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アカデミック・ハラスメントの解決  - 寿郎社
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アカデミック・ハラスメントの解決 (アカデミックハラスメントノカイケツ) 大学の常識を問い直す (ダイガクノジョウシキヲトイナオス)

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発行:寿郎社
四六判
192ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-909281-00-5   COPY
ISBN 13
9784909281005   COPY
ISBN 10h
4-909281-00-2   COPY
ISBN 10
4909281002   COPY
出版者記号
909281   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年8月
書店発売日
登録日
2017年4月27日
最終更新日
2017年8月9日
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書評掲載情報

2017-08-23 毎日新聞  朝刊
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紹介

理不尽な叱責や差別的発言、
ネグレクト、長時間の実験の強要、
不適切なオーサーシップによる研究成果の横奪……

学問ごとの慣習の違いを見極め、
キャンパス内の諸問題を解決へと導く、
広島大学ハラスメント相談室の先進的取り組みを公開!

目次

●第1章 アカデミック・ハラスメントとは何か
▼第1節 言葉の整理─キャンパス・ハラスメント、パワー・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント
・対策の法令はセクハラのみ
・「相手が不快ならパワハラ?」ではない
・強い叱責ばかりがパワハラ/アカハラではない
・「加害」がなくても「被害」は起きうる
▼第2節 アカデミック・ハラスメントの世界
・アカハラ問題をとくに掘り下げる意義
・処分事由の変化
・処分報道の例
▼第3節 教員の学生に対するアカデミック・ハラスメント
・特徴1 尊敬や期待が裏切られるとき
・特徴2 専門教育における教員の立場の強さ
・特徴3 キャンパスの外にまで及ぶ教員の社会的影響力
▼第4節 研究者同士のアカデミック・ハラスメント
・特徴1 相互評価による学会/学界運営
・特徴2 キャリアに長く影響を及ぼす
▼第5節 アカデミック・ハラスメントと向き合う
・問題があることを直視しよう
・良識ある大学人による「基準」づくりをしよう
・アカハラが起こる背景を見直そう
▼第6節 アカデミック・ハラスメントの具体例
・学生の不幸─尊敬できない教員
・研究室でのハラスメントやいじめ
・研究者同士のハラスメントやいじめ
◎コラム 研究者世界のピラミッド

●第2章 相談員は見た! 知られざる学問研究の世界
▼第1節 学問分野のサブカルチャーとアカデミック・ハラスメント
・研究中心の大学と教育中心の大学
・研究文化の違い
▼第2節 理系のアカデミック・ハラスメント
・チームで行われる研究と教育
・「発表せよ、さもなくば滅びよ」
・典型例1 ブラック研究室の「ピペド」
・典型例2 長時間労働が当たり前
・典型例3 強い叱責、追い詰め
▼第3節 オーサーシップと研究倫理問題
・誰が著者?
・オーサーシップ問題は「微妙な問題」の象徴
・国際基準のルールはあるけれど
・研究不正とアカハラの深い関係
▼第4節 教授がとても「偉い」ところ
・小講座制が生んだピラミッド組織
・「教授独裁型」という悪夢
・小講座制は絶対悪?
▼第5節 医歯学部の医局講座制
・医学部教授がとくに「偉い」理由
・「医局」という不思議なシステム
・万年助教の存在はハラスメント!?
▼第6節 文系でのアカデミック・ハラスメント
・文系の研究スタイル
・ディープな関係、マインド・コントロール
◎コラム 教育中心の大学でのハラスメント

●第3章 アカデミック・ハラスメントへの対応
▼第1節 ハラスメント相談員の役割
・被害の意味づけをする
・そこから抜け出す方法を考える
・責任者に関係調整・環境調整の依頼をする
・解決するまで面談を継続する
▼第2節 解決までのステップ1「助言・情報提供」
・相談者自身で解決を図る
・二次被害への怖れ
▼第3節 解決までのステップ2「通知」─行為者への注意・警告
・通知パターン1 行為者に対する聴き取りを行った上で通知する
・通知パターン2 簡単な事実確認だけをして通知する
・だれが「通知」をするか
・通知を行う上で注意するべきこと
▼第4節 解決までのステップ3「調整」─人間関係や環境の改善
・調整パターン1 相談者と行為者の引き離し
・調整パターン2 上司や同僚、相談員による監視(モニタリング)
・調整パターン3 行為者による謝罪
・調整パターン4 当事者間での話し合いの援助(調停)
▼第5節 解決までのステップ4「苦情申し立て」
・事実調査の進め方
・調査に入る前に準備しておくこと
・行為者に通知するとき
・調査期間中の配慮
・事情聴取の際の配慮
・事実調査後の対応
・結論が出るまでの期間
・処分が決まったら─当事者への通知と処分の公表
▼第6節 再発防止のための取り組み─経験から学ぶ
・ほかにも被害が隠れていないかどうか調べる
・実際に起きた事例をもとに啓発・教育・研修をする
◎コラム 弁護士を活用する

●第4章 ハラスメントをなくすために大学が取り組むべきこと
▼第1節 大学という組織固有の難しさ
・自治の原則が閉鎖性を生む
・ハラスメントは大学のガバナンス問題
▼第2節 ハラスメントが起きにくい「体質」をつくる
・ハラスメントが起こりやすい組織
・アクセスしやすい相談窓口
・スキルのある専任の相談員をおく
・大学間の環境の格差
▼第3節 研究不正にかかわるハラスメントにどう取り組むか
・研究不正とハラスメントの関係
・研究不正の起こりにくい土壌をつくる
・ローカルルールを超えて
◎コラム 外部相談のメリットとデメリット

●アカデミック・ハラスメントに関する資料
・大学院生の教育・研究環境に関するアンケート調査票の例
・広島大学ハラスメント相談室規則
・広島大学におけるハラスメントの防止等に関する規則
・広島大学におけるハラスメントの防止等に関するガイドライン

前書きなど

「アカデミック・ハラスメント」(アカハラ)とは、大学などの高等教育や研究を行っている組織に特有のハラスメントのことを指しています。この言葉は、一九九〇年代の半ばから使われるようになり、いくつかの変遷を経て、現在では「研究・教育機関における権力を利用したいじめ・いやがらせ」と理解されています。
大学という「象牙の塔」のなかで、強権的な教授が学生や准教授や助教をいじめる︱多くの方は、アカハラに対してこのようなイメージを持っているのではないでしょうか。たしかに、「ゼミで長時間の詰問や叱責を繰り返した」「学生の就職に必要な推薦を指導教員が拒否した」「准教授が、教授から他の大学に移るように言われた」といったケースはよくあります。しかし、教員の指導放棄やプライバシーへの介入など、一般的なイメージとは異なるタイプのアカハラも存在しています。
また、あまり知られていませんが、実は研究不正の背景にアカハラが隠れていることもあります。大学改革が叫ばれ、大学を超えた共同研究が主流となり、研究者コミュニティも成果発表の場もグローバル化して、研究者は評価と競争にさらされています。研究者をとりまく環境は急激に変化しています。誠実に研究に向かっていても、アカハラによって研究不正に巻き込まれ、そのことで研究者としての将来を絶たれることもあるのです。……
・・・・・・「はじめに」より

相談者は、大学院後期課程三年目の理系大学院生。研究が順調に進み、実験データもある程度まとめたので、研究室のセミナーで発表した。その後、同様の内容を学会誌へ投稿するために初稿を書き、指導教員にメールで送った。指導教員から、多忙なので論文はメールで送るようにと言われていたのでそうしたのだが、一カ月が経ち、投稿の締切が迫っても返信がない。
学会誌への投稿を逃すと学位論文の提出も遅れる可能性がある。せめて投稿をしてよいか、まだダメなのかという返事がほしいが、もともと指導教員はメールの返信が遅く、以前にも催促して不機嫌になられたことがあるので催促できないでいる。……
・・・・・・[事例1]より

版元から一言

パワー・ハラスメントの大学版とも言えるアカデミック・ハラスメント(アカハラ)は、近年社会問題化していながらもこれを主題とした一般向けの書籍が存在しませんでした。
そこで本書では、ハラスメント相談員歴20年以上の著者二名が平易な言葉でアカハラの本質に迫り、被害に迅速に対応できない大学運営の問題点を指摘しました。
また、さまざまな事例を挙げながら、実践的な解決方法も提示しています。
さらに、文系と理系の違いや学問の違いによってケースの特徴が異なっている点にも着目しており、やはり近年社会問題化している研究不正の背景に各研究室等のアカハラがあることについても触れています。
大学のハラスメント対策だけではなく、さまざまな組織におけるハラスメント対策を考える上で役に立つ本です。

上記内容は本書刊行時のものです。