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説話文学研究の最前線 説話文学会(編) - 文学通信
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説話文学研究の最前線 説話文学会55周年記念・北京特別大会の記録

発行:文学通信
A5判
368ページ
並製
価格 3,000円+税
ISBN
978-4-909658-35-7
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年9月30日
書店発売日
登録日
2020年8月25日
最終更新日
2020年9月23日
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紹介

2018年11月3日~5日の3日間、北京の中国人民大学(崇徳楼)で開催された説話文学会五十五周年記念・北京特別大会の報告集。

近年著しく進展している東アジア仏教を主とする宗教研究を視野に入れつつ、第一部には、中国仏教に焦点を当てた講演とシンポジウムに加え、『釈氏源流』を事例とするラウンドテーブル、さらなる問題展開として〈環境文学〉を軸に東アジアの宗教言説と説話をめぐるラウンドテーブルを行った学会の様子を完全収録。
第2部は「これからの説話文学研究のために」として、今後の研究への提言として、内外の研究者10名による文章を収録した。
付録として「北京所在の遼代の寺院をめぐって」を掲載。龍泉寺(りゅうせんじ)、大覚寺(だいかくじ)、潭柘寺(たんしゃじ)、天寧寺(てんねいじ)の案内を収録。

説話文学研究は、「説話」の語彙自体が中国の唐宋代には話芸全般を指す用語であり、話芸の専門家は「説話人」と呼ばれていたように、東アジアに共有されていた概念であり、中国、朝鮮半島、琉球、ベトナムにおよぶ広範の文化圏から考究されるべき課題である。本書はそんな説話文学研究の最前線を伝える一冊である。

執筆は、小峯和明、金 文京、石井公成、李 銘敬、馬 駿、小川豊生、小島裕子、野村卓美、渡辺麻里子、陸 晩霞、吉原浩人、周 以量、何 衛紅、劉 暁峰、染谷智幸、樋口大祐、米田真理子、金 英順、グエン・ティ・オワイン、近本謙介、井上 亘、水口幹記、山本聡美、丁 莉、福田安典、マティアス・ハイエク、趙 恩馤、ファム・レ・フィ、楊 暁捷、千本英史、栗野友絵。

目次

序─「中国仏教と説話文学」の沃野へ●小峯和明


第1部 説話文学研究の最前線─説話文学学会55周年記念・北京特別大会の記録

開会の辞●李 銘敬

基調講演「中国仏教と説話文学」

1 朝鮮翻刻明伊王府刊『釈迦仏十地修行記』の金牛太子説話について●金文京
 1 テキストと内容
 2 制作時期
 3 刊行時期
 4 翻刻時期
 5 「金牛太子伝」の原典
 6 「金牛太子伝」の類話
 7 高麗の敬天寺石塔の『西遊記』浮彫
 8 まとめ

2 仏教説話としての擬経●石井公成
 1 「擬経」とは
 2 説話文学と経典の関係
 3 『大方便仏報恩経』七巻
 4 以後の影響

3 唐宋代の往生伝の編纂と伝承─遼非濁撰『新編随願往生集』研究序説●李 銘敬
 1 唐宋代往生伝集の編纂と伝承
 2 『新編随願往生集』に関しての記録
 3 『新編随願往生集』の成立時間
 4 『新編随願往生集』の内容・編纂・構造

シンポジウム「中国仏教と説話文学」

1 上代文学の文体と漢訳仏典の比較研究─時空表現を中心に●馬 駿
 1 問題提起
 2 先行諸説
 3 独自展開―三音節語による仏典の時間表現
 4 独自展開―四音節による仏典・上代文学の時間表現
 5 課題展望

2 『夢中問答』の説話学─東アジアにおける霊性の波動●小川豊生
 1 『夢中問答』と世阿弥
 2 摩登伽説話と『首楞厳経』
 3 『首楞厳経』と列島の中世

3 説話の創造─淵源としての東アジア、東大寺草創「四聖」観の生成過程●小島裕子
 1 はじめに
 2 「四菩薩」の萌芽
 3 「四菩薩」の輪郭
 4 「四菩薩」の誕生、普賢菩薩の化身となった菩提僧正
 5 むすびにかえて―「四聖」の縁は「西域」より起こる

4 李白作「誌公画讃」成立時期の検討─南京・霊谷寺「三絶碑」成立説話を手掛かりに●野村卓美
 1 はじめに―「三絶碑」成立説話
 2 「三絶碑」成立説話の疑義
 3 「三絶碑」の「宝公像」と「誌公画讃」
 4 同時代の文献から見た宝誌像―張僧繇の描いた宝誌像
 5 盛唐期、李白・呉道子の時代の宝誌像
 6 「鳥爪」説話の発生時期―「徒跣」の解釈
 7 「扇」が固定された時期
 8 結論

5 コメンテーターより
 ①渡辺麻里子 ②陸 晩霞 ③吉原浩人

質疑応答

ラウンドテーブル1「釈氏源流を読む」

1 『釈氏源流』の伝本をめぐって●小峯和明
 1 『釈氏源流』という刊本
 2 寺院の壁画にみる『釈氏源流』
 3 東アジアの伝本
 4 ベトナムの伝本
 5 欧米の伝本

2 『釈氏源流』(仏伝部)の出典について●周 以量
 1 『釈氏源流』の出典
 2 何を利用したのか

3 儒教説話「以豆自検」の源流考─「毱多籌算」を読む●何 衛紅
 1 『釈氏源流』の「毱多籌算」
 2 現在知られている類話
 3 「石」から「豆」への変化

ラウンドテーブル2「東アジアの〈環境文学〉と宗教・言説・説話」

1 東アジアの時間から見た〈環境文学〉─「鼠の嫁入り」の時間問題●劉 暁峰
 1 中国の「鼠の嫁入り」
 2 日本と韓国の鼠に関する習俗
 3 東亜鼠文化視域にある「鼠の嫁入り」
 4 東アジア文化から環境文学へのまなざし

2 東アジアの〈性〉と〈環境文学〉─熊楠・男色・遊郭・二次的自然●染谷智幸
 1 はじめに
 2 浄の男道―岩田準一と南方熊楠
 3 若女ふたつ
 4 二次的自然と遊廓(一)―遊女・遊廓の歴史
 5 二次的自然と遊廓(二)―諸芸能の世界
 6 遊廓における五感の解放/管理、遊女の素顔/化粧
 7 遊廓における遊女の意気地
 8 結語

3 東アジア/日本における自然誌叙述と国家史叙述●樋口大祐
 1 はじめに
 2 『延慶本平家物語』にみる動植物表象の特徴
 3 『塵袋』と『古今著聞集』にみる動植物表象の特徴

4 菩提樹の伝来─栄西による将来とその意義●米田真理子
 1 はじめに
 2 菩提樹の実と葉の伝来
 3 菩提樹の樹の将来
 4 栄西の中興の意味
 5 東大寺の中興と菩提樹
 6 南都の菩提樹
 7 『喫茶養生記』下巻にみる独創性
 8 おわりに

5 韓国の野談と〈環境文学〉●金 英順
 1 はじめに
 2 『於于野談』について
 3 豪雨と山崩れの災害と龍・鰐
 4 飢饉の烏と洪水の蛇
 5 火災と鵂鶹
 6 おわりに

6 ベトナムの説話と〈環境文学〉─研究事情と課題●グエン・ティ・オワイン
 1 ベトナムの環境文学研究事情について
 2 ベトナムの古典文献における環境資料について―「治水譚」を中心に
 3 世界の洪水神話と比較
 4 おわりに

セッション

閉会の辞●近本謙介

第2部 これからの説話文学研究のために

日本文化史と説話研究─戦後歴史学が失ったもの●井上 亘

説話の背後に広がるもの─説話が機能するためには●水口幹記

文学に内包された絵画、あるいはテクストの図像学●山本聡美
 1 はじめに
 2 説話の中に絵画を探索する
 3 イメージ記譜としての文学―田中弥生の仕事
 4 「ムネモシュネ・アトラス」から、テクストの図像学へ
 5 おわりに

鑑真伝記の変容と説話●丁 莉
 1 はじめに
 2 『東征伝絵巻』と和文『東征伝』の般若仙説話
 3 『東征伝絵巻』と和文『東征伝』の共通語句
 4 和文『東征伝』の霊亀龍王説話
 5 和文『東征伝』と『広伝』逸文
 6 おわりに

医事説話と〈学説寓言〉●福田安典

見える呪術とみえない占い─説話の故事性を考える●マティアス・ハイエク

説話研究の地域貢献─「月の兎」説話と地名伝承●趙 恩馤
 1 はじめに
 2 「奔兎洞」の地名由来と「月の兎」
 3 〈ブント村〉と漢字表記の多義性

ベトナムの説話世界の独自性と多元性
 ─東アジア世界論・単一民族国家論・ナショナリズムを超えて●ファム・レ・フィ
 1 はじめに
 2 東アジアにおけるベトナムの説話世界の独自性
 3 多民族国家による多元性、多種多様な文字表記による説話の多様性
 4 国民国家論やナショナリズムを超えて

デジタル時代の研究環境への一提言 ●楊 暁捷

説話文学会55周年に思う ●千本英史


付録 北京所在の遼代の寺院をめぐって―旅のしおり●粟野友絵
 1 龍泉寺(りゅうせんじ)
   歴史/概観と建築様式
 2 大覚寺(だいかくじ)
   PICK UP!/概観と建築様式/明の玉蘭/乾隆帝と迦陵/北京一番の銀杏!
 3 潭柘寺(たんしゃじ)
   歴史/概観と建築様式/塔林!/上塔院!/下塔院!/日本の僧も!
   PICK UP!/潭柘寺の二宝!/大雄宝殿!/古樹!
 4 天寧寺(てんねいじ)
   歴史/PICK UP!/唐の天王寺、遼の天王寺塔!/天寧寺塔を回ろう!/+αスポット!

あとがき●小峯和明

著者プロフィール

説話文学会  (セツワブンガクカイ)  (

1962年創設。2012年に設立50周年を迎えた学会。近年は例会を年3回、大会を年1回開催している。学会誌『説話文学研究』を年1回刊行。
http://www.setsuwa.org/

上記内容は本書刊行時のものです。