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出版者情報
緊急事態 TOKYO 1964
聖火台へのカウントダウン
- 初版年月日
- 2021年6月23日
- 書店発売日
- 2021年6月30日
- 登録日
- 2021年5月8日
- 最終更新日
- 2021年7月2日
書評掲載情報
2021-07-11 |
産經新聞
朝刊 評者: 森田景史 |
2021-07-11 | 産經新聞 朝刊 |
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紹介
迫り来る感染爆発、激動の世界情勢……。
「あの年」もまた、TOKYOは危機に直面していた!
今日では「成功体験」とされる「あの大会」に、開催を脅かす緊迫の数か月があった?
最終日ランナーたち10人、ブルーインパルス隊員、記録映画キャメラマン、北朝鮮女子陸上選手と生き別れの父親、海外からやって来た客人たち……。1964年世紀の祭典を彩ったさまざまな人間模様と知られざる衝撃の事実を、豊富な未発表写真や貴重な証言を交えて綴る異色ノンフィクション。
目次
プロローグ 2020年3月20日、航空自衛隊松島基地
ジス・イズ・トーキョー2020!
「逆風」吹き荒れる中の到着
「今回」の最終聖火ランナーは誰か?
パンデミックという名の「逆風」
最後に控えていた「伏兵」
第1章 1958~1963年 東京オリンピック前史
1・東京に聖火を取り戻せ
聖火最終ランナーの先駆者
あの時と同じドイツの地で
2・シルクロードの呪い
ローマの日本人たち
世界のイトウからクロサワへ
3・ジャカルタの嵐
魔女の季節
「千里馬」の報、千里を走る
「年齢性別は一切を問わない」
コラム1・真の聖火第一走者
第2章 1964年1月~6月 オリンピックの年
1・キャメラを回せ
白いワーゲンのマイクロバス
世界に響く『抱きしめたい』
「オリンピック映画」本格始動
2・TOKYOへと草木もなびく
チャンスの予感と災厄の暗示
洋の東西で「オリンピック映画」
3・「あと半年」に迫る中で
「直前の予行演習」だった新潟国体
沖縄の第一走者は日本の第一走者
西ドイツ隊と聖火コース走破隊
コラム2・知られざる東京五輪映画
第3章 1964年7月~8月 「最終日」ランナーたちの招集
1・躊躇している段階ではない
セイロン島から海を超えて
水面下で動き出した「最終日」リレー
翼よ、あれが五輪の灯だ
2・めでたさも中くらいなり
郷里に届いたハガキ
勝利を手放しで喜べたのか
ミッションは道半ば
3・聖火ランナーって何だろう?
戦火広がる中を
過熱するスクープ合戦
旅立ちの日
コラム3・聖火台への階段
第4章 1964年8月~9月 感染爆発の危機
1・聖火リレーが始まる
「最終」ランナー決定の裏で
白地の旗を掲げた朝
ただ一言「グッドラック」と
2・首都圏に迫る悪夢
「異変」は水面下で起きていた
「これはコレラじゃないのか?」
準備は粛々と進む
3・事態は収束に向う
「秘密」でいられる幸運
間の悪い「平和の使者」
コレラ鎮圧は成功したか
コラム4・五輪成功祈願のマラソン一家
第5章 1964年9月 聖火リレーとカオス
1・ハイテンションな日々
危機また危機の香港~沖縄
すべては熱気の中で
黒子に徹した男たち
2・各自東京をめざせ
村祭りの日
高みから望む景色
左手は不浄なるもの
コラム5・ネパールの聖火リレー
第6章 1964年10月1日~ 9日 北の国から
1・荒波を越えて
何から何まで本番さながら
千客万来の日々
「聖火遊び」はもうおしまい
2・開会式前日
時間だけが空費されていく
大混乱の中で一瞬の再会
雨は降っていたか
第7章 1964年10月10日 開会式当日
1・私は東京大会を生きた
抜き差しならない事情
毎日が日曜日だ!
2・祭壇を灯すために
世界はひとつ、なのか?
その空の彼方には
エピローグ 1964年東京大会後
あとがき
版元から一言
小社としてはオリンピックなどべつに中止になってもかまわないと思っている。だが、それとは無関係に本書は刊行される。
なぜなら本書は、57年前をえがいた近現代史の本であり、当時を生きた〈ひとりひとり〉の無名の個人に焦点化したドキュメントだからである。時事的な話題を扱ったり、現状の何かを糾弾したり、あるいは現状の何かを礼賛するものではない。
本書は、開催が決定していながら戦争によって中止となった1940年の幻の東京オリンピックに関わった人びとから始まる。そして、1945年8月6日広島生まれの坂井義則が、聖火台に火を灯すところで終わる。
その間には、開催を脅かす数々の困難があった。
開会式の聖火ランナーたち10人、ブルーインパルス隊員、記録映画キャメラマン、「世界最速の女」と言われた北朝鮮女子陸上選手と生き別れの父親、はるばるドイツから陸路で日本を目指した男たち。そして開催2か月前に危うくコレラの大流行を引き起こしかけたモンゴウイカ……。今日では「成功体験」とされる1964年の大会を彩ったさまざまな人間模様と知られざる衝撃の事実を、200枚を超える貴重な写真と、綿密な取材による証言を交えて綴る異色のノンフィクション。
「あとがき」より引用する。
「1964年のあの頃、日本は若さに溢れていた。東京大会の主役も「若い人」たちだった。それも一握りの「特別な人」だけではなく、むしろ名も知れぬ多くの人々こそが主役だったと思う。そこには、若い人たちを盛りたてようとしていた一握りの「大人」たちもいた。
単なる「成功体験」ではなく、それこそが「今日」、1964年大会を振り返ることの本来の意義ではないかと私は思うのである」
(もし開催されるなら)オリンピック期間中、あえて大会を尻目に本書を読むのも一興かもしれない。
上記内容は本書刊行時のものです。