太平記と古活字版の時代』(新典社、2018年)など。

森田 貴之  (モリタ タカユキ)  (

南山大学准教授
著書・論文:『日本人と中国故事 変奏する知の世界』(共編、勉誠出版、2018年)、「『太平記』と元詩 成立環境の一隅」(『国語国文』76巻2号、2007年2月)、「『八幡愚童訓』甲本漢籍利用法粗描 武内宿禰と北条氏に触れつつ」(『国語国文』86巻4号、2017年4月)など。

北村 昌幸  (キタムラ マサユキ)  (

関西学院大学教授
著書・論文:『太平記世界の形象』(塙書房、2010年)、「『太平記』の引歌表現とその出典」(『太平記』国際研究集会編『『太平記』をとらえる』第一巻、笠間書院、2014年)、「いくさの舞台と叙景歌表現」(『中世文学』63号、2018年6月)など。

君嶋 亜紀  (キミシマ アキ)  (

大妻女子大学准教授
著書・論文:『新葉和歌集』(和歌文学大系44、共著、明治書院、2014年)、「後醍醐天皇と雲居の桜 『新葉集』の撰集意図を探る」(『国語と国文学』84巻7号、2007年7月)、「『新葉集』の住吉歌群」(『国語と国文学』95巻1号、2018年1月)など。

伊藤 伸江  (イトウ ノブエ)  (

愛知県立大学教授
著書・論文:『中世和歌連歌の研究』(笠間書院、2002年)、『心敬連歌 訳注と研究』(共著、笠間書院、2015年)、「心敬と慈円和歌 その受容と変奏」(『文学・語学』207号、2013年)など。

吉田 永弘  (ヨシダ ナガヒロ)  (

国学院大学教授
著書・論文:『転換する日本語文法』(和泉書院、2019年)、『日本語文法史研究 4』(共編、ひつじ書房、2018年)、「文法が分かると何が分かるか」(松尾葦江編『ともに読む古典中世文学編』笠間書院、2017年)など。

小助川 元太  (コスケガワ ガンタ)  (

愛媛大学教授
著書・論文:『行誉編『壒嚢鈔』の研究』(三弥井書店、2006年)、『源平盛衰記年表』(共著、三弥井書店、2015年)、「乱世における百科事典と文学 中世後期の武士の教養」(日下力監修、鈴木彰・三澤裕子編『いくさと物語の中世』、汲古書院、2015年)など。

山田 尚子  (ヤマダ ナオコ)  (

成城大学准教授
著書・論文:『中国故事受容論考 古代中世日本における継承と展開』(勉誠出版、2009年)、『重層と連関 続中国故事受容論考』(勉誠出版、2016年)、「西王母譚の展開 『唐物語』第十六話をめぐって」(『慶應義塾中国文学会報』2号、2018年3月)など。

今井 正之助  (イマイ ショウノスケ)  (

愛知教育大学名誉教授
著書・論文:「永和本『太平記』の復権」(『國學院雑誌』114巻11号、2013年11月)、「永和本『太平記』考」(愛知教育大学『日本文化論叢』22号、2014年3月)、「〝やりきれない〟話 高師泰の悪行とその被害者」(松尾葦江編『ともに読む古典 中世文学編』笠間書院、2017年)など。

黒石 陽子  (クロイシ ヨウコ)  (

東京学芸大学教授
著書・論文:『近松以後の人形浄瑠璃』(岩田書院、2007年)、『十七世紀の文学』近世文学史研究一(共著、ぺりかん社、2017年)、「『菅原伝授手習鑑』三段目「車曳」考 松王丸人物解釈の変容」(『国語と国文学』94巻8号、2017年8月)など。

呉座 勇一  (ゴザ ユウイチ)  (

国際日本文化研究センター助教
著書・論文:『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中央公論新社、2016年)、「永享九年の『大乱』 関東永享の乱の始期をめぐって」(植田真平編『足利持氏』シリーズ・中世関東武士の研究第二〇巻、戎光祥出版、2016年、初出2013年)、「足利安王・春王の日光山逃避伝説の生成過程」(倉本一宏編『説話研究を拓く 説話文学と歴史史料の間に』思文閣出版、2019年)など。

李 章姫  (イ ジャンヒ)  (

法政大学大学院院生(博士後期課程)
著書・論文:「天正本『太平記』巻二十六「大稲妻天狗未来記事」の視点」(『軍記と語り物』52号、2016年6月)、「天正本『太平記』巻二十七「諸卿意見被下綸旨事」における漢楚合戦記事をめぐって」(『日本文學誌要』95号、2017年3月)、「天正本『太平記』記事構成と霊剣」(『法政大学大学院紀要』82号、2019年6月)など。

上記内容は本書刊行時のものです。