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おいる
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年9月7日
- 書店発売日
- 2019年12月24日
- 登録日
- 2019年11月16日
- 最終更新日
- 2023年8月15日
書評掲載情報
2016-12-24 |
MOE(モエ)
2 評者: 広松由希子 |
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紹介
中山千夏が自らの「老い」に向き合う。
「あなたの心に」から47年、直木賞候補になった小説『子役の時間』から36年。いちばん新しい中山千夏がここにいます。
生きるとは老いること。成長とは老化なのだ。生きると老いるは生命の両面、と捉えることで、老人であることが人間であることと、確かに感じられるようになった。老いるは生きる。老人は人間。人間なのだから、ヒトさまざま。老人さまざま。
装丁=柏田幸子(ウエル・プランニング)
目次
生きるとは老いることなのだ。成長とは老化なのだ。生きると老いるは生命の両面、と捉えることで、老人であることが人間であることと、確かに感じられるようになった。老いるは生きる。老人は人間。人間なのだから、ヒトさまざま。老人さまざま。
私にとって私は、誰とも決して交換できない唯一無二の存在である。だから私は私にとって、絶対的な存在価値がある。私の存在価値は、「他」によって生じるわけではない。私が「私」であることによって、生じる。他の役に立とうが立つまいが「私」は存在するだけで存在価値がある。ひとはみんな、そこに存在するだけで、それぞれかけがいのない「私」の価値に、きらきら輝いている。人間は誰もみんな、存在するだけで尊い価値がある。
中山千夏 2018年5月記す
前書きなど
「老いる」からオイルを連想し、石ころのような「老い」よりも動きのある「老いる」のほうが言葉としてだんぜん好もしく思い、香油が流れるようにゆっくりと、死までを老いることを礼讃したつもり。
考えてみると、この詩が浮かんだ時から、わがこととして「老」を見つめ始めたのかもしれない。
詩をつくったあとで、「老いる」と「生きる」が完全に同義であることに、今更ながら気がついた。「人間は生まれてからずっと老いてゆく」というふうな警句だかなんだかを大昔に聞いた記憶があるから、少なからぬひとがとっくに気づいていたことに違いない。
ずいぶん若い頃から身心は「老化」を始める、とも聞いたことがある。
つまり、「生きる」とは「老いる」なのだ。成長とは老化なのだ。
「老いる」をオイルにひたして生きるに引き寄せれば、あらゆる「老」が息づく気がした。
それで、意気軒昂に、我が「老」と取り組み始めたのだろう。
中山千夏
上記内容は本書刊行時のものです。