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平成ロードショー 矢部 明洋(著/文) - 忘羊社
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9784907902308

平成ロードショー (ヘイセイ ロードショー) 全身マヒとなった記者の映画評 1999~2014 (ゼンシンマヒ ト ナッタ キシャ ノ エイガヒョウ)

趣味・実用
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発行:忘羊社
四六判
重さ 250g
200ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-907902-30-8   COPY
ISBN 13
9784907902308   COPY
ISBN 10h
4-907902-30-1   COPY
ISBN 10
4907902301   COPY
出版者記号
907902   COPY
Cコード
C0047  
0:一般 0:単行本 47:医学・歯学・薬学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年9月1日
書店発売日
登録日
2022年7月27日
最終更新日
2022年7月27日
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紹介

「こんな映画が見たかった!」
倒れるまでオシ続けた映画たち。

ハリウッドからアジアまで、
娯楽からドキュメンタリーまで、
シネコンから単館系まで、
アニメから任侠・ピンクまで、
世紀をまたぐ名作150本!


高校をサボって名画座通い。ビスコンティ、小津、ロマンポルノ……映画館が教室だった。
毎日新聞の学芸記者として健筆をふるっていた著者が、突然の脳出血に倒れるまで書き続けた映画評から精選した、サブスク時代の“新定番”シネマバイブル。

目次

◎こんな映画が見たかった
シャフト/スナッチ/ウォーターボーイズ/GO/メゾン・ド・ヒミコ/チェケラッチョ!!/青いうた/時をかける少女/天然コケッコー/ある愛の風景/4分間のピアニスト/イントゥ・ザ・ワイルド/プライド/イングロリアス・バスターズ/息もできない/ケンタとジュンとカヨちゃんの国/REDLINE/大江戸りびんぐでっど/サラの鍵/かぞくのくに
◎娯楽映画は「冗舌の芸」である
インビジブル/ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃/キル・ビル/シルミド/パフューム/パンズ・ラビリンス/スラムドッグ$ミリオネア/チョコレート・ファイター/007 スカイフォール/テッド/ジャンゴ/フライト・ゲーム
◎一スジ、二ヌケ、三ドウサ
グリーンマイル/リリイ・シュシュのすべて/壬生義士伝/腑抜けども、悲しみの愛を見せろ/アフター・ウエディング/アフタースクール/フローズン・リバー/瞳の奥の秘密/鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星/マネーボール/崖っぷちの男/悪の法則
◎名匠の薫り
ストレイト・ストーリー/マイ・ネーム・イズ・ジョー/ハンニバル/17歳の風景/ディパーテッド/ぐるりのこと。/その日のまえに/その土曜日、7時58分/グラン・トリノ/レイチェルの結婚/カティンの森/おとうと/サンザシの樹の下で/家庭の庭/戦火の馬/ルート・アイリッシュ/嘆きのピエタ/サイド・エフェクト/風立ちぬ/そして父になる
◎映画は世界語
運動靴と赤い金魚/太陽は、ぼくの瞳/ダンサー・イン・ザ・ダーク/鉄コン筋クリート/秒速5センチメートル/ペルセポリス/サマーウォーズ/ぼくのエリ/CUT/イノセント・ガーデン/2つ目の窓
◎快演、怪演
トンケの蒼い空/タイフーン/ナイロビの蜂/フラガール/キンキーブーツ/プラダを着た悪魔/ブレイブワン/ゼア・ウィル・ビー・ブラッド/おくりびと/ディア・ドクター/フィリップ、きみを愛してる/春との旅/義兄弟/悪魔を見た/ザ・ファイター/一枚のハガキ/預言者/ふがいない僕は空を見た/リンカーン/もらとりあむタマ子/永遠の0/ダラス・バイヤーズクラブ/そこのみにて光輝く/ブルージャスミン
◎映画という鏡
リトル・ダンサー/ブラックホークダウン/トラフィック/ホテル・ルワンダ/リトル・ミス・サンシャイン/不都合な真実/三池 終わらない炭鉱の物語/フリーダム・ライダース/シッコ/この道は母へとつづく/ブロードウェイ♪ブロードウェイ/チェンジリング/BOY A/レスラー/扉をたたく人/海女のリャンさん/インサイド・ジョブ/コンテイジョン/灼熱の魂/一枚のめぐり逢い/ハンナ・アーレント/それでも夜は明ける
◎いつものように幕が開き
三年身籠る/間宮兄弟/殯の森/その名にちなんで/画家と庭師とカンパーニュ/夏時間の庭/海炭市叙景/まほろ駅前多田便利軒/映画 けいおん!/あなたへ/桃さんのしあわせ/藁の楯

●映画人を悼む
黒澤組の孫さん/世界のミヤガワ/神代辰巳の影響力/大俳優・丹波哲郎、逝く/田中登の訃報/「かたいうちだぞ」/植木等の魔力/事実で作るフィクション/エドワード・ヤンの死/24分の1秒のアーティスト/さようなら、我らのヒーロー/原田芳雄の死に呆然/大女優〝デコちゃん〟の名作/市川森一の苦味と叙情/寅さんを世界記憶遺産に/吉本隆明と『イデオン』/森田芳光の時代/朝の中洲にガンダム行列/あっぱれ新藤兼人/無敵の大女優、山田五十鈴逝く/「世界」を教えてくれた高野さん/因縁の二人、大島と若松/役に生きた名優/ポルノの名作『赤い教室』の蟹江敬三/鈴木則文の熱気/等身大の青春が死んだ
●映画館が教室だった
那覇で寅さんに再会/名画座が教室だった/アニメ映画には声優を/現代史の謎、昭和天皇/『生きる』の少女/記録映画の力/アカデミー賞考/結婚感/子供時代に一生救われる/日活映画、百年の青春/待ってましたっ錦之助!
●コラム ひねくれ映画考
わが青春の『ホットロード』/おバカ映画よ甦れ/マイ・オールタイム・ベストワン/長ければいいってもんじゃない/マイケル・ダグラスのゲイ役に見とれる/老匠の気迫、でんでんの迫力/大森立嗣と新藤兼人/イーストウッド、自在の境地/アートの域へ踏み出すアニメ/コン・リーの独り勝ち/キレキレの安藤政信/『共喰い』の光石研/地方都市のハードな青春/〝サッチャー時代〟の逆説/男が「紀子」に託したものは…/女性の年

前書きなど

 解説にかえて――――髙倉美恵

 著者の矢部明洋が脳梗塞を起こしたのは、奇しくも高倉健が亡くなったその日の同時刻頃であった。健さんの死は、一週間ほど伏せられていたので、当時は知る由もなかったが、知ったところでこっちはそれどころじゃなかった。当の矢部は、脳梗塞の治療中に脳出血を起こし、文字通り生死の境をさまよい、脳外科手術を経てなんとかこっちの世界に留まっている状態であった。脳梗塞と出血で脳の両側にダメージを受け、意識がちゃんと戻るのかどうかもわからなかったのだ。体の麻痺は全身に及び、食事は口からとれず喋ることもできない日々が続き、四ヵ月近くたってようやく自分の名前を覚えていることがわかった。透明の文字盤を視線で辿り、自分の名前を示した。たったこれだけのことにどのくらいの希望が詰まっているか、おわかりいただくのは難しいかもしれない。脳にダメージを受けると、体の麻痺とは別に「高次脳機能障害」という後遺症が残ることが珍しくない。言葉は理解できるのに発語がデタラメになっちゃう失語症や、目は見えているのに視覚の半分を脳が無視をしてしまう半側空間無視など、説明されても想像することが難しい後遺症が何種類もあり、どのような出かたをするか予測するのは難しい。
 自分の名前を文字盤で示せた、ということは、「なまえを教えてください」という言葉の意味がわかり、文字盤の文字がちゃんと見えて、そのひらがなを理解し、自分の名前を覚えている、ことにほかならない。ここから、文字でのコミュニケーションが可能になって、そのひと月後には、テレビに桂米朝師匠の訃報が流れたのを耳にして号泣する(文字通り、うおーっと大声をあげて泣いた)に至り、泣きかたはちょっと激しいけど、情緒面でも以前と変わらぬ矢部であると判明したのだった。脳出血の後遺症で、感情を抑制するタガがゆるゆるになり、ちょっとした感情の動きでも号泣とかになってしまうのはご愛嬌。ある日私に(あ、私というのはこの本の挿絵を担当している髙倉美恵です。著者の配偶者もやっとります)、腰痛が勃発して「さすがに歳かな」と矢部に伝えるといきなり号泣したので、そんなにワタシのことが心配なのかとちょっといい気分になったのだが、その翌日飛んでいたハエを新聞で叩きつぶしたら号泣したので、もはや何が引き金になるかは不明である。そんなような入院生活を経て、発症後八ヵ月弱で退院し、自宅療養に入ってから早七年、現在にいたるというワケだ。
 矢部の仕事は新聞記者で、倒れたときの肩書きは「学芸課長」というものだった。それがどんな仕事をする人なのか、部外者の私にはイマイチわからないが、新作映画を紹介する記事はずっと書き続けていて、たぶんそれは自分でやりたい仕事の一つだったのだと思う。新聞記者としては、県政の担当が長く、一九九七年に出版された毎日新聞福岡総局編『平成公費天国 福岡県庁バブル物語』(葦書房刊)の著者の一人でもある。本人曰く「役所からは蛇蝎のごとく嫌われてた」そうである。また、直木賞作家、葉室麟氏の連載「ニッポンの肖像 葉室麟のロマン史談」の聞き手をつとめており、倒れた時は連載半ばだったのだが、葉室氏のご尽力により『日本人の肖像』(講談社)として出版された。葉室氏は、病院や自宅に何度もお見舞いくださり、早く元気になって一緒に仕事をしようと励ましてくださったのに、その御恩を少しも返せないままに旅立ってしまわれ、私たち夫婦は深く頭を垂れるしかなかった。
 子供の頃から映画が好きで、学生時代に通っていた京都市内の京一会館(一九八八年閉館)の話はよくきいた。矢部と知り合ったのも、私が店長を勤めていた書店に置いていた映画のフリーペーパーに矢部が寄稿していたというのが縁だったりする。最初は「いけすかない文章をかく毎日太郎というやつがいるな」という印象だった。ふざけた名前だと思っていたら、毎日新聞の記者だった。結婚前に一緒に観た映画は『スター・ウォーズ』一九九七年版の一本だけで、その帰り道「キミ、なんかちょっとジャバ・ザ・ハットに似てるなあ」かなんか言われて激怒したことだけは忘れ難い。新聞記者という仕事は、若い頃は泊まりもあるし不規則なので、いつ何をしてるのかよくわからないのだが、映画はいつでもよく観に行っていたようだ(仕事でもある)。本文を書くにあたり、「あんたはどのくらいの映画好きなんですかね?」と聞くと、「ピンク映画ベストテン(なる催し)を東京まで見に行く程度には」ということであった(結婚して二十三年、初めて聞いた話だ)。まあ、そのような感じの映画好きである。私の方は、特別濃い映画ファンではないので、話しがいもなかったのだろう、とりたてて映画のことを話し込むような夫婦ではなかった。がしかし、リビングで私が原稿仕事などをしていると、その後ろを通りかかった矢部が突然「牛の糞にも段段があるんで!」などと叫んだりするということが頻繁にあり、きいてみるとそれはたいがい映画の中のセリフなのだった。「豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、琵琶湖の南に金目教という……」と始めることもあり、これはテレビドラマ『仮面の忍者 赤影』のオープニングナレーションである。そういう言葉をわめいていないときは、古いアニメソングを熱唱していた。慣れてしまっていたが、こうして書いてみるとかなりどうかしている。そんな父親のもとで育った二人の子らは、矢部が倒れたとき長男高校一年、長女中学一年だった。父親が倒れるという一大事に、反抗期を炸裂させる機会を逸したまま、粛々と受験、進学し、それぞれの道を歩んでいるが、父親の薫陶のおかげで、みたこともない古いアニメの歌を結構歌えるのではないだろうか。
 というような人間の書いた映画の紹介やコラムを集めた本書の特徴は、平成の映画の話をしつつも、その源流となる昭和の作品に触れたり、社会の中での作品の位置などを新聞記者的な視点で語るところにあり、サブスク配信で多様な映画を見ることができる、今どきの映画ガイドとしてお役立ていただけるなら、私たち夫婦にとって、望外の喜びである。

著者プロフィール

矢部 明洋  (ヤベ アキヒロ)  (著/文

1963年京都市出身。同志社大学経済学部卒業。
1987年毎日新聞社入社。静岡総局、福岡総局、山口支局をへて西部本社学芸課長時に脳梗塞と脳出血を発症。2019年退職。

上記内容は本書刊行時のものです。