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ACP人生会議でこころのケア
ケアする人、される人、共に死生観・スピリチュアリティの向上をめざして
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年8月
- 書店発売日
- 2020年8月5日
- 登録日
- 2020年6月16日
- 最終更新日
- 2020年8月18日
紹介
厚生労働省は、人生の最期にのぞんで、自分が望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、どのような医療を進めるかを共有する取組を「ACP:アドバンス・ケア・プランニング」として普及・啓発を行ってきました。そしてより馴染みやすい「人生会議」という愛称で呼びます。
昨今、医師や看護師は、患者や家族とのコミュニケーションを通じてこころのケアが最重要であると考え、たんなる医療ベースでなく、スピリチュアルケアや死生観研修を希望する医療従事者が増えてきています。人生の最期において、心のケアを必要とするのは、患者やその家族だけではなく、医療者として厳しい状況に向き合う医師や看護師も、そしてケアラーも例外ではありません。医療や心理学の専門的な方法だけではなく、マインドフルネスや臨床瞑想法なども取り入れ、患者も家族も、医師・看護師・ケアラーも、共に癒やし、癒やされるための方策を紹介しているのが本書です。
医療従事者向けの「人生会議」のテキストととして、緩和ケアとスピリチュアルケアに取り組んできた大阪北野病院の梶山徹医師がACPの医学的理解について執筆、そして、日本ホスピス在宅ケア研究会の理事として長年ホスピスの現場に赴き活動をしてきた飛騨高山千光寺の大下大圓住職がマインドフルネス瞑想・臨床瞑想法を実践した緩和ケアについて執筆しています。
「人生会議」の目的は、人生の最後においてその人らしく生き往くことができる仕組みをつくることであり、ケアラー自身の人生も柔軟でスピリットに富んだものになることです。
目次
はじめに
第一章 ACP(人生会議)の理解
ACPとは ACPと緩和ケア、EOLケア 基礎的ACP:NBMと援助的コミュニケーション 基本的ACP:希望実現 応用的ACP:死の対話 ACPと在宅ケア、施設ケア ACPと社会支援 非がん疾患のACP 医療者にとってのACPとスピリチュアルケア ACPとスタッフケア、ケアラーのセルフケア
第2章 ACPとスピリチュアルケア
ACPはだれのため ACPで話し合うことは ACPとQOL・QODについて ACPとスピリチュアルケア 日本のスピリチュアルケアと緩和ケア スピリチュアリティの構造的理解 スピリチュアルケアの2層モデル スピリチュアルケアと癒し チームとしてのスピリチュアルケア ケアの関係性と縁生 医療者の死生観について 死生観教育の重要性 死生観の4相 病院や施設で死生観学習会を 死生観学習の効果
第3章 実践的スピリチュアルケア
心理モデルの延長にスピリチュアルケアがある スピリチュアルケアの基本は傾聴から 初診からはじまるスピリチュアルケア がん告知とスピリチュアルケア がんサポーティブケアとACP フレイルとACP 急変によるこころのケア EOLケアとスピリチュアルケア EOLケアとチームケア ACPチームに参画するスピリチュアルケア専門職 ACPにおける死生観と宗教的心情 スピリチュアルケアと宗教的ケアの違い スピリチュアルケアにおける平行軸と垂直軸 ABモデルを用いたスピリチュアルケアのアセント法 スピリチュアリティとトランスパーソナル心理学 ACPスタッフにGRACEという瞑想
第4章 スピリチュアルケア実践とコミュニケーション
コミュニケーションとは ケアとコミュニケーション コミュニケーションは自利利他 家族のケア力とコミュニケーション 在宅ケアとコミュニケーション 老人ケアと老後破産というスピリチュアルペイン 希死念慮を持つ人とのコミュニケーション──共感疲労からの脱却 認知症患者とACP 音楽療法とコミュニケーション 音と笑いの癒しのパワー タッチングとコミュニケーション 芸術療法とコミュニケーション 園芸療法とコミュニケーション 箱庭療法とコミュニケーション 絵画療法とコミュニケーション
スピリチュアルケアのスキルアップとしての瞑想療法 その他のスピリチュアル・コミュニケーション 利他的祈りとコミュニケーション 自利というスピリチュアル・アセンション
第5章 ACP実践に臨床瞑想法を活用する
ACP実践にどうして瞑想が必要? 心理療法と仏教 精神療法と成長モデルとしての瞑想 瞑想に対する医科学的批判 瞑想研究と心理療法としての妥当性 瞑想療法と弁証的行動療法 瞑想療法で生きがいを考える 瞑想療法とマインドフルネス マインドフルネス認知療法に基づいた臨床介入研究 マインドフルネス瞑想の治療的効果 森田療法とACT ACTの基本姿勢と行動原理 臨床瞑想法による心理的効果の研究 ACTや臨床瞑想法はACPに応用できるか
第6章 ケアラー自身のACPを考える
ACPとケアラーのストレス 共感疲労するスタッフたち ストレスリダクション①─レジリエンスとPTG(スピリチュアルな成長) ストレスリダクション②─SOC(いきがいづくり) ストレスリダクション③─セルフ・コンパッション(自利と慈悲) 慈悲心をたかめて怒りや不安をコントロール 慈悲の瞑想は臨床瞑想法で まずは心身をゆるめる「5分間瞑想」 4つの瞑想法から4つの生き方へ 瞑想とスピリチュアル・アセンション(次元上昇) 最後に~人生の価値と希望
前書きなど
ACP(人生会議)の目的は、人生の最期においてその人らしく生き往くことができるような仕組みをつくることであり、本人がその尊い人生を意味づけし、スピリチュアリティの目覚めとその成長を支援することです。
(中略)
瞑想法やACTを学ぶことで、病気で苦しむ患者さんだけでなく、家族をふくめたケアにあたるケアギヴァ(支援者)やスピリチュアルケアの専門職に、セルフケアとストレスリダクションにおいても、マインドフルネス瞑想や臨床瞑想法が有用であることを明らかにしたいと思います。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を深く理解し、実践するためにスピリチュアルケアの理解とコミュニケーションツール、セルフケアは切り離せない大切なことです。
そして「ケアラー自身のACPを考える」ことです。ACPに関わる存在は偶然ではなく、おおきなスピリットな体験であり、成長の糧なのです。臨床は、ケアラー自身が自分の人生の意義を考える時間をいただいていることに気づき、柔軟でスピリットに富んだ人生になるようになるためのものです。
本書の真の目的は、単なるケア論ではありません。ACPという現実の課題に遭遇するすべてのケアする人もされる人も共に、スピリチュアルな生き方に出会うご縁なのです。
上記内容は本書刊行時のものです。