書店員向け情報 HELP
出版者情報
アメリカ空軍史から見た F-22への道──ボイドの孤独な戦いと制空戦闘機の完成
巻次:下巻
- 初版年月日
- 2020年3月
- 書店発売日
- 2020年3月19日
- 登録日
- 2020年2月14日
- 最終更新日
- 2020年3月3日
紹介
■究極の制空戦闘機F-22は、どのように生み出されたのか。
その背景を、アメリカ空軍の成り立ちまで遡って考察していく1冊
・ボイドから見たF-15&F-16開発
・「エネルギー機動性理論」とは何か
・F-117とF-22のステルスは異なる!?
・比較で見るYF-23 vs YF-22
■【新視点】カタログデータでは分からない、戦闘機の本質が見えてくる!
下巻では、低迷するアメリカ空軍に、“変人&天才”ジョン・ボイドが現れ、エネルギー機動性理論をもとにF-15やF-16といった傑作機を生み出す原動力となっていく様子を描きます。
その流れはF-22で完成形となっていくのです。
“万年係長”ジョン・ボイドは、破天荒に空軍をかき回し、少しずつ変えていきます。
ターニングポイントの機体となったF-15の本当に新しい点はどこだったか、
F-16前と後では機体が分けられるくらいに新機軸が盛り込まれたF-16のどういった点が革新的だったのか、
についてカタログ的な切り口ではない切り口で紹介していきます。
また、合わせて競合試作されたYF-17(F/A-18)、ジョン・ボイド軍団の一人が開発したA-10についても見ていきます。
ステルスの歴史についても取り上げます。
ステルスが比較的昔からあった技術で、一度は停滞したこと。ヒト亜族のようにステルス技術もいくつもの理論・系統があり、ステルス性を重視しすぎた系統は停滞してF-22やF-35には繋がらなかったことが分かります。
そしてようやく最後に、F-22がいかに生まれたか、各パーツにどのような工夫が施されているかを見ていきます。
そのうえで競合試作されたYF-23とも比較して、なぜYF-23が敗れ、YF-22(F-22)が選ばれたかも検証していきます。
そのなかで上巻と同じく、エネルギー機動性理論とは何かや、ステルスがどう発展してきたかなど、ややこしい内容なので意外とミリタリーファンが知っているようで知らなかったテーマについてもやさしく噛み砕いて解説しています。
■戦闘機の進化の歴史は、レーダーとの戦いの歴史だった!?
「戦闘機の敵は戦闘機」と考えがちですが、戦闘機(軍用機)が恐怖心をいただき、設計のうえで常に念頭においていたのはレーダー管制された高射砲や地対空ミサイルの存在でした。
つまり、戦闘機の天敵は戦闘機ではなく、地対空兵器だったのです。
古くはドイツの高射砲部隊から始まって、ベトナム戦争の地対空ミサイルに苦しめられたアメリカ空軍機はそれらから逃れるために、高速性や機動性を追求するなどの成長を遂げてきました。本書ではその歴史を追います。
本文 26.5万字
図版 227点収録
目次
第六章 ”Mad Major”ジョン・ボイドの登場
1 報告会にやってきた男
2 アメリカ軍を変えた〝二人目の天才〟
3 ボイドのエネルギー機動性理論への道
4 空戦マニュアル『航空攻撃の研究』の解説
第七章 SACと戦略爆撃の凋落
1 マクナマラの新時代の到来
2 ルメイの失脚
3 ベトナムの泥沼化
第八章 これ以上やさしく書けない エネルギー機動性理論「超」入門
1 「エネルギー機動性理論」完成への道
2 エネルギー機動性理論「超」入門
3 E-Mダイヤグラムの読み解き方
第九章 迷走するF-X(F-15)と送り込まれたボイド-15への道
1 ボイドとF-X(F-15)との出会い
2 要求仕様をめぐる大論争とMiG-25ショック
3 VFX(F-14)採用を迫られた空軍
4 A-10への道
第十章 LWF計画(F-16)の成り上がり
1 ボイドが理想を追求した「軽量戦闘機(LWF)計画」
2 スタンダードを変えたF-16の新技術1──LERX
3 スタンダードを変えたF-16の新技術2──翼型を変える動翼
4 スタンダードを変えたF-16の新技術3──フライ・バイ・ワイヤ
5 劇的な変化をもたらした〝デジタル〟FBWの登場
6 スタンダードを変えたF-16の新技術4──コクピットと操縦桿
7 YF-17とYF-16の試作競争
8 雪だるま式に巨大プロジェクトへと成長
9 B-1中止への道
第十一章 そしてF-22へ──究極の制空戦闘機の完成
1 ステルスの基本の「き」
2 中学理科レベルで分かるステルス1
3 中学理科レベルで分かるステルス2
4 ステルスの歴史(1)──第一世代
5 ステルスの歴史(2)──第二世代
6 ステルスの歴史(3)──第三世代
7 なぜYF-23は敗れたのか
8 F-22への道
9 開発の迷走
上記内容は本書刊行時のものです。