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フィッティングルーム
〈わたし〉とファッションの社会的世界
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年6月1日
- 書店発売日
- 2023年6月5日
- 登録日
- 2023年3月20日
- 最終更新日
- 2023年6月1日
書評掲載情報
2023-07-29 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
〈ファッションをつくる〉人びとの、生の呼吸。
手応え、喜び、信頼、希望。あるいは違和感、憤り、怒り、絶望――。ファッションの社会的世界に足を踏み入れてから、自ら創業した会社を離れるまでの30年間、〈わたし〉はファッションに何を求め、何をつくり出そうとしてきたのだろう。そこから見えてくる、〈もうひとつの創造〉の可能性とは? ファッションを支配するシステムへの葛藤と挑戦をつぶさに描き、個人的な経験を43の光景(ザ・シーン)によって世界にひらく、オートエスノグラフィー。
「フィッティングルームから出てきた女性の頰が、ピンク色に高揚する瞬間に出会ったことある? ほんとうに、最高なの」(シーン19より)
目次
1 小さな感動
2 世界へ流れ出す
3 世界とのかかわり
4 海外ブランド信仰への違和感
5 自分たちで価値をつくる
6 働く場所を決めること
7 バイヤーの仕事
8 資本主義完全支配前夜
9 ショーとヒエラルキー
10 女性による女性のための店
11 9.11 2001年
12 つながる
13 破壊のために戦わない、つくるために戦うデザイナーたち
14 プレスプレビュー
15 外から見えたもの
16 共感とコミュニティ
17 ウェブサイトに掲げたビジョン
18 1号店オープン
19 フィッティングルーム
20 わたしたちのラグジュアリー
21 3.11 2011年
22 3.11 2011年とそれから1ヶ月
23 成長への誘惑
24 拡大とネットワーク
25 不穏なパリ
26 パリ展示会
27 世界での競争の始まり
28 小さなプレゼンテーション
29 デザイナー神話とスペクタクル
30 インスピレーション
31 スタイリストの仕事とその値段
32 クリエイティブクラスの生態
33 クリエイティブクラスとそのシステム
34 ショーへのハードル
35 ショーステイタス
36 王国のディストピア
37 もうひとつの創造
38 別れ
39 「このドレスは今日会う人へのわたしの想いなのです」
40 身体のその先にあるもの
41 35度の猛暑とセミの声、冬のコート
42 久しぶり
43 未来
自著解題
〈わたし〉の経験を意味づけ、もうひとつのファッションの社会的世界を想像し、創造する
謝辞
前書きなど
【自著解題より】
1 なぜ〈わたし〉は〈ファッションをつくる〉のだろう
この問いが〈あなた〉と出会うために『フィッティングルーム』は生まれた。
本書は、〈わたし〉という〈ファッションをつくる〉実践当事者が経験したファッションを取り巻く社会的世界のできごとにくわえて、言葉にすることをためらってきた多くの感情や感覚を記述した「オートエスノグラフィー」である。グローバル化とネオリベラリズムが拡大し、ファッション産業が資本の論理にのみ込まれ変容していった1990年代から、コロナ禍にあった2021年までのできごとを、43の「光景(ザ・シーン)」(Crapanzano 2006)として描いている。そこには、手応え、喜び、信頼、希望、あるいは違和感、憤り、怒り、絶望、さらには簡単に言葉を与えることができない複雑な、ときにはひりひりとした感情が生々しく埋め込まれている。
上記内容は本書刊行時のものです。