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文豪と借金ー泣きつく・途方に暮れる・踏みたおす・開きなおる・貸す六十八景
- 書店発売日
- 2020年4月20日
- 登録日
- 2020年1月28日
- 最終更新日
- 2020年4月9日
書評掲載情報
2022-09-24 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 平田俊子(詩人) |
2020-05-31 | 産經新聞 朝刊 |
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紹介
本書は、文豪たちの「借金」をテーマにした小説、随筆、書簡のアンソロジー企画である。高利貸しとの壮絶なやり取りを飄々と描く百閒や、結婚し、子どもができてからも実家から仕送りをもらっていた太宰治など、文豪でもお金には苦労した。というか、文豪たちはつねに借金だらけであった。その借金にまつわる彼らのなんとも真剣でユーモラスな姿をいろんな作品から引き出し、紹介する。
「ふざけたことに使うお金ではございません。たのみます」・太宰治
「若し、無理に庵を押し出されるような事があれば、意識的に、食を絶って、放哉、死にます……」・尾崎放哉
「何故かうかとなさけなくなり、弱い心を何度も叱り、金かりに行く」・石川啄木
「拝啓 突然こんな事を申上げるのは少々恐縮ですが、私はあなた方の社の社員にしてはくれませんか」・芥川龍之介
「昨日より、家のうちに金というもの一銭もなし」・樋口一葉
「その日また一文もないので 借金を背負ったまま借りにでかけたのだ」・山之口貘
「神経衰弱の癒る時なし」・芥川龍之介
「借りれればネ、直きだよ。借りたおすのサ」・勝海舟
「それに大体、借金というものは、あれは返すものじゃありません」・坪田譲治
「あなた方、ここでいくら僕を責めたって、僕からは一銭も出ませんよ」・六代目尾上菊五郎
「折角だけれども今貸して上げる金はない。家賃なんか構やしないから放つて置き給え」・夏目漱石
目次
解説 末永昭二
1章 泣きつく
太宰治「太宰治の手紙」
尾崎放哉「書簡」
石川啄木「啄木の借金メモ」(宮崎郁雨)
森茉莉「借金」
芥川龍之介「書簡」
尾崎一雄「暢気(のんき)眼鏡」
内田百間「書簡」
太宰治「悶悶日記」
国木田独歩「破産」(国木田治子)
北杜夫「或(あ)る生」
木山捷平「酔いざめ日記」
内田百間「無恒債者無恒心(五)」
田村隆一「青山さん」
大泉黒石「人間開業」
2章 途方に暮れる
樋口一葉「日記」
石川啄木「悲しき玩具」
山之口貘「借金を背負って」
葛西善蔵「子をつれて」
幸田文・徳川夢声「問答有用」
木山捷平「北京の借金」
芥川龍之介「書簡」
赤塚不二夫「新漫画党の仲間たち/寺田ヒロオ」
山本周五郎「青べか日記」
林芙美子「放浪記」
橘外男「或(あ)る百万長者と文士の物語」
戸川残花「史談会速記録」
大宅壮一「現代借金論」
葛西善蔵「貧乏」
松林伯円「松林伯円(経歴談)」
3章 踏みたおす
川端康成「借金の名人・川端康成の金銭感覚」(梶山季之)
坪田譲治「借金について」
勝海舟「清話の調べ(31・10・23)」
吉行淳之介「天ぷら屋の借金」
井原西鶴「門柱も皆かりの世」
田中小実昌「西荻窪の借金」
斎藤緑雨「作家苦心談」
種田山頭火「其中(ごちゅう)日記」
小池重明「アマ名人となる」(団鬼六)
草野心平「借金の証文」
池田満寿夫「池田満寿夫 ぼくから借金した唯一の男」(田村隆一)
古今亭志ん生「震災前後」
薄田泣菫著「天文学者」
壺井栄「苦労のご破算」
正岡子規「正岡子規」(夏目漱石)
山口瞳「リカ王」
4章 開きなおる
葉山嘉樹「集金人教育」
坂口安吾「詩境と借金」
室生犀星「借金の神秘」
河盛好蔵「借金」
辻潤「ふもれすく」
草森紳一「世にいう「生活」などとはとっくに無縁となっている」
桂文治「掛け取り」
色川武大「宿六・色川武大」(色川孝子)
尾上菊五郎「借金」
佐多稲子「借金の感じ」
竹内浩三「金がきたら」
山口瞳「借金もまた財産なり」
青山二郎「青山二郎の話」(宇野千代)
武者小路実篤「遺言状」
内田百間「無恒債者無恒心(四)」
久米正雄「小鳥籠」
豊島与志雄「程よい人」
十返舎一九「借金を質に置く文」
5章 貸す
夏目漱石「書簡」
尾崎士郎「借金について」
渋澤敬三「借金を返した話」
夢野久作「近世快人伝」
吉行淳之介「また辛き哉(かな)、紳士!」
解説 荻原魚雷
経歴
上記内容は本書刊行時のものです。