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vanitas
巻次:No. 004
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年9月
- 書店発売日
- 2015年9月26日
- 登録日
- 2015年6月8日
- 最終更新日
- 2022年10月10日
紹介
ファッションの批評誌『vanitas』の通算第4号。はじめてとなる特集は「アーカイブの創造性」。研究者やキュレーターによる論考からファッションデザイナーへのインタビューまで、あらゆる視点からファッションにおけるアーカイブの現状と今後の展望を議論する。
目次
foreword
interview
スズキタカユキ
石関亮+南目美輝
ドミニク・チェン
筒井直子……ファッション・アーカイブとその特殊性について ─ 美術館・博物館と企業アーカイブを事例に
齋藤歩……アーカイブズはなぜ斯くもわかりにくいのか ─ ヨーロピアナ・ファッションから学ぶことと
Europeana Fashion IPR Guidelines(翻訳:水野祐/高橋由佳/岩倉悠子)
筧菜奈子……密やかに生成する文様 ─ 現代ファッションにおける日本の文様の行方
松永伸司……なにがおしゃれなのか ─ファッションの日常美学(公募)
international perspective
研究機関紹介/展覧会紹介/書籍紹介/研究者紹介
critical essay
高城梨理世……「名前がないブランド」の可能性 ─ エレガンスとコンセプチュアルを巡って
柴田英里……ドラッグ&ドラァグ ─ あらかじめ封印された「女の子カルチャー」と戦うための戦闘服としての MILK
NOSIGNER/太刀川英輔……(YET) UNDESIGNED DESIGN ─ デザインしないデザイン
山内朋樹……イメージをまとわせる ─ 植物のコラージュがかたちづくる亜生態系
afterword
前書きなど
日本にはファッションの批評がない、としばしば言われる。ファッションは文化として認められないことがよくあるが、その理由の一端はここにあるのではないだろうか。ファッションがビジネスであることを謳いながら、「ファッションに批評は似合わない」と言われることもある。だが、現代では美術も音楽も映画も文学もおしなべてビジネスとしての側面をもっており、ファッションだけが特権的な立場にあるわけではない。
とはいえ、批評の不在を嘆いていても何も始まらない。われわれに出来ることはただひとつ、がむしゃらにでも進むことである。過去も、現在も、未来もすべて引き受けよう。たとえそれが無謀な試みに見えようとも。
批評はひとつの制度であり、それを一朝一夕に確立することは難しい。本誌は「批評誌」を謳っているが、狭義の「批評」におさまるものではない。研究者による論文もあれば、デザイナーによる試論もある。インタビューもあれば、海外のファッション研究の紹介もある。一見すると「批評」以外のものが多いように思われるかもしれない。だが、これらはすべて批評の構築のためにある。われわれは現在だけでなく、10年後、50年後を同時に視野に入れている。大仰な表現かもしれないが、批評を根付かせるためにはそのくらいの時間が必要だろう。だが、まず第一歩を踏み出さねば物事は始まらない。
この『vanitas』という小さな一歩が、大きなうねりを生み出すことを願う。
(本誌「foreword」より)
上記内容は本書刊行時のものです。