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Before/Withコロナ に生きる 社会を みつめる
- 初版年月日
- 2021年3月20日
- 書店発売日
- 2021年3月6日
- 登録日
- 2021年2月18日
- 最終更新日
- 2021年2月26日
紹介
日常生活を一変するパンデミックは、わが国のほとんどの人が経験していな。過去に生じた感染症でよく引き合いに出されるものにスペイン風邪(現在のA型インフルエンザ)がある。今からおよそ100年前、1918年に発生した感染症である。全世界で患者数約6億人、死亡者は2,000~4,000万人に上ったとされる。日本では、当時の人口が約5,700万人と現在の半分以下であったが、約38万人もの人たちが亡くなっている。感染した人の数も国民の約40%にまで広がったという。その頃にはワクチンも特効薬もなかったが、多くの人が自然感染で抗体をもったことにより、感染拡大はほぼ3年で終息を迎えている。(「日本におけるスペイン風邪の精密分析」東京都健康安全研究センター)
当時に比べ、ワクチンなど医薬の研究開発や医療態勢は著しく進歩しており、感染予防に向けた住宅の衛生面や生活様式も大きく向上している。しかし、都市化の進展や経済の発展に伴い、人が世界を自由に往来するグローバル社会であることや、人口過密化などの感染拡大要因を抱えており、感染症による脅威は以前と何ら変わらない。
新コロナ感染症が収まるまでしばらくの間、われわれはウィズコロナ社会に生きることを余儀なくされる。働く場や学びの場など諸活動をいかに継続するか、感染拡大防止と経済活動の両立をどう図るかなど、試行錯誤が続いている。
一方、人口減少・少子高齢社会のもと、かねてより地方消滅の危機が叫ばれてきたが、コロナ禍を背景に、改めて東京一極集中の是正と地方創生がクローズアップされている。コロナをきっかけに、人々の生き方や暮らし方などに価値観の変化がみられ、大都市から感染リスクの少ない地方に関心が向き始めている。経済利便性を追求してきた社会の流れに大きな軌道修正を求める兆しがある。パンデミックという非常事態に遭遇し、コロナ禍が地方創生の呼び水であるばかりか、これからの都市のあり方に大きな変革の必要性を訴えている。
ペストの流行が近代国家を導くきっかけとなったように、コロナ禍が一つの契機となり、様々な分野で従来の常識や価値観が大きく変化するパラダイムシフト(劇的な変革)が期待できる。
本書では、「Before/Withコロナに生きる社会をみつめる」と題し、コロナ禍以前、現在、そして未来に思いを馳せ、広く社会の動きを考察している。また、多くの人が初めて経験する「新型コロナウィルス」という新たな感染症に対して様々な分野での現在の動きや取組みを紹介している。本書を通じ、読者の皆さんが、今後のポストコロナ社会を共に考える機会となれば幸いである。
目次
●第1部 現場から見えるBefore/Withコロナ
1.新しい対人コミュニケーションの形の模索(磯 友輝子)
2.コロナの時代の教育のあり方―「自主的・対話的・深い学び」の確保(本田 恵子)
3.新型コロナ感染後の新たな社会を展望する―医療・病院経営の立場から(井上 貴裕)
4.中小企業・小規模事業者がとるべき新型コロナウイルス感染対策(木野 直之)
5.三大都市圏等における不動産市場の変化と展望(櫻田 直樹)
6.Before/Withコロナ:地方創生の致命的盲点―「20代女性大流出で失う人口の未来」(天野 馨南子)
●第2部 Before/Withコロナと都市・まち(地域)・住まい
7.コロナ禍がもたらすまちづくりの変化とは(米山 秀隆)
8.新しい住まいの可能性―老朽化団地の建替えによる自律型社会の実現(山田 尚之)
9.地方移住を促す居・職(食)・住(髙野 哲矢)
10.新型コロナ感染社会と都市政策―地方分散型の都市を実現するために(山口 幹幸)
11.新型コロナと都市計画:「新近郊」論に向けて(高見沢 実)
上記内容は本書刊行時のものです。