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あおを はっけんした ちいさな ヤン - みならい えかきの おはなし
原書: Jan, le petit peintre
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年9月
- 書店発売日
- 2023年9月30日
- 登録日
- 2023年6月8日
- 最終更新日
- 2024年7月5日
受賞情報
北海道指定図書選定
紹介
ヤンは、有名な画家のアトリエで見習いとして働く小さな少年。将来、立派な絵描きになりたいという夢をもっています。アトリエの1日の仕事が終わったあともひとり残って、画家の先生や年上の見習いたちの技術や仕事を覚える努力をしていました。 そんなある日、アトリエに伯爵夫妻が訪れて、絵の注文をします。伯爵夫人のドレスを「最も美しい青色」で描いてほしいと。中世と思われる当時、青色は大変貴重な顔料で簡単には手に入らなかったため、画家の先生は頭を抱えてしまいました。 現在「プルシャンブルー」と呼ばれている青色の発見の史実と、それが生まれる化学反応、少年の成長という様々なテーマが作品に織り込まれています。
版元から一言
「プルシャンブルーの誕生」
美しい色を使った美しい絵は、見る人の心を楽しませ、感動を呼び起こします。
大昔から人々は、その絵を描くためにいろいろな色をさがしてきました。色の材料とな
るのは、石、岩、土、植物など自然界にある素材でした。青色絵の具は、ラピスラズリ
という青い石から作られていました。しかし、その石はたいへん高価だったため、絵描き
のアトリエでは、この絵本に描かれているようにカギのかかる戸棚に保管し大切に使って
いました。ところが1704年ヨーロッパで、赤色を作ろうとしていた人が、偶然に青色を
作ったということが起きました。この絵本の中で見習い絵描きヤンに起きたことと全く
同じことが、本当にあったのです。
その後の研究で、生物がもつある成分に、ほかのある成分を混ぜ合わせると、青色が
できることが科学的にわかりました。(注)人工的に作ることができるその青色は、また
たくまに世界中に広がっていきました。この青色は「プルシャンブルー」という名前で
今も世界各地で親しまれています。
日本には、1747年にオランダから輸入されたという記録が残っています。江戸時代の
人気絵師、伊藤若冲、葛飾北斎、歌川広重たちは、その新しい青色を使って魚、空、
海、川、富士山を描き、その絵は日本だけでなく世界で高く評価されました。
この絵本の途中で、自分たちの絵を描いてほしいという伯爵夫人が登場します。この伯
爵夫妻は、この絵本の原作者ジャン‐リュック・アングルベールが、15世紀のオランダの
画家ヤン・ファン・エイクの作品「アルノルフィー二夫妻像」(1434年)をもとにして描い
ています。この絵を絵本に取り入れたのは、アングルベールのユーモアと、過去の偉大な
画家ヤン・ファン・エイクへのオマージュ(尊敬の気持ち)と言えるでしょう。
(注)フェロシアン化カリウムに硫化第一鉄を反応させると青色ができます。
関連リンク
https://imaginationpluspress.com/booklist/『あきの-おわりの-てんこうせい』/
上記内容は本書刊行時のものです。