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出逢いのあわい 宮野 真生子(著/文) - 堀之内出版
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nyx叢書 005

出逢いのあわい 九鬼周造における存在論理学と邂逅の倫理

発行:堀之内出版
四六判
縦188mm 横130mm 厚さ20mm
328ページ
上製
価格 4,000円+税
ISBN
978-4-909237-42-2
Cコード
C0010
一般 単行本 哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年9月25日
書店発売日
登録日
2019年6月16日
最終更新日
2019年9月25日
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紹介

個体としての「私」が雑多な現実の中でどのように普遍・倫理と出会うのか。九鬼周造の「偶然性」を、西洋哲学との関連性や位置づけも整理しながら、感性ではなく論理的帰結として確立した哲学に昇華させた近年随一の明晰な九鬼論。

目次

目次
はじめに 4
第一部 九鬼哲学の来歴 15
序 章 九鬼哲学を考えるための準備作業 17
第一節 九鬼哲学研究への視点 17
第二節 近代日本哲学の問題圏―生と論理― 23
第三節 九鬼哲学の根本問題 32
第一章 「哲学」とは何か 43
第一節 ヴィンデルバントの学問論と「偶然論(Die Lehre vom Zufall)」 45
1.新カント派の位置づけ 45
2.ヴィンデルバント「自然科学と歴史」における二つの学的方法 47
3.「偶然論(Die Lehre vom Zufall)」 50
第二節 九鬼周造の「人間観」と「哲学」 60
1.「人間学とは何か」 60
2.「哲学私見」における哲学観 65
第三節 『偶然性の問題』から考える九鬼哲学の問題設定 68
1.偶然性とは何の問題なのか 68
2.『偶然性の問題』概要 71
3.偶然性をいかに扱うべきか 77
第二部 存在論理学としての九鬼哲学 83
第二章 「存在論理学」への道 85
第一節 人間の現実と哲学―「講義 偶然性」― 86
第二節 存在と無をめぐる問題系 91
第三節 「文学概論」における問題の発見 98
第四節 存在論理学の狙い 103
1.ハイデガー『存在と時間』からの影響 104
2.「哲学私見」から見る存在論理学の全体像 107
第三章 「存在論」と「様相論理」―ニコライ・ハルトマンの批判的受容― 112
第一節 新たなる様相論理へ 113
1.様相性の三体系 113
2.ハルトマンにおける存在論的現実性 117
3.九鬼のハルトマン批判 123
第二節 ハルトマンの「存在論」と「様相論理」 127
1.『存在論の基礎付け』から見るハルトマンの存在論 128
2.『可能性と現実性』における様相分析 134
3.ハルトマンの問題点 146
第四章 「存在論理学」とは何か 150
第一節 存在形態と存在様相 150
第二節 現実と様相 157
第三節 現実の生産点としての偶然性 160
第五章 存在論と実存論的分析―ハイデガーからの影響― 166
第一節 第一の批判―実存論的視点から 167
1.実存をめぐる問題設定 168
2.『存在と時間』へのまなざし 171
3.偶然性という結び目 176
第二節 第二の批判―存在論的視点から 180
1.「現在」をいかに捉えるか 182
2.他と出会うことと超越の構造 189
3.なぜ、「出会いの今」を重視するのか 194
第三部 偶然を生きる倫理を目指して 205
第六章 偶然性の形而上学と個体論 212
第一節 田辺元・九鬼周造往復書簡からみる問題の所在 213
1.九鬼周造博士論文「偶然性」 213
2.往復書簡における二つの批判 215
第二節 初期田辺における偶然性と合目的性 218
第三節 『偶然性の問題』における個体性の真相 225
1.分裂する形而上的絶対者と個体 226
2.「個物の起源」と他者との出会い 229
第七章 偶然と選択、あるいは運命について 237
第一節 田辺元における個体と偶然性 238
1.生成する身体と現在の動性 238
2.「社会存在の論理」から考える「個体」と九鬼偶然論の問題点 243
3.「社会存在の論理」における個体の行方 247
第二節 運命を生きるとはどういうことか? 250
1.『マラルメ覚書』における絶対偶然 250
2.偶然性を生きるという選択をめぐって 254
3.九鬼周造の運命論 261
第八章 偶然性の倫理とは何か 270
第一節 二つの間柄論 272
1.「私である」ということ 272
2.「私がある」ということ 276
第二節 実存と「がある」「である」こと 279
1.二つの「存在」と「実存」 279
2.「この私がある」とはどういうことか? 281
第三節 九鬼と和辻の交差する地点 285
1.日常における「私がある」ことの唯一性とは何か 285
2.「やましさ」という倫理 289
結論 300
引用文献リスト 313
九鬼周造関係年譜 317
追悼―あとがきに代えて 伊藤徹 320

前書きなど

本書が目指すのは、現実とは何かを問い、現実を生きる「この私」の倫理を求め続けた九鬼周造の思想を「哲学」として読み解くことである。ここで「哲学」に括弧をほどこしているのは、それが単に人間や世界の根源を徹底的に問おうとする態度という広い意味ではなく(それなら仏教も儒学も哲学である)、あくまでも西洋を起源とする一つの学問形態としての「哲学/philosophia」であることを強調するためだ。同時にそこには、九鬼や近代日本の知識人たちが「哲学」という学に込めた希望と問いかけも含まれている。九鬼周造の哲学を西洋哲学の流れの内に位置づけ、同時代の日本の哲学者との関係から論じることは、近代日本が哲学に託した希望と問いかけ、そして、その先に現れた危険性を考えることにつながっているはずである。歴史のなかへ哲学を差し戻しながら、哲学という学問を問うこと、それがいま私たちの求める哲学を問い直す足場にもなる。九鬼哲学を手がかりに、その一歩目を踏みだそう。(「はじめに」より)

版元から一言

造本設計 大崎善治(Sakisaki)
組版 トム・プライズ
印刷製本 株式会社シナノパブリッシングプレス

帯装画 清家雪子

Contingency and Encounter:
Logic of Existence and Ethics of Chance Encounter in Shuzo Kuki
Copyright ©2019 by Makiko Miyano
All Right Reserved.
Published by Horinouchi-shuppan
Tokyo, Japan
Tel +81 42 682 4350
http://www.horinouchi-shuppan.com/

著者プロフィール

宮野 真生子  (著/文

福岡大学人文学部准教授。一九七七年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程(後期)単位取得満期退学。博士(人間科学)。著書に『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』(ナカニシヤ出版、二〇一四年)、共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社、二〇一九年)、『愛・性・家族の哲学』シリーズ全三巻(ナカニシヤ出版、二〇一六)。論文に「九鬼周造の存在論理学」(『西日本哲学年報』第19号、二〇一一年、西日本哲学会若手奨励賞受賞)、「個体性と邂逅の倫理―田辺元・九鬼周造往復書簡から見えるもの」(『倫理学年報』第55集、二〇〇六年、日本倫理学会和辻賞受賞)、他。

上記内容は本書刊行時のものです。