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実践者が語る「有機微生物農法」
全ては土が教えてくれる
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年12月21日
- 書店発売日
- 2022年1月10日
- 登録日
- 2022年1月13日
- 最終更新日
- 2022年1月13日
紹介
有機農業の考え方はいろいろありますが、いずれにしろ微生物を活かした有機の農法がその基本です。拙著は、とくに新規就農者たちに捧げるものですが、家庭菜園をされている方、食に関わる仕事をされている人たちにおいても、有機微生物農法についての参考になれば望外の喜びです。(「はじめに」より)
目次
序 新規就農者に捧ぐ
第1話 生命産業としての有機微生物農業
第2話 無駄なことはひとつもない
第3話 有機微生物農法の可能性は無限大
第4話 植物も動物も微生物なしに生きられない
第5話 循環型の土壌作りと自家採種
第6話 6次産業化ビジネスモデルとOEM
第7話 身土不二・一物全体――地産地消
第8話 SDGsに貢献する有機農業
第9話 子供たちの夢を奪うなかれ
前書きなど
農業者の役割と責務として
いまや地球環境問題や世界の食糧危機については、世界中の心ある科学者をはじめ若者たちが声を大にして警告を発しています。 また世界の先進国では、 二〇三〇年からプロトタイプの計画をスタートさせ、二〇五〇年にはCO2削減ゼロにというミッションも掲げられるようになりました。多くの一般市民も環境に負荷をかける大量生産・大量消費の時代ではないと気づきはじめています。
しかし、私を取り巻く日本の農業の実状を見わたすと、こうした環境意識が世間並みに高まっていないように感じられます。それを具体的に示しているのが、日本は相変わらず農薬や化学肥料、除草剤など使用が世界トップクラスということです。有機農業の重要さが先人たち叫ばれてきたにもかかわらず……。
一百姓としての私の危機感はここにあります。そんな危機感を私が言ったところで従来の慣行農法に親しんできた農業者の考え方を改めてもらうというのは至難の業です。しかし誰かが提言しなくてはなりません。
幸い最近では、志をもって就農する若い世代の人たちがぼつぼつ増えてきているのは光明です。彼らは自分たちの地球環境を守りたいとの思いがあるので、環境意識は相当高く、私はそこに大きな期待をしています。この本を出そうと思ったのも、その期待と願いからです。ちょうどそんなとき、SDGs(持続可能な開発目標)という時代の要請から、内閣府は二〇二〇年に「ムーンショット計画」を発表したのです。その5つの大きな目標のうち、食と農に関しては、「微生物や昆虫等の生物機能をフル活用し完全資源循環型の食料生産システム」の普及があります。
この壮大な計画についてはまた改めて述べますが、食や環境問題は、食品加工や販売・流通にかかわる人たち、一般市民の方たちも含めた国民的運動を起こさないことにはどうにもなりません。
農業は、CO2排出量が全体の四分の一を占めていると言われていますが、有機農業によって畜産廃棄物を発酵分解させることで、その排出量は相当削減できることがわかっています。そのことを自覚し実践することが、地域産業の大事な担い手でもある農業者の役割と責務だと思うのです。
有機農業の基本は健康な土壌にあります。健康な土壌には宇宙的に膨大な微生物が棲んではたらいていますが、人の健康も人体に棲む微生物たちのはたらき次第ということが、近年の分子生物学で明らかになってきました。
私は高度な学問知識を持ち合わせませんが、微生物の不思議さについてはみずからの農体験で実感しています。土壌も人体も微生物が深くかかわっていることを多くの人が認識すれば、農薬や化学肥料の多用がいかに問題であるかということもわかるでしょう。一般の人たちがそういう認識を深めれば、多くの農業従事者の方たちも、農業は単なる一次産業ではなく、健康産業であり生命産業でもあるという自覚をもち、ひいては地球未来の環境(土壌)の保全にもつながっていくでしょう。
SDGsの未来に向けて、そういう好循環になることを、私は切に願っています。
版元から一言
(株)ベルファームの代表取締役の著者が、
農業に参入したのは45歳のときだった。
以来、青汁ケールの栽培から直売まで三十有余年。
真の有機農法は土作りを基本とした
「有機微生物農法」でなくてはならない。
そして、生命産業としての有機農業は、SDGsにも貢献できると、
その信念を熱く語る。
上記内容は本書刊行時のものです。