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ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう
誰ひとり取り残さない経済のために
原書: Let There Be Money Understanding Modern Monetary Theory and Basic Income
- 初版年月日
- 2023年2月27日
- 発売予定日
- 2023年2月15日
- 登録日
- 2022年12月4日
- 最終更新日
- 2023年1月17日
紹介
森永卓郎さん(経済アナリスト)推薦!
増税なしで国民が一律給付を受け続ける。誰もが幸せになる経済社会が実現可能なことを本書は教えてくれる。
無条件・個人単位・継続的現金給付のベーシックインカムと通貨発行権活用による国債発行で積極財政をとなえる話題の経済理論MMT(現代貨幣理論)を統合する世界。税収を財源としないお金の仕組みは、人々がそれぞれのニーズを求めた生き方を選択するために必要十分な所得を保証。これまでのベーシックインカム論をさらにパワーアップした最新理論をわかりやすく解説
ベーシックインカムを税財源でまかなうことは可能なのでしょうか。限りある税金でベーシックインカムをまかなおうとすると、現在の福祉制度などを削減することになってしまいます。そんなことにならないためには、税金を財源としないベーシックインカムの方法を考えないといけません。ここで、登場してくるのが、国家の通貨発行権を活用した国債発行で通貨供給量を増やし、政府の積極財政で政策をすすめるMMT理論(現代貨幣理論)です。MMTは政府の赤字は民間の黒字ということで、インフレ率に注意しながら、通貨供給をおこなうことが可能であるという立場をとります。このとき、税金は、インフレ調整弁として機能し、国家財政の財源として主要なものとしてあつかわれません。MMTにおけるお金とは、国家の富とサービスを生み出す実際の資源をひきだすための切符のようなものであり、その国家の富とサービスを拡充していくことが本質的な経済のありかただと説きます。ただ、いままでのMMT理論では、財政政策の柱に、雇用保障プログラム(JGP=job guarantee program)という政府雇用で失業をなくす政策を重視してきました。また、この雇用保証プログラムが、通貨の供給量の調整にも用いられるということでもありました。しかし、本書では、働くこと(労働)の本質から考えて、個人個人の生きるためのニーズにしたがって働くのがのぞましいのであって、かならずしも雇用されていることだけが、人が生きていく尊厳を保証するわけではないといいます。ですから、まずは、人々がそれぞれのやりたいことを実現するために、第一に所得(お金)を保証して、そのあとで、雇用がやってくるべきだというわけです。そのほうが、MMTが主張する実物資源を生み出していくためにも有効な世の中になるということなのです。
ということで、ベーシックインカムにとってもMMTにとっても、本当は、お互いにとても必要で重要なパートナーであることを本書は、主張します。まさに、現在の政治・経済・社会の困難さを突破する最先端の思考といえるでしょう。
目次
はじめに
魔法の浴槽
産出量ギャップと生産能力の活用
インフレ、インフレ、インフレ
見えない税金
お湯を抜く
最適なドレイン(排水口)
テスラ・フォー・オール
子どもをはたらかせる名刺の話
ブルシット・ジョブ問題
過剰正当化効果
スプーンやシャベルの代わりにロボットを
労働時間を減らして成果を上げる
雇われていなくても非生産的ではない
MMTに足りないもの
結論
前書きなど
日本語版への序文
日本の読者の皆様、
私が書いた本が翻訳されて日本で出版され、私の言葉が日本語でお届けできるようになったことは、とても光栄なことです。本書を手にとって、私が言葉を紡(つむ)ぐのに費やした時間と労力に報いてくださる読者のみなさんに感謝を申し上げます。この本は、主に米国を念頭に置いて書かれたものです。ですが一方で私は、自(みずか)らおカネを創り出して使っている国ならどこでも、おカネの仕組みは本当にこの本に書かれているとおりなのだと、世界中の人々に理解してもらいたいとも思っていました。そのような国には、もちろん日本も含まれます。
ほとんどの人は、おカネの仕組みをよく知らないようです。そして、ある程度のおカネが全ての人々に無条件に与えられたら何が起こるのかについても、ほとんど理解していないようです。ですから、この本を通じて、人間が創り出した道具としてのおカネそのものについてと、無条件のベーシックインカム という考え方について、より深いレベルで理解してもらえるよう願っています。人権を尊重し、自国の資源や技術、知識、そして人々の潜在能力を、最大限に発揮させようとしている国々にとって、ベーシックインカムはその基盤となるべきものなのです。
(中略)
人類は、おカネは自分たちが作り出した道具だということを忘れてしまいました。しかし、本当におカネは拵(こしら)え物の道具にすぎないのです。道具とは、人間に奉仕すべきものであって、人間が奉仕すべきものではありません。重要なのは、人類がその道具を使って何を成(な)し遂(と)げられるかということです。私は固く信じています。おカネは道具にすぎないということを、私たちが今こそ心に刻むことができれば、人類は、もっと大きな事を成し遂げられるはずです。ただしその道具とは、人類みんなの利益になるよう、そして人類の文明が単なる生き残りから真の繁栄へと移行できるよう、一人一人が無条件に手にすべきものなのです。
すべての人々の手におカネがありますように。そして人類がついにお金の束縛から解放されますように。
版元から一言
無条件・個人単位の現金給付であるベーシックインカムを税財源でまかなうことは可能なのでしょうか。限りある税金でベーシックインカムをまかなおうとすると、現在の福祉制度などを削減することになってしまいます。そんなことにならないためには、税金を財源としないベーシックインカムの方法を考えないといけません。ここで、登場してくるのが、国家の通貨発行権を活用した国債発行で通貨供給量を増やし、政府の積極財政で政策をすすめるMMT理論(現代貨幣理論)です。MMTは政府の赤字は民間の黒字ということで、インフレ率に注意しながら、通貨供給をおこなうことが可能であるという立場をとります。このとき、税金は、インフレ調整弁として機能し、国家財政の財源として主要なものとしてあつかわれません。MMTにおけるお金とは、国家の富とサービスを生み出す実際の資源をひきだすための切符のようなものであり、その国家の富とサービスを拡充していくことが本質的な経済のありかただと説きます。ただ、いままでのMMT理論では、財政政策の柱に、雇用保障プログラム(JGP=job guarantee program)という政府雇用で失業をなくす政策を重視してきました。また、この雇用保証プログラムが、通貨の供給量の調整にも用いられるということでもありました。しかし、本書では、働くこと(労働)の本質から考えて、個人個人の生きるためのニーズにしたがって働くのがのぞましいのであって、かならずしも雇用されていることだけが、人が生きていく尊厳を保証していないといいます。ですから、まずは、人々がそれぞれのやりたいことを実現するために、第一に所得(お金)を保証して、そのあとで、雇用がやってくるべきだというわけです。そのほうが、MMTが主張する実物資源を生み出していくためにも有効な世の中になるということなのです。
ということで、ベーシックインカムにとってもMMTにとっても、本当は、お互いにとても必要で重要なパートナーであることを本書は、主張します。まさに、現在の政治・経済・社会の困難さを突破する最先端の思考といえるでしょう。
上記内容は本書刊行時のものです。