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eバイクが欲しい
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年9月23日
- 書店発売日
- 2022年9月23日
- 登録日
- 2022年7月20日
- 最終更新日
- 2022年12月26日
紹介
本邦初のeバイクに関する読み物(ムック本を除く)で、全編にわたって、筆者の軽妙な語り口が読み手を飽きさせない。山奥にある秘密の渓流釣り場に誘われた筆者が、必要性に迫られてやむを得ず購入を決めたMTBだったが、真剣に検討するほどに、自分に必要なのは通常のMTBではなく、eバイクであることがわかってくる。試しに近所の自転車店で借りたeバイク(e–MTB)で奥羽山地にある廃道を上ってみて、その機能と性能に驚き、坂を上ることが楽しいという不思議な経験をして、購入を決断する。(以下本文より)……好き嫌いはあるにせよ、ロードバイク、MTB共に上りは苦しくて、その報償として下りのラクチンさと爽快感が与えられている。けれども、eバイクには上る楽しみがある。上りも下りも楽しいのだ。そんなのおかしい、ズルいという旧来的な発想は分かる。一般的に、棚からぼた餅とか、ぬれ手で粟とか、年末ジャンボの3億円当選とか、降って湧いた遺産相続とかに代表される不労所得はどこかしら正当ではない報酬として軽く扱われる。そこに人生の本質はない、といった文脈で。地球上に生まれ落ちた生物が生き延びるためには、働かなくてはならないことになっているのだ。eバイクのラクチンな上りは、まさしくその不労所得に当たる。上りも下りも、どちらとも楽しいという状態は、どこかしら生物界のおきてに逆らっている気配があるのだ(中略)。そこで質問だ。では、なぜeバイクは上りが楽しいのか? この質問への正確な答えを私はいまだ耳にしたことがないが、ここに私なりの回答がある(後略)。
筆者の実際の購入に至るまでのモデル選定の迷い、紆余曲折が面白おかしく語られ、これからeバイクを買おうとしている人にとって打って付けの読み物となっている。また筆者は『自転車の教科書』堂城賢著(小学館刊)を読み、自転車を買うからにはうまく乗りたいと、意を決して堂城氏が運営する自転車教室「やまめの学校」に行く。自転車教室での経験は全くの自転車初心者である筆者にとっては発見の連続で、同様の初心者にとっては最高の情報源となるだろう。
目次
eバイク初体験
・静けさの中へ
eバイクが欲しい
・そもそものきっかけ
・自転車屋さんの嘆き
eバイクを選ぶ
・そして欲望が残った
・プンちゃんの外出
・トラウトバイク
・多摩丘陵という名の山
・eバイクは自転車じゃない?
・グラベルロードバイクの衝撃
・迷路からの脱出
eバイクに乗る
・やまめの学校
・ルックスはライフスタイル
・フォレストバイク
eバイクを買う
・SOLD OUT
・スペシャライズド自由が丘店
・パーティーは終わった
・静けさの正体
eバイクを使う
・自転車愛護協会
・懲役3カ月
・安曇野マジック
・エピローグ
前書きなど
木漏れ日が明滅するブナの森の中を、林道が奥へ奥へと続いていた。サドルにまたがってペダルをこぐ私は、消えては現れるわだちに目を凝らしつつ、周囲の静けさに耳を澄ましていた。初め、その静寂は外からやって来るような気がしていた。ところが、土砂崩れで自転車を降りて越すしかない場所では、逆に鳥のさえずりや川の瀬音、風が森を渡っていく音が一斉に耳になだれ込んでくる。そして、再び自転車にまたがってペダルをこぎ出してしばらくすると、また静けさがやって来る。これは、いったい何だろう? 静寂は私自身の内側から外側に向かって広がっていくように思えた。それはおよそ自転車をこいでいる運動感とは掛け離れた、思索的な時間、あるいは禅的な無の時間とでも呼びたい感覚だった。
版元から一言
ヨーロッパでの電動自転車の普及率は全自転車の50%を超えているという。世界初の電動自転車を生んだのはヤマハだというのに、日本は今や自転車後進国とさえ呼ばれている。日本人はロードバイクやMTBを狭義の意味での肉体スポーツと考え、多くのベテランがeバイクを異端と見なす傾向があるのだ。そんな日本のスポーツ自転車界におけるやや古めかしい環境が、新たに自転車に乗ろうとする人々に心理的な壁となって立ちはだかり、何となく先輩の薦めに従ってこれまでの通りのペダルバイク(非電動自転車)が選ばれてきた。しかしながら世界全体で見れば自転車界の趨勢(すうせい)がeバイクに向いていることは間違いなく、日本にeバイクブームが起こるのは時間の問題と言われている。『自転車の教科書』を著すなどして、日本の自転車界をリードしてきた堂城賢氏も本書内で「eバイクは(特に中高齢者にとって)いいことだらけです」と語っている。本書ではeバイクの何がいいのか、どうしてeバイクなのか、という点を実際の購入経緯を紹介しながら、一つ一つ検証していく。
上記内容は本書刊行時のものです。