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帝国のはざまを生きる 蘭 信三(編) - みずき書林
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9784909710222

帝国のはざまを生きる 交錯する国境、人の移動、アイデンティティ

歴史・地理
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発行:みずき書林
A5判
縦210mm 横147mm 厚さ42mm
728ページ
並製
価格 8,000円+税
ISBN
978-4-909710-22-2   COPY
ISBN 13
9784909710222   COPY
ISBN 10h
4-909710-22-1   COPY
ISBN 10
4909710221   COPY
出版者記号
909710   COPY
Cコード
C0020  
0:一般 0:単行本 20:歴史総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年3月31日
書店発売日
登録日
2022年3月7日
最終更新日
2022年5月4日
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紹介

ふたつの中国、ふたつの朝鮮、そして帝国と戦後国家というふたつの日本。
あるいは満洲、対馬、沖縄という境界領域。
故郷とは、世代とは、国境とは何なのか。
いまなお「終わらない戦後」を生きる東アジアの現状。

目次

序章 〈帝国のはざまを生きる〉という問い 蘭信三

第Ⅰ部 移動の経験は世代や境界をいかに「越える」のか
総説 はざまから「ナショナル」を問い直す 李洪章
第1章 「結節点」としての在日コリアン――日本と朝鮮半島に跨る親族の繋がりと葛藤 竹田響
第2章 「存在しない国」と日本のはざまを生きる――台湾出身ニューカマー第二世代の事例から 岡野翔太(葉翔太)
第3章 中国帰国者アイデンティティは世代を越えるか――三世の語りを中心として 山崎哲
補論 世代とアイデンティティに関する一考察――後続世代の社会的位置と対抗的アイデンティティに関心を持つ立場から 孫片田晶

第Ⅱ部 朝鮮戦争―― 「帝国のはざま」で起きたポストコロニアル戦争
総説 朝鮮戦争――帝国の戦争から旧植民地の分断へ 原佑介
第4章 朝鮮戦争報道と占領期日本――映像メディアの分析を中心に 丁智恵
第5章朝鮮戦争におけるマイノリティ兵士の従軍経験――ポストコロニアル戦争を象徴するもの 松平けあき
第6章 ポストコロニアル日本語文学と朝鮮戦争――小林勝の反戦運動と麗羅の従軍体験に着目して 原佑介
補論 非武装中立「日本」と「朝鮮戦争」物語――堀田善衛『広場の孤独』と張赫宙『嗚呼朝鮮』の磁場から 高榮蘭

第Ⅲ部 引揚げの表象――植民地を故郷とするということ
総説 引揚げの表象――植民地を故郷とする人びとの視点から 坂部晶子
第7章 安部公房『城塞』における満洲表象 坂堅太
第8章 終わりなき旅の物語としての引揚げ文学――李恢成の初期作品における「引揚性」をめぐって ニコラス・ランブレクト
第9章 湾生映画にみる植民地二世の記憶と表象 野入直美
補論 引揚げ、残留、滞留 西成彦

第Ⅳ部 境界を生きる、境界を考える
総説 〈はざま〉を越え、〈あいだ〉に生きる 八尾祥平
第10章 一九五〇年代末~一九六〇年代日本における韓国人の朝鮮統一運動――『統一朝鮮新聞』の分析を軸に 松田利彦
第11章 戦後日本のジェンダーポリティックスと国土主義――在韓日本人妻とその家族をめぐって 朴裕河
第12章 在韓日本人女性の「遅れてきた〝引揚げ〟」――戦後日本における帰国政策の誕生 玄武岩
第13章 解放以降における在「満」/在日朝鮮人社会の跨境的諸相――包摂と排除の〈あいだ〉 権香淑
第14章 帝国主義的〈境域〉としての八重山・対馬 上水流久彦
第15章 米国人歴史家の生きた東アジアの境界領域――ジョージ・H・カーと台湾・沖縄 泉水英計
補論 境域における場所の多様な物語をめぐるコンフリクト 福本拓

第Ⅴ部 境界を越えて生きるということ
総説 「統治されるひとびと」のアジアという問い 八尾祥平
第16章 近代朝鮮華僑の中華商会設立とその役割――大邱中華商会を中心に 李正煕
第17章 マンチュリアにおける満洲人、旗人、満族 塚瀬進
第18章 日本統治期台湾人家族の日本における発展とその商業ネットワーク――神戸泰安公司陳通ファミリーを中心に 陳來幸

あとがき 松田利彦

前書きなど

従来、〈帝国のはざまを生きる〉という視角は、帝国間の「敵対的な共犯関係という視点に象徴されるように、国際社会のパワー・ポリティクスという巨大な力のなかで生きざるをえない客体としての民衆(や小国)の苦しみを前景化しがちであった。もちろんその側面が重要であることは言うまでもない。だが、本書は、そのような〈帝国のはざま〉に規定される客体としての民衆の姿だけでなく、複数帝国のはざまでその巨大な力に翻弄されながらも、それに立ち向かい、あるいはすり抜ける主体としての民衆によって生きられる〈帝国のはざま〉という側面により注目する。

無理解や相互の齟齬は、人々のレベルだけでなく、国家としても同様であった。一九九〇年代の冷戦体制崩壊後の東アジアにおける「大東亜戦争」に関わる戦争責任や、「大日本帝国」の植民地責任をめぐる「歴史の再審」問題が多数問われながらも、日本という国家も社会も、その課題に適切に向き合うチャンスを生かしてこなかったのだ。

著者プロフィール

蘭 信三  (アララギ シンゾウ)  (

大和大学教授・上智大学名誉教授。一九五四年生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士課程中退。専門は歴史社会学、戦争社会学、国際社会学。主著に『「満州移民」の歴史社会学』(行路社、一九九四年)、『中国帰国者の生活世界』(編著、行路社、二〇〇〇年)、『日本帝国をめぐる人口移動の国際社会学』(編著、不二出版、二〇〇八年)、『中国残留日本人という経験』(編著、勉誠出版、二〇〇九年)、『帝国以後の人の移動――ポストコロニアリズムとグローバリズムの交錯点』(編著、勉誠出版、二〇一三年)、『戦争と性暴力の比較史へ向けて』(共編著、岩波書店、二〇一八年)、『引揚・追放・残留――戦後国際民族移動の比較研究』(共編著、名古屋大学出版会、二〇一九年)、『なぜ戦争体験を継承するのか――ポスト体験時代の歴史実践』(共編著、みずき書林、二〇二一年)、『シリーズ戦争と社会3 総力戦・帝国崩壊・占領』(共編著、岩波書店、二〇二二年)など。

松田利彦  (マツダ トシヒコ)  (

国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授。一九六四年生まれ。京都大学大学院文学研究科現代史学専攻後期博士課程単位取得終了。京都大学博士(文学。二〇〇八年三月)。専門は近現代の日朝・日韓関係史研究。主著に『戦前期の在日朝鮮人と参政権』(明石書店、一九九五年)、『日本の朝鮮植民地支配と警察――一九〇五~一九四五年』(校倉書房、二〇〇九年)、『東亜聯盟運動と朝鮮・朝鮮人』(有志舎、二〇一五年)など。

李 洪章  (リ ホンヂャン)  (

神戸学院大学現代社会学部准教授。一九八二年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学・二〇一二年)。専門は社会学、エスニシティ・ナショナリティ研究。主著に『在日朝鮮人という民族経験――個人に立脚した共同性の再考へ』(生活書院、二〇一六年)、「朝鮮籍在日朝鮮人青年のナショナル・アイデンティティと連帯戦略」(『社会学評論』第六一巻第二号、二〇一〇年)、「共同性としての「우리(ウリ)」の遂行的獲得――在日朝鮮人青年による祖国訪問経験をめぐって」(松田素二ほか編著『日常的実践の社会人間学――都市・抵抗・共同性』山代印刷株式会社出版部、二〇二一年)など。

原 佑介  (ハラ ユウスケ)  (

金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系准教授。一九八〇年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程修了。専門は日本近代文学、ポストコロニアル研究。主著に『禁じられた郷愁――小林勝の戦後文学と朝鮮』(新幹社、二〇一九年)など。

坂部 晶子  (サカベ ショウコ)  (

名古屋大学人文学研究科准教授。一九七〇年生まれ。京都大学文学研究科研究指導認定退学。博士(文学)。専門は社会学、中国地域研究。主著に『「満洲」経験の社会学――植民地の記憶のかたち』(世界思想社、二〇〇八年)、『中国の家族とジェンダー――社会主義的近代から転形期における女性のライフコース』(編著、明石書店、二〇二〇年)、「地域に残る加害の記憶と贖罪意識――岐阜県瑞浪市『化石山』の中国人犠牲者の慰霊碑をめぐって」(『フォーラム現代社会学』第一七号、二〇一八年)など。

八尾 祥平  (ヤオ ショウヘイ)  (

日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)。一九七七年生まれ。首都大学東京(現・東京都立大学)大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(社会学)。専門は社会学、移民(華僑華人)研究。主著に「1950年代から1970年代にかけての琉球華僑組織の設立過程――国府からの影響を中心に」(『華僑華人研究』第八号、二〇一一年)、「戦後における台湾から『琉球』への技術導入事業について」(蘭信三編著『帝国以後の人の移動――ポストコロニアリズムとグローバリズムの交差点』勉誠出版、二〇一三年)、「パイン産業にみる旧日本帝国圏を越える移動――ハワイ・台湾・沖縄を中心に」(植野弘子・上水流久彦編『帝国日本における越境・断絶・残像――モノの移動』風響社、二〇二〇年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。