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vanitas
巻次:No. 006
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年6月20日
- 書店発売日
- 2019年6月24日
- 登録日
- 2019年5月1日
- 最終更新日
- 2024年2月24日
紹介
日本で唯一のファッションの批評誌。No. 006の特集は「ファッションの教育・研究・批評」。個人誌『AFFECTUS』を手がけるデザイナー新井茂晃、『洋裁文化と日本のファッション』の著者・井上雅人、ネットワーク型の教育を行う「Fabricademy」へのインタビュー、業界の最前線で活躍する人々による匿名座談会などを通して、現在の課題と今後の可能性を探ります。ファッション史からウェアラブルテクノロジーまで、いま読むべきテキストを紹介するブックガイドも収録。
目次
特集:ファッションの教育・研究・批評
introduction
interview
新井茂晃
井上雅人
Cecilia Raspanti/Fabricademyプログラム紹介
デジタルディバイドが発生する現場
paper
藤嶋陽子「ファッション研究史とファッション産業史の交錯点――日本における研究展開の駆動力としての産業」
鹿野祐嗣「魅惑と叛逆の装いをまとう男たちの『モード』をたたえて――精神分析が仮装の欲望について語る事柄とその彼方」
太田知也「路上の『メディア・トラック』あるいはポスト・ヒューマンへの轍――『Hippie Modernism: The Struggle for Utopia』展解題」
難波優輝「おしゃれの美学――パフォーマンスとスタイル」
川崎和也「ポスト・ヒューマニズムとファッション――アルゴリズムとの共創によるファッションの計算論的転回」
international perspective
研究機関紹介
展覧会紹介
書籍紹介/ブックガイド
研究者紹介
critical essay
糸数かれん「バムスター再考」
安齋詩歩子「amachi.――植物のコスメティック」
afterword
前書きなど
「introduction」より
表象文化としてのファッション、あるいは衣類設計としてのファッションデザインにおける教育や研究は現在、日本において何を前提にどのように実践されているのか。ファッションをとりまく教育、研究の過去、現在、未来を批評的に捉えよう、という議論から、今号の特集「ファッションの教育・研究・批評」は出発しました。
明治時代に女子高等師範学校などを介して全国へと広まった洋服の裁縫技術教育は戦後の洋裁文化の基盤を作り、そのレガシーによって日本のファッション文化は発展してきました。しかし批評や研究など、「いまある」ファッションシステムを駆動するためではない「ありうる」可能性や価値を探求する文化はどう発展してきたのでしょうか。ファッションは常にア・ラ・モードであるにも関わらず、同様に常にア・ラ・モードであろうとする「テクノロジー」とファッションの融合に対して拒否反応を示す人々が多いのは、なぜなのでしょうか。あらたな身体イメージを生成するメディウムとしてのファッションの拡張を捉えるために、私たちには今どのような教育や研究、批評の可能性があるのでしょうか。
近年「デザイン」の複雑化が盛んに議論されるにつれ、ファッション産業の周縁から新たな批評空間や研究的実践、実験的教育の萌芽が散見されるようになりました。今号の特集は、この萌芽を多様な側面から明らかにしていくことを目的に、新井茂晃氏、井上雅人氏、Cecilia Raspanti氏、Dehlia Hannah氏へのインタビュー、そして現在ファッション産業に携わる方々との匿名座談会を行いました。さらに、本号の特集としてブックガイドを作成しました。ファッション史からウェアラブルテクノロジーまで、書籍、論文問わず幅広く参考となるテクストを選定しています。また、定例である論文とエッセイでは、藤嶋陽子氏、鹿野祐嗣氏、難波優輝氏、川崎和也氏、糸数かれん氏、安齋詩歩子氏、および本誌編集部・太田知也のテクストを掲載し、引き続き多角的にファッション批評の基盤構築を試みました。
本誌がファッションと研究、教育、批評をめぐる思考を深める契機になることを願います。
上記内容は本書刊行時のものです。