書店員向け情報 HELP
出版者情報
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
ビッグ・ブラザーの世紀
英語圏における独裁者小説の系譜学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年7月31日
- 書店発売日
- 2021年7月31日
- 登録日
- 2021年6月27日
- 最終更新日
- 2021年8月7日
紹介
オーウェル、ケストラー、ナボコフ、ゴールディング、カーター、バラード、アップダイク 、ナイポール、ラシュディ、バーンズなど20世紀英語圏文学を丹念に辿り、確たる実態を持たない記号のようにあらゆる場所に偏在する「不在の中心」としての「ビッグ・ブラザー=独裁者」の表象を明らかにする。
「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている
(Big Brother is watching you)」
目次
はじめに―フィクションとしての独裁者たち
第一章●独裁者小説の誕生と展開(序論)
―全体主義の時代とルイス、ケストラー、オーウェル、ナボコフ
1 ルイスの独裁者小説―アメリカのヒトラー
2 ここでは起こり得ない?―ナチズム/ファシズムとルイスの預言
3 英語圏における独裁者フィクションの系譜とは?
4 空洞化するイデオロギーと洗脳の問題
―ケストラー、オーウェル、スターリニズム
5 空虚な中心としての独裁者―ビッグ・ブラザーとナンバー・ワン
6 ナボコフ、独裁者、(非)日常―非政治的な政治小説
第二章●スターリニズムとナチズムの寓話―オーウェルからゴールディングへ
1 寓話としての独裁者フィクション
2 『動物農場』におけるナポレオン/スターリン―独裁、言語、文学
3 『蠅の王』におけるジャック/ヒトラー―「人間性の欠陥」とは何か?
4 ナチ化する英国少年たち―「それはここにおいても起こりうる」
5 その後のゴールディング―独裁者フィクションを越えて
6 歴史のブラック・ホール―『動物農場』と『蠅の王』
第三章●冷戦期SFにおける核、独裁者、男性/父権性
―ハートリー、ディック、ヴォネガット、カーター、バラード
1 カーターとバラード、そして冷戦期における独裁者小説
2 核時代と独裁者―ハートリー、ディック、バラード、カーター
3 『ホフマン博士』における二人の独裁者と軍拡競争
―ヴォネガット作品との比較から
4 経済的欲望と軍事的欲望
5 サンプルとネビュラス・タイム
6 カーターからバラードへ―『ハロー・アメリカ』の独裁者マンソン
7 アメリカの独裁者―核兵器と原子力
8 核/原子力を手に入れた独裁者
第四章●アフリカの独裁者たち
―アップダイク、ナイポール、ファラー、ナザレス、アチェベ
1 冷戦期アメリカとアフリカの独裁者―アップダイクとリビアのカダフィ政権
2 アフリカの独裁者たちとフィクションを通じた抵抗
3 ビッグ・ブラザーからビッグ・マンへ―ナイポールと第三世界の独裁者小説
4 「新しいアフリカ」?―ビッグ・マンとザイールのモブツ大統領
5 ソマリアのバーレ政権とファラーの三部作
6 ナザレスの風刺―アミン時代のウガンダ
7 アチェベとナイジェリアの問題
―独裁者表象のアフリカにおける((再)転換
第五章●アジア・イスラム圏における独裁、権力闘争、そして女性たち
―ラシュディのパキスタン
1 (架空の)パキスタン、独裁者、ラシュディの『恥』
2 政治的空間、公共圏、私的空間
3 ラザ・ハイダル政権―近代化かイスラム原理主義か?
4 悲劇の英雄ではない―「私的空間」から見たイスカンダル・ハラッパー独裁
5 暴走するスーフィアの破壊衝動と「恥」
第六章●独裁者の時代に(結論)
―ウィリアムズ、バーンズ、そして二十世紀の終わり
1 冷戦とアメリカの世紀―アップダイク、ウィリアムズからバーンズへ
2 新自由主義、グローバリズム、独裁者
3 一九八〇年代から九〇年代初頭―新冷戦からアメリカの「勝利」?
4 バーンズの企み―東欧社会主義国の民主化と「過去」との決別?
5 結びに代えて―二十世紀と独裁者フィクション
あとがき―ビッグ・ブラザーの「黒い犬」たち
主要参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。