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出版者情報
戦争社会学研究 第2巻 戦争映画の社会学
- 初版年月日
- 2018年6月
- 書店発売日
- 2018年6月15日
- 登録日
- 2018年5月24日
- 最終更新日
- 2018年7月10日
紹介
大岡昇平による原作『野火』(一九五二年)。
市川崑による映画『野火』(一九五九年)、そして塚本晋也版『野火』(二〇一五年)。
同一作品は、表現形式によって、時代によっていかに変奏され、受容されるのか。
また、山本五十六の表現から『戦艦ヤマト』『この世界の片隅に』まで、娯楽作品において戦争はどのように表現され、消費されてきたのか。
社会学・歴史学・人類学のアプローチから、文学と映画に描かれた戦争を読み解く「特集1 戦争映画の社会学」。
「特集2 旧戦地に残されたもの」では、ニューギニアを舞台にした戦友会の活動、マーシャルでの朝鮮人軍属の問題、遺骨収集や戦後保障の問題を考える。
目次
特集1 「戦争映画の社会学」①『野火』の戦争社会学
『野火』の戦争社会学/山本昭宏
戦争映画の社会学のために/野上 元
「野火」に映る戦後/福間良明
『野火』の戦争社会学のために/成田龍一
『野火』にみる武蔵野の風景とフィリピンのゲリラ/青木 深
人肉食が起こりうる世界を物語るということ/松下優一
特集1 「戦争映画の社会学」②戦争娯楽映画の系譜
「戦争映画」の拡大領域/山本昭宏
戦争娯楽映画を読み解く/好井裕明
『宇宙戦艦ヤマト』から『君の名は。』へ/足立加勇
戦争遺産へのまなざし/濱田武士
特集2 旧戦地に残されたもの
旧戦地に残されたもの/西村 明
遺骨収集の「再開」と戦友会/中山 郁
旧帝国圏における日本人戦没者の遺骨処理問題/浜井和史
太平洋戦争期のマーシャル諸島での朝鮮人軍属/趙 誠倫
「戦争の記憶」の状態/キース・L・カマチョ
投稿論文
日本占領期ジャワにおける占領統治と衛生の確立/小林和夫
書評
戦争社会学の地平をめぐって:『戦争社会学―理論・大衆社会・表象文化』/若林幹夫
戦争の「神話化」と「平凡化」をジェンダー化する:『「戦争体験」とジェンダー:アメリカ在郷軍人会の第一次世界大戦戦場巡礼を読み解く』/南川文里
「被害者」の資料をいかに扱うか:『「慰安婦」問題の言説空間』/加島 卓
脱植民地化・脱軍事化のための歴史叙述に向けて:『戦禍を記念する―グアム・サイパンの歴史と記憶』/長島怜央
国家は死を管理できるか:『記憶と追悼の宗教社会学』/荻野昌弘
編集後記
版元から一言
戦争社会学研究会編の第二弾です。
大林宣彦監督の『花筐/HANAGATAMI』の公開、『夢千代日記』『花へんろ』で知られた早坂暁の死去、『この世界の片隅に』『君の名は。』のヒット、そして『火垂るの墓』などを手掛けた高畑勲の死去など、近年、戦争を描くことにまつわる多くの話題がありました。
本書では、塚本晋也『野火』を中心にして、〈作品の現代的解釈を行ってテクストの可能性を広げつつ、過去の社会に徹底して潜る〉試みを行います。
また、「特集 旧戦地に残されたもの」では、東部ニューギニア戦友会の遺骨収集、マーシャル諸島での朝鮮人軍属の問題など、〈かつて日本だった地〉にいまなお残る諸問題をとりあげます。
戦争社会学研究会についての詳細は以下をご覧ください。
http://scholars-net.com/ssw/
上記内容は本書刊行時のものです。