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高校に古典は本当に必要なのか 長谷川 凜(編著) - 文学通信
.

高校に古典は本当に必要なのか

発行:文学通信
A5判
248ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-909658-36-4
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年2月28日
発売予定日
登録日
2020年9月10日
最終更新日
2020年10月16日
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紹介

高校に古典は本当に必要なのか。
「高校生の声を伝えて、肯定派の目を開きたい。高校生という新たな視点で否定派の心を開きたい」

現役高校生が、当事者として高校生にアンケートを実施し、議論の場を作り、考えたことは何だったのか。2020年6月6日にオンライン開催された、高校生が高校生のために考えたシンポジウム「高校に古典は本当に必要なのか」の完全再現+終了後のアンケート+企画に至るまでの舞台裏+編者による総括です。

2019年、明星大学でシンポジウム「古典は本当に必要なのか」は、本書の編者の高校生にとっては、話がかみ合わない上に、問題点や疑問が放置されたと感じられ、とても満足できるものではありませんでした。そして開催されたのがシンポジウム「高校に古典は本当に必要なのか」です。

議論は果たしてどこまで進んだのか。現役高校生という視点は有効だったのか。これを読む私たちは、高校生たちの考えをどこまでくみ取ることが出来るのか。

古典不要論を考える際の基本図書ともなった、勝又基編『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』(文学通信)の続編ともいうべき本です。

執筆は、長谷川凜、丹野 健、内田 花、田川美桜、中村海人、神山結衣、小林未來、牧野かれん、仲島ひとみ、近藤泰弘、ツベタナ・クリステワ、福田安典、渡部泰明、猿倉信彦、前田賢一の各氏。

目次

はじめに(仲島ひとみ)

・メンバー紹介
・凡例

第1部 問題点を整理する
―「高校に古典は本当に必要なのか」を考えるまえに

1.「高校に古典は本当に必要なのか」のコンセプト

2.現役高校生の視点――高校生に実施したアンケート結果発表
(1)アンケートの性質
(2)アンケートの質問と回答結果
問1○「古典」は好きですか?それとも嫌いですか?(ここでの「古典」は教科ではなく「古典」の文章自体のことです)
問2○「古典の授業」は好きですか?それとも嫌いですか?
問3○「古典の授業」は簡単ですか?それとも難しいですか?
問4○古典の授業について、好きなところを教えてください。
問5○古典の授業について、嫌いなところを教えてください。
問6○古典の試験(学校の試験・模試・入試などすべて)について、「授業で取り扱ったことのある文章の問題」は、解けますか?
問7○古典の試験(学校の試験・模試・入試などすべて)について、「初見の文章の問題」は、解けますか?
問8○あなたの「古典を読む力」について、感じることを教えてください。
問9○高校で、古典を必修科目にするべきだと思いますか?
問10○上記のように答えた理由を教えてください。
問11○現在、古典の授業でやっていないことで、あなたがやってみたいことはありますか?
問12○以下の四つの新しい科目のうち、あなたが習いたいと思う国語の科目を二つ選んでください。(印象で選んでも構いません!)
問13○シンポジウム「高校に古典は本当に必要なのか」に興味はありますか?
問14○当シンポジウムに聴衆として参加してみたいですか?(参加者のだいたいの人数を把握するためです。開催予定日は3/10です。)
問15○学年を教えてください。
問16○文系ですか?理系ですか?(文理をまだ選択していない場合、現時点での意思でお答えください)
(3)各問の相関関係
(4)学年、選択科目と各問への回答傾向

3.前回のシンポジウム「古典は本当に必要なのか」論点まとめ
  ――近藤泰弘先生、ツベタナ・クリステワ先生の主張も加えて
(1)猿倉先生の論点
(2)前田先生の論点
(3)渡部先生の論点
(4)福田先生の論点
(5)近藤先生の論点
(6)ツベタナ先生の論点

4.ディスカッション――否定派・肯定派の認識を問いただす
(1)古典でしか学べないものは何か
(2)古典の授業は将来どのように役に立つのか
(3)古典は優先順位が低いと考えるのは何故か、文学的教養は必要とされていないのか
(4)国語を教える際のリテラシーと芸術をどういう基準で区別するか
(5)論理、論理的思考とは何か/「芸術・哲学・文学・古典・情緒的」の捉え方

第2部 高校に古典は本当に必要なのか

1.ディベート――高校の授業で古典を学ぶことに意義はあるか

ルール

(1)肯定側 第一立論──古典の授業には意義があります
[要旨]
 1.現代日本語の能力向上
 2.古典を読む過程で、論理的思考を学べる
 3.先人の知恵に学ぶ
 4.国際社会を生きていくには自国の文化を知るべき

(2)否定側 第一立論
──古典は言語的側面、文化・文学的側面、社会的側面のすべてにおいて学ぶ意義がない
[要旨]
 1.古典語を言語として使うことはない
 2.古典文学は現代語訳でも読める
 3.古典には高校教育に不適切な内容あり
 4.ナショナリズムの助長

(3)肯定側 第二立論
──文語文に自らアクセスできるリテラシーが身につき、現代を相対化できる
[要旨]
 5.文語文に自らアクセスできる
 6.現在の価値観の相対化
 7.古典は日本人の文化的アイデンティティ
 8.古典を批判的に読む

(4)否定派 第二立論
──わたしたちはすでに教育の段階で自国の範囲を規定されている
[要旨]
 5.現代日本語の向上にはつながらない
 6.古典で論理的思考は学べない
 7.貴重な時間はもっと実用的なものに
 8.情理は現代語訳でも可
 9.規定された自国の範囲

...作戦タイム...

(5)否定側→肯定側 反対尋問

...作戦タイム...

(6)肯定側→否定側 反対尋問

(7)肯定側 最終弁論

(8)否定側 最終弁論

感想戦

2.ディスカッション――自由討議

(1)神話はアイデンティティーとどこまでつながっているのか/
外国の文学者が日本語について語ったことが、どうして古典の必要性をサポートする理由になるのか

(2)古典教育のような教養とアイデンティティーと、実用性を、教育においてどう両立させていくのか

(3)大学入試の問題点

(4)未来を生きるための「無用の用」

(5)最後に

3.閉会のあいさつ――大学のオープンキャンパスで学生さんに聞いてみた

第3部 アンケート集計―全体の議論を聞いてどうお考えになりましたか

第4部 企画に至るまで

(1)プログラムの決定まで
・パネリスト決定の流れ、先生方とのやりとり

(2)プログラムの決定後
・ディベートについて深める

(3)高校生に実施したアンケートと、その集計

第5部 総括(仲島ひとみ)

あとがき

著者プロフィール

長谷川 凜  (ハセガワ リン)  (編著

ICU高校三年生。ディベートでは肯定派。

丹野 健  (タンノ ケン)  (編著

ICU高校三年生。当日の役割は司会(「詠み人知らず2」)。

内田 花  (ウチダ ハナ)  (編著

ICU高校三年生。シンポジウムでは司会(「詠み人知らず1」)を担当。

田川 美桜  (タガワ ミオ)  (編著

ICU高校卒業後、ICUに進学(一年生)。ディベートには否定派。

中村 海人  (ナカムラ カイト)  (編著

ICU高校二年生。ディベートには事前準備に参加。

神山 結衣  (カミヤマ ユイ)  (編著

ICU高校三年生。ポスターを担当。

小林 未來  (コバヤシ ミライ)  (編著

ICU高校三年生。ディベートでは肯定派。

牧野 かれん  (マキノ カレン)  (編著

ICU高校三年生。ディベートでは否定派。

仲島 ひとみ  (ナカジマ ヒトミ)  (編著

1980年生まれ。ICU高校国語科教諭。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了(日本語学)。ロンドン大学 Institute of Education にて MA in Effective Learning and Teaching 取得。趣味はマンガを読むことと描くこと。著書に『大人のための学習マンガ それゆけ! 論理さん』(筑摩書房)など。

渡部 泰明  (ワタナベ ヤスアキ)  (

東京大学大学院博士課程中退、現在東京大学大学院人文社会系研究科教授。
専攻は、和歌史・中世文学。著書に『和歌とは何か』(岩波新書)、『中世和歌史論 様式と方法』(岩波書店)ほか。1999年より明治書院の高等学校国語科教科書の編集委員。
非常勤先で演劇の授業を10年担当し、それをふまえて本務校で「古典教育の試み」と題する、参加型の模擬授業を行う授業を開設。

福田 安典  (フクダ ヤスノリ)  (

大阪大学文学部、同大学院を修了後、愛媛大学教育学部などを経て現在は日本女子大学「文学部」。
三省堂『明解国語総合改訂版』という教科書作成に関わり国語科教育についての論文もある。
専門は平賀源内を中心とする近世文学で、源内のように多方面に手を出している。その一つが医学書で、「医史学に貢献した」とのことで「醫譚賞」を受賞、その方面での発言の機会が増えている。
主著『平賀源内の研究』(ぺりかん社)、『医学書のなかの「文学」』(笠間書院)など。

近藤 泰弘  (コンドウ ヤスヒロ)  (

東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修了、青山学院大学文学部教授。
専門は日本語学。著書に『日本語記述文法の理論』(ひつじ書房)ほか。

ツベタナ・クリステワ  (ツベタナ・クリステワ)  (

モスクワ大学アジア・アフリカ研究所日本文学科卒業、国際基督教大学名誉教授。
専門は日本古典文学の詩学、日本文化の意味生成過程、文化・文学理論。主要編著書に、『涙の詩学─王朝文化の詩的言語』(名古屋大学出版会)、『心づくしの日本語 和歌でよむ古代の思想』(ちくま新書)、『パロディと日本文化』(笠間書院)など。

猿倉 信彦  (サルクラ ノブヒコ)  (

某指定国立大学 理工系研究所教授(個人としての意見であること の明確化のため大学明記せず)。
1963年富山県生れ。アポロ計画で科学技術に感動。
国立附属高校で3年間、古典教諭のクラス。
東大理一、物理工学科。修士で黄金期のNTT基礎研究所就職。
東大M時代とNTTの研究のヒットで国立研究所の助教授に32歳で就任。
42歳でいまの大学の研究所の教授にリクルートされる。

前田 賢一  (マエダ ケンイチ)  (

高校3年生でパターン認識の道を志す。
東京工業大学大学院修了後、東芝に入社。パターン認識、人工知能、計算機の研究に従事。研究開発センター技監、関西研究センター長など。
前回の人工知能ブームの時、エジンバラ大学AI応用研究所に駐在。
学会では、電子情報通信学会 和文D論文編集委員長、技術担当副会長を担当。
定年後は、フリーのコンサルタント、中央大学客員研究員、次世代センサ協議会技術委員。

上記内容は本書刊行時のものです。