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雨野では 藤子じんしろう(著/文) - エー・ティー・オフィス
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雨野では

B6判
縦182mm 横128mm 厚さ12mm
192ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-908665-04-2
Cコード
C0092
一般 単行本 日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年7月
書店発売日
登録日
2018年5月1日
最終更新日
2018年8月11日
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書評掲載情報

2018-08-11 熊本日日新聞  朝刊

紹介

 地震 大雨 火山爆発 ――あの年、熊本県を中心に襲った災害の数々。なにかの始まりなのかもしれない。まだ過去の出来事とも言えない。愛犬みるくは、大地震の後の何カ月も続く揺れの恐怖のなかで、もう吠えたてる激しさも失せ逝った。
 天禍だからと/簡単には呑めないよ、な/ハリセンボン/9月になったからとて/油断するな

ヒトも、生物も、安全を追求してさまざまなものをつくり出していく。長い時間をかけ、身を守るため体を大きく見せ、武器で守ろうとするのだが。
 どうせボクラハ/忘れられの 人間同志の/夢まぼろしの
//干潟(ありあけ)のハクセンシオマネキ/ナノダカラ
ハクセンシオマネキは、生きていくために大きすぎるほどの武器を振り上げるだろう。しかし、絶滅危惧種への道をたどることになる。藤子じんしろうの詩は私的でおだやかであるが、具体的な体験を通し、根は強烈な文明批評のメタファー(喩)として読者の心の底に触れてくるはずだ。
  道筋を辿るだけでは何も見えてこない
  感じなければ何も見えてこない
 犬もハリセンボンもハクセンシオマネキも、ことばは通じないけれど感じあうことで詩人のなかで戦友となる。絶滅危惧種は私たちだから。だからさまざまなものから「叱咤」されながら、
 どんな人生でも/「たたかい」/は尽きないものだ
ということになるのだろう。藤子じんしろうのことばはたおやかだ。ことばが醸す味わいを感じることが、見えない時代のなかで詩集「雨野では」は生きることの孤独に寄り添うあたたかさとも喜びともなる。

版元から一言

藤子じんしろうは、長く公立高校で美術の教師を務めた。ただ、表現者として美術という枠に収まらず、詩人としても活動し、熊本県詩人会代表、大学で現代詩の講義も担当する。熊本県美術協会会長も務める。面倒見のいい人格者でもある。詩集「雨野では」は当初2冊で刊行予定であったものを1冊192頁にまとめた。詩人の長い旅路の道連れになっていただき、又それぞれの旅を思う傍らにこの詩集を置いていただければと思う。 

著者プロフィール

藤子じんしろう  (フジコジンシロウ)  (著/文

1946年熊本市生まれ。熊本県詩人会 代表・日本詩人クラブ・日本現代詩人会に所属。
2016年より詩とエッセイ誌「千年樹」に寄稿。
1981年「病根」から詩集・詩画集を10冊を刊行、2005年に「新しい画布、若しくは駅で」で熊日文学賞受賞。2006年に西日本美術展大賞を受賞。本作は詩業の集大成となる。

上記内容は本書刊行時のものです。