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ポストヒューマン・スタディーズへの招待 竹﨑 一真(著/文 | 編集) - 堀之内出版
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ポストヒューマン・スタディーズへの招待 身体とフェミニズムをめぐる11の視点

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発行:堀之内出版
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ12mm
216ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-909237-71-2   COPY
ISBN 13
9784909237712   COPY
ISBN 10h
4-909237-71-2   COPY
ISBN 10
4909237712   COPY
出版者記号
909237   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年3月31日
書店発売日
登録日
2022年2月9日
最終更新日
2022年3月28日
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紹介

私たちはテクノロジーと不可分なポストヒューマンな時代を生きている。
テクノロジーは私たちの身体の内奥に入り込み、「人間」の存在を根底から揺さぶっている。

「人間」の再定義が求められている時代に、私たちはいかに身体とフェミニズムを思考すべきか。待望のポストヒューマン・スタディーズ入門書。

目次

目次

序 ポストヒューマン・スタディーズ―限界において思考すること 山本敦久


第1部 トランスジェンダー・アスリートと性別二元論

第1章 トランスジェンダー・アスリートのリアル 杉山文野
  日本社会で感じる“窮屈さ”
  どこまで行っても自分自身からは逃げられない
  そもそも「性」ってなんだ?
  性のあり方は目に見えない
  ホモソーシャルなスポーツ界
  アスリートのカミングアウトが少ない理由
  差別禁止に動く国際社会と根強い差別
  「多様性と調和」を実現できるか?

第2章 近代スポーツをゆるめ、解体する 岡田桂
  「ジェンダー」から「セックス」へ転換するスポーツ界
  近代スポーツという男性優位の土俵
  恣意的に決められるスポーツのあり方
  トランス女性アスリートを取り巻く議論の問題
  近代スポーツをゆるめ、解体する
  日本のジェンダー平等
  保守派によるジェンダー攻撃
  「ジェンダーフリー」をめぐる混乱
  これからのトランスジェンダーをめぐる運動

ディスカッション


第2部 サイエンス・スタディーズから考える「フェムテック」

第3章 「フェムテック」とは何か?―その可能性と抱えるジレンマ 渡部麻衣子
  「フェムテック」とは何か?
  何が新しいのか?
  テック系イノベーションの「女性化」
  女性の身体の再発見
  フェミニズムとフェムテック
  「生理の貧困」とフェムテック
  市場原理によって社会課題を解決するときのジレンマ
  女性の規範を強化してしまうおそれ
  「女性の身体」をどのように定義しているのか
  ポストヒューマン時代におけるフェムテックの可能性

第4章 フェムテックは「科学技術への市民参加」のきっかけになりうるか? 標葉靖子
  フェムテックが持つ、科学と社会をつないでいく可能性
  「境界上」に存在するフェムテック
  ツイッターからみえるフェムテックの捉え方
  フェムテック・ビジネスの場となるインスタグラム
  成長戦略に位置づけられるフェムテック
  走りながら考えるフェムテックと社会の関わり
  「科学技術と社会」という視点
  関心のない人たちにどうアプローチするか?を考える
  フェムテックについて考えるさまざまな授業
  フェムテックを議論するときの落とし穴と可能性
  「科学技術と社会の対話」の現場
  テクノロジーだけで課題を解決するのか?
  「女性のため」を問い直し、価値観を変容する
  「科学技術への市民参加」としてのフェムテック

第5章 「わかりやすい」フェムテックが抱える落とし穴 隠岐さや香
  多様なフェムテックの「わかりやすさ」
  「わかりやすさ」が持つ罠
  保守派はなぜフェムテックに飛びついたのか?
  資本主義への取り込み、擬似科学への接近

ディスカッション


第3部 女の子たちのメタモルフォーゼ ―シンデレラテクノロジーのその先へ

第6章 「シンデレラテクノロジー」はどのように生まれたか? 久保友香
  バーチャルな外見を持つようになった人々
  どのようにバーチャルな外見を獲得してきたのか?
  コンピュータで「美人顔」を作ろう。
  美人画の歴史を一〇〇〇年以上さかのぼり「美人顔」に迫る
  「美人画」の歴史から見えてきた真実
  プリクラを使って「美人」の変化を探る
  プリクラを使う女の子たちは、何を求めているのか?
  “盛り”を褒められたい!
  シンデレラテクノロジーの3つの分野
  新装置を開発し女の子が求める姿の数値化に挑戦
  日本は「シンデレラテクノロジー先進国」?

第7章 自分の身体を愛でる/取り戻す体験――人間ラブドール製造所 関根麻里恵
  「シンデレラテクノロジー」
  「ラブドール」が担う役割の変容
  ラブドールを鑑賞する女性たち
  なぜラブドールになりたがるのか?
  「人間ラブドール」になってみた。
  「内部的差異化」と「外部的類似性」
  「人間ラブドール」になった人々の思い
  性的対象化の問題

第8章 シンデレラテクノロジー研究が抱える危うさと可能性 田中東子

ディスカッション


第4部 生殖技術を問い直す

第9章 生殖と身体のテクノロジーをめぐる統治性 山本由美子
  「普遍的人間」というモデル
  二極化する生殖補助技術
  生殖と身体めぐる統治性
  NIPTをめぐる統治性
  バイオ資本主義と認知資本主義
  バイオテクノロジー研究/産業と人体組織
  ヒト胚と胎児組織の来し方
  あらたな「サイクル」の展開
  それでも/だからこそ思考可能性をひらく

第10章 生殖技術の現在地 重田園江
  なぜ不妊治療を取り上げるのか?
  不妊治療への保険適用拡大が抱える問題
  不妊治療はどのようにおこなわれているのか?
  女性への負担と身体の医療化
  出生前診断・着床前診断とゲノム編集
  先端技術が開く可能性と現実

ディスカッション


第5部 〈ポスト〉の思想

第11章 ポストヒューマンの後に誰が来るのか? 門林岳史
  そもそも〈ポスト〉とは何か?
  ポストヒューマンに抗して
  ユートピアか、ディストピアか
  ポストヒューマニズム、ポストヒューマニティ、ポストヒューマニティーズ
  〈ポスト〉という接頭辞の逆説性
  ポスト-ポストモダニズム?
  主体の死
  主体の後に誰が来るのか?
  ドゥルーズ、デリダが論じた「主体」
  ポストヒューマンの後に誰が来るのか?

ディスカッション


おわりに ポストヒューマン時代の身体とフェミニズムを考える 竹﨑一真
  ポストヒューマン化する社会
  ブライドッティの「ポストヒューマン」論
  自然-文化の連続体
  ポストヒューマン・フェミニズム
  テクノロジーと身体をめぐる三つの論点―ポストヒューマン・フェミニズム・スタディーズ
  社会的側面
  環境的側面
  技術的側面
  おわりに―ポストヒューマン・スタディーズへの招待

前書きなど

 近年、「ポストヒューマン」という言葉が巷に溢れているものの、この言葉が指し示すものや現象は多岐にわたっています。たとえば、機械によって補綴され、能力を強化されたサイボーグをイメージする人もいるでしょう。また、進化し続けるAI(人工知能)や遺伝子操作によって人間が脅威に晒されるような、いわば「人間の終わり」という未来を想像する人もいるかもしれません。あるいは、昔から人は道具(モノ、自然)を使い、それらに接続されながら能力を拡張してきたし、文字や印刷技術によって意思や観念を外在化してきたという考え方もあります。ここに立ち返って、ポストヒューマンに関するイメージや考え方を再構成するという動きもポストヒューマン論のひとつの試みと言えるでしょう。
 しかし本書『ポストヒューマン・スタディーズへの招待―身体とフェミニズムをめぐる11の視点』は、そのように過去や近未来への想像力を搔き立てる「ポストヒューマン」というイメージをどこかで維持してはいるものの、やがて近い将来にやって来る出来事の到来を、「ポストヒューマン」と名付け、考えることを目的とするものではありません。むしろ本書の狙いは、私たちの日常を取り巻く「現在」の状況としてのポストヒューマンに向き合っていくことにあります。人間が機械やAIに取って代わられると心配することや、そもそも非人間(道具や自然)と繫がることによって人間は立ち現れてきたのではないかと感知することも含め、そのように情緒的・感覚的に日常のあちこちでポストヒューマンについて語ったり、感じたりすることが、すでに「人間」の終わりという出来事に結びついているのではないでしょうか。本書は、このように出来事としてのポストヒューマンに、ある種の「切実さ」と「切迫さ」を感知しながら論じていくという立場をとることになります。――山本敦久「序」より

版元から一言

本書は、2021年に開催された成城大学グローカル研究センター主催シンポジウム 「ポストヒューマニティ時代の身体とジェンダー/セクシュアリティ」(全5回)を収録・再編集したものです。

[ブックデザイン]末吉亮(図工ファイブ)
[印 刷]中央精版印刷株式会社

[カバー写真]
米谷健+ジュリア
Dysbiotica
2020
磁器土、FRP
世沙弥コレクション
撮影:米谷ジュリア
©︎ Ken + Julia Yonetani
Courtesy of the artists and Mizuma Art Gallery

上記内容は本書刊行時のものです。