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核エネルギー大国フランス
「統治」の視座から
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年6月30日
- 書店発売日
- 2019年6月30日
- 登録日
- 2021年4月15日
- 最終更新日
- 2022年4月19日
紹介
《本書は世界最大の核利用国フランスにおける原子力とデモクラシーとのつながり、いやむしろ落差に関する論考である。フランスの核事業複合体に対する公共的・社会的な批判活動、その変遷、高揚と低迷、再起を扱い、それが過去数十年にわたり事業者・国家・規制機関に対して、どのような問題を提起したかも視野に入れている。(中略)核事業をめぐる議論は著しい鎮静化の段階に入っていた。90年代終盤から〔核事業〕推進勢力は、気候変動に立ち向かう環境派というイメージを巧妙に打ち出しており、この新たなイメージ戦略が大きく効いていたのである。》(本書p.14-15、「日本語のための序章」より)
目次
日本語版のための序章
序論
第1部 1970年代の強硬な核事業――抗議活動を意に介さない国威発揚
第1章 1974年のメスメール計画の誕生
1.石油危機以前の大きな胎動
2.大量消費社会の「安価なエネルギー」なる触れこみ
3.「エネルギー自立」の実態
4.リスク社会の創出へ
第2章 抗議するフランス――原子力への幻滅
1.草創期のアクター・ネットワーク――メスメール計画以前
2.オイルショックから、原発ショックへ
3.科学者たちの批判活動
第3章 エコロジスト活動家たちの監視と馴致
1.穴だらけの公衆意見調査
2.適正化は後づけで
3.経済による統治
4.情報提供および秘密化による統治
5.社会科学の専門要員
6.世論調査による統治
7.批判活動に対する統治の「新たな精神」
第2部 チェルノブィリに続く10年間――専門評価と透明化へ、誘導された批判活動
第4章 1986年4月26日の直後――秘密化による統治
1.「国境で止まったプルーム」
2.秘密主義の規範化/常態視
第5章 衣替えした抗議活動
1.チェルノブィリ後の推進体制
2.批判活動の専門科学化――CRIIRADとACROの誕生
3.対抗調査というアクション
4.「透明化」の運用――ラ・アーグ情報委の事例
第6章 ニュークスピーク――用語による統治
1.端緒は冷戦期
2.神聖化から脱神聖化へ
3.チェルノブィリ後の核用語
第3部 1990年代以降――「参加」と「環境主義」の至上命令
第7章 汚染地における「参加型デモクラシー」
1.チェルノブィリという「人類規模の衝撃」
2.エートス・プロジェクト――汚染地での暮らし方、教えます
3.事故後管理の新たなパラダイム
4.そこに異議あり
第8章 原発大国フランスにおける「専門式デモクラシー」
1.ラ・アーグの白血病問題
2.旧ウラン鉱山の汚染問題
3.「グリーン」な核エネルギー vs 「脱核ネット」
4.欧州新型炉に関する公衆討議
第9章 ニジェールにおけるアレヴァのウラン事業
1.ニジェールの逆説
2.立ち上がったアーリット市民社会
3.CRIIRADと「シェルパ」の現地調査
4.フランスで論争が再燃
5.「アギル・インマン」と鉱山会社の間の緊張
6.「植民地化やめろ! 」
7.排除されるニジェールの社会運動
終章
訳者あとがき
解説
上記内容は本書刊行時のものです。