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出版者情報
55歳から「まち」の人
- 初版年月日
- 2021年6月12日
- 書店発売日
- 2021年6月21日
- 登録日
- 2021年6月7日
- 最終更新日
- 2021年6月7日
紹介
近所の人から頼りにされる。全国に友だちがいる。若者たちと一緒にものづくり。「こういう人が各地にいれば、日本はもっと変わるのに」(シャンティ国際ボランティア会創設者、曹洞宗僧侶・有馬実成)──。著者は、作家の陳舜臣氏が全幅の信を置いた神戸・長田区の自動車部品販売会社元社長。26年前に阪神・淡路大震災で社屋のほとんどを焼失し、それまで近所づきあいにまったく縁のなかった54歳(当時)の著者は、ボランティアに来た若者と知り合い、仮設プレハブの手配役を引き受けた。その日から著者は、区画整理が行われるまちで共同化住宅を建て、若い仲間たちとともに古民家を移設して集会所をつくり、水害被災地の復興市民農園で野菜を育て、東北の被災地にも通い続ける。職場と家を往復するだけだった人生は、その後半戦で広く、豊かなものへと変わっていく。震災復興の現場で四半世紀にわたって綴られてきた「男の齢の重ね方」、その理想型の記録。
目次
●はじめに─一九九五年一月一七日
●第一章 青春の頃
疎開の記憶
恩師のビンタ
神戸悪童時代
映画のにおい
浪人時代の百姓体験
京大ボート部
土木工事の現場研修
●第二章 会社員時代
初任給二万二〇〇〇円
最初の現場
尺貫法と侠気
前始末
「エラいもん出てきた、文化財やぞ」
●第三章 経営者になる
「お前が来なかったらもう会社やめる」
四三歳の取締役就任
焼けてみてわかった無駄
「えらいとこに来たな」
●第四章 再建
緊急対策
取引先宛礼状
この惨状たるや名状し難いものです─一月二八日
従来の如くには及ぶべくもございませんが─二月七日
一歩ずつ春は来ています─二月一七日
ようやく周囲の瓦礫も片づき始め─四月二八日
会社の成績もほぼ回復に近づいております─六月一七日
感謝すること以外の何物でもありません─一〇月三一日
「ボランティア村」誕生
有馬実成さんとの出会い
弔辞─君を自慢し、また君に自慢したい
●第五章 「復興」
町づくり協議会発足
震災一〇〇〇日を前にして
共同化住宅の苦悩
さわやかな男を見た
描いては消しが二〇回
仮設の撤去と受け皿住宅
彼がもう二年いてくれたら
そんな決め方は反対だ
皆でこしらえる慰霊塔
続けるにしても金は要る
地域の人たちで仕上げた公園
空振りに終わった直訴
「そんな無茶なことを俺に言うか(笑)?」
籠に乗る人、担ぐ人
そんな人は必ずいるから
若者たちとの夏合宿
台湾被災地を訪ねる
啐啄の道場
半歩を踏み出す勇気
諭されていると理解して
そういう機会がなさすぎる
台湾へ古民家移築を
自ら行動するリーダーたち
一〇年目を迎えて
ニセコ町を訪ねて学ぶ
「外部からの力が必要なんです」
やめてしまったら途切れてしまう
堺での不思議な出会い
九三歳児島ハツ子さんのこと
●第六章 解散
落とし穴が待っていた
ちょっとしんどい
まちがギクシャクしているのは
「わからない」ことへの耐性
●第七章 まちに生きる
「今度は我々が加勢して」
おかげで仲良しになった
「だってあたりまえのことでしょう」
何かが欠けている
旬のものを食べよう
職人さんと学生の交流
医療費がかさむ見本になって
老台北こと蔡焜燦さんと唄う
陳舜臣さんとの台湾の旅
東日本大震災の地に入り
「一緒に住んだほうが良かったよ」
神戸でも同じだった
病室の中は耳の遠い人ばかり
歩き遍路さんには恐縮あるのみ
「あのときは勇気を得ました」
二一年目の慰霊祭
熊本・益城町の友人宅は
水害被災地の真摯な人
病床の親友を見舞う
菅原市場への思い
人と人との関係だけでなく
●あとがき
●関連年表
●索引
上記内容は本書刊行時のものです。