書店員向け情報 HELP
出版者情報
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
2020年4月1日は受動喫煙からの解放記念日!?
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2020年5月22日
- 登録日
- 2020年4月14日
- 最終更新日
- 2020年7月3日
紹介
2020年4月1日、改正健康増進法施行により、全国の飲食店は原則屋内禁煙に!
店長さん、今まで通りの喫煙可や分煙を続けていたらダメですよ!
タバコの先から出る煙や、喫煙者が吐き出す煙を吸ってしまうことで起こる「受動喫煙」。実は、年間15,000人が受動喫煙により亡くなっています。タバコに含まれる有害物質は、密室を大気汚染レベルにし、人の命を奪う恐ろしいもの。それでも「タバコを吸う権利」を守るべきなのか!?
タバコを吸わない人、特に未成年を受動喫煙の被害から守るために、そしてタバコのない社会をめざすために、ストラテジストの永江一石が立ち上がる。タバコの被害に詳しい医師の田淵貴大先生と、弁護士の藤原唯人先生に疑問をぶつけながら対談していきます。
・飲食店は、今こそ全席禁煙にするべき! 禁煙にして売上が落ちることはない
・子どもの前では絶対吸うな! タバコの煙は子どもの成長を阻害したり、知能を低下させる
・喫煙者は一番の被害者! タバコ会社の印象操作によって「吸うこと」を仕向けられている
など、改正健康増進法のポイントや、知られざるタバコの健康被害、他のメディアでは紹介できないタバコ会社の巧みな印象操作について、わかりやすく解説。
本書を読んで、「吸わない選択」「吸うのをやめさせる選択」をしよう!
目次
第1章:タバコにまつわる法律を正しく知って、タバコをやめてもらおう!
・改正健康増進法により無意味な分煙がなくなる
・注意が必要なのは小規模の飲食店
・「分煙で十分だろう」は、従業員のことを考えていない時点でアウト
・肺がんよりも恐ろしい、受動喫煙による死亡理由
・受動喫煙で訴えることはできるのか
・法律違反している飲食店にはどう対応するべきか
・禁煙にしたら店が潰れるなんて嘘
・本当は恐ろしい加熱式タバコ
・タバコ会社の戦略に乗せられるな!
第2章:タバコの健康被害を正しく知って、タバコをやめてもらおう!
・喫煙者ほど新型コロナウイルスで重症化する!
・「タバコと肺がんは関係ない」を論破
・ニコチンによる乳幼児のショック死がショッキング
・喫煙とイライラの密接な関係
・「喫煙者は採用しない」会社が増えていくかも?
・タバコ会社のマーケティング戦略に乗せられている喫煙者が一番の被害者
第3章:今どきタバコなんて「ダサい」から、タバコをやめてもらおう!
・タバコ会社のターゲットにされているのは社会的弱者
・JTは貧困ビジネスであり、社会保障タダ乗りビジネス
・海外のタバコ対策を知ろう
・JTの「いい顔」に騙されるな!
・行政VSタバコ擁護派の戦い
前書きなど
これは、2020年2月、喫煙可の焼き鳥屋で、タバコを吸わないH君が、友人たち5名で飲み会をした時の話。
H君と1名の女性を除いて、残りの3名は喫煙者でした。そこの焼き鳥屋は喫煙可のお店でしたから、彼らは何のためらいもなく、タバコを吸い始めました。女性は、タバコの煙が嫌そうでしたが、彼らに気を遣って何も言えない様子でした。
そんななか、彼らの話題は、2020年4月から施行される「改正健康増進法」に。喫煙者3名は口を揃えて言うのでした。
「今回の改正健康増進法はおかしいよな。全ての飲食店が原則禁煙になるなんて、喫煙者の自由を奪っている!」
それに同調するように、焼き鳥屋の店主も声を上げました。
「そんなもん守る気はない! お客さんがタバコ吸いたいって言うなら、うちは吸わせてあげるつもりだ」
呆れたH君は言いました。
「店主、それは法律違反になるんです。通報されちゃいますよ」
しかし、話の通じない店主。
「まさか、H君は通報しないよね? そんなことしたら出入り禁止にするよ」なんて言い出しました――。
その翌日、タバコ嫌いのH君はわたしに連絡をくれました。
「永江さん、こういう時、どうすれば喫煙者や店主を説得できるのでしょう?」
2018年7月、「望まない受動喫煙をなくす」という観点で、健康増進法の一部が改正され、全国の飲食店は屋内原則禁煙と定められました。そして、この改正健康増進法は、2020年4月から施行されることになりました。
しかし残念ながら、先ほどの焼き鳥屋の店主のように、改正健康増進法の存在を知りながらも、「禁煙にするのか、喫煙可にするのかは、うちで決める」なんて言っている方が、まだまだ大勢います。
こうした飲食店側の主張を聞いてみると、さまざまな意見が出てきます。
「喫煙者のお客さんが店に来られなくなったら、うちの売上が下がっちゃうじゃないか」
「完全禁煙にしなくても、分煙で十分なんじゃないの?」
「タバコだって、お酒やコーヒーと同じ嗜好品じゃないか。それを奪うのは可哀想だ」
今、本書をお読みの皆さんのなかにも、こうした主張に対し「たしかに」と納得してしまう方がいるかもしれません。それもそのはず。「タバコは身体に悪い」ということは漠然と知っていても、普段の生活のなかで、タバコがもたらす害について正しい情報を手に入れるのは困難だからです。
また、非喫煙者であっても、「自分はタバコを吸っていないから大丈夫」と、安易に捉えている方が多いのではないでしょうか。しかし、自分がタバコを吸っていなくても、あなたは「受動喫煙」をしている時点で被害者になっています。
まず、タバコの煙には3種類あります。喫煙者が吸う側から出てくる「主流煙」、火のついたタバコの先から出てくる「副流煙」、そして喫煙者が吐き出した「呼出煙」です。受動喫煙とは、このうちの副流煙と呼出煙を吸ってしまうことを言います。副流煙には、4000種類以上の化学物質が含まれており、この含有量は、実は主流煙よりも多いとされています。
そして、受動喫煙が原因で亡くなっている方は、年間で約1万5000名にもおよびます。これは、年間の交通事故死亡者数の約5倍です。しかも、1万5000名のうち73名は子どもなのです。
あなた自身が、あなたの家族が、あなたのお子さんが、受動喫煙によって命を落とすかもしれない、そしてそれは交通事故で命を落とすよりも確率が高い、と思ったら、決して他人事と捉えることはできないのではないでしょうか。
申し遅れましたが、わたしは新規商品開発や集客プロモーションなどを手掛けているコンサルタントでありストラテジストの永江一石と申します。わたしはなによりタバコの煙が大嫌いでして、バーチャル政党「危険な受動喫煙撲滅党」というものを立ち上げたほどです。こちらの政党、なんと現在数百名規模にまでなりました。自身のブログやSNSなどで、受動喫煙についての情報を頻繁に発信しております。
さて、本書が目指すのは「タバコのない社会」です。そのために、ひとりでも多くの方に、タバコについての正しい知識・情報を知ってほしいと思っています。そこで、タバコ対策に詳しい医師の田淵貴大先生と、弁護士の藤原唯人先生を交え、3名での対談形式で本書を進めていきます。喫煙を擁護する意見に対しては、法律と医学の観点から真っ向勝負していきたいと思います。
そこで、第1章では「タバコにまつわる法律」を伝えることによって、タバコをやめてもらうことを目指します。これまでは、あくまで「マナー」でしかなかった受動喫煙防止は、改正健康増進法によって「ルール」化されました。それでも、法律の詳しい内容までは、なかなか認知されていないのが現状です。まずは、第1章を通して、今回の改正健康増進法について正しく理解していただきたいと思います。
また、この法律の施行については、「飲食店を禁煙にすると売上が減る」と思い込んで反対している人たちが多くいます。しかし、こうした思い込みに対しては、正しいデータや情報を提示することで完全禁煙のメリットを話していきます。さらに、法律に違反して喫煙を許可している飲食店にはどう対応していくべきなのか、など実践的なこともわかるようになっています。
第2章では「タバコによる健康被害」の正しい知識を伝えることによって、タバコをやめてもらうことを目指します。「タバコは身体によくない」と漠然と知っている方は多いと思いますが、タバコがもたらす健康被害をきちんとわかっている方は残念ながら非常に少ないのです。たとえば、タバコの健康被害というと、真っ先に「肺がん」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、受動喫煙による死因の1位は肺がんではないのです。第2章では、こうしたあまり一般の認知が進んでいないタバコの健康被害について話していきます。
また、今ではアイコス(IQOS)などの加熱式タバコの使用がメジャーになってきています。煙が出なくて、見た目もスタイリッシュ。しかし、こうした好印象とは裏腹に、実は加熱式タバコも数多くの有害物質や発がん物質を含んでおり、全くもって安全ではありません。こうした加熱式タバコの危険性についてもお話ししていきます。
第3章では「タバコを吸うことのダサさ」を伝えることによって、タバコをやめてもらうことを目指します。日本は、海外に比べてタバコ対策が非常に遅れています。いつまでもタバコ対策が進まない日本は、諸外国からバカにされているのが現状です。もう、「タバコはダサい」が世界的なスタンダードになっているのです。第3章では、こうした世界と日本の禁煙推進状況の差について実感していただきたいと思います。
また、日本のタバコ対策が進まない要因となっている、日本政府とタバコ産業の構造についても明らかにしていきます。実は、JT(日本たばこ産業株式会社)は財務省の天下り先となっており、日本の国会議員のなかにはJTから献金を受け取っている人たちがたくさんいるのです。こうしたタバコ会社と国の癒着を明らかにし、さらには、タバコの害を知りながらも、あの手この手を使ってタバコを売り続けようとするJTのマーケティング戦略を暴露します。
これまでタバコの煙を我慢しなければならなかった方々が多かったと思いますが、2020年4月1日改正健康増進法の施行をもって、わたしたちはようやく受動喫煙の被害から解放されようとしています。とはいえ、まだまだ社会からタバコが消えるわけではありません。
本書を通して、タバコにまつわる法律を知るとともに、タバコの本当の害や、いかにわたしたちがタバコ会社の思惑によって喫煙を誘導されていたのかに気付いていただきたいと願っています。そして、「タバコのない社会」を目指す同志となっていただければ本望です。
2020年3月 永江一石
上記内容は本書刊行時のものです。